オーストラリア2400km自転車旅15日目🚴♂️
15日目 「忠告」
とうとう今日がバーンヒル最後の日。荷物をすべて車の中に詰め終えてから、いつもの海を見に行った。丘のとこまで行って、シュンはベンチに座る。
その横で俺は叫ぶ。
「ありがとー!!素敵だったー!!」
「ありがとー!!素敵だったー!!」
珍しくシュンも叫んだ。
おぉ、、、、いざ叫ぶと俺より声でかいのか。
「ありがとうーー!!ありがとうーー!!」
相変わらず海の『青』は深い。。。。
当たり前か、深いのだから。
「いつかまたここにこよう」
そう誓って車に乗り込んだ。
Hwyまでのあの9キロの砂道を、何とも言えない感情を抱えてシュンは走り抜けた。
Hwyに出てからポートヘッドランドまで、また500キロ。休憩はサンドファイヤーで一度軽くとって、元ブルーは走り続けた。
口数は少なかった。
ポートヘッドランドまであと100キロのところで運転を変わった。シュンは疲れて眠くなった。400キロも走り続けてくれた。運転を変わったところあたりから、また異常に暑くなってきた。南に下っているにもかかわらず温度は上がっていく、なぜそうなるのかわからなかった。
夕方俺たちはポートヘッドランドに着いた。本来この街で2、3日の休養をとるつもりだったのが、結局5日間もバーンヒルで過ごした。
気分は浦島太郎。
今晩は一緒に、シュンが前に泊まっていたというBPに泊まることにした。そのBPに行く前に、海近くの川で泳いだ。これが良いクールダウンになった。ただ俺はやっぱりこのポートッドランドという街が好きになれなかった。街全体が工場臭く、色がない。晩飯にファストフードを買って、BPに向かった。
BPの人たちはとてもフレンドリだった。オーナーや何人かの宿泊人は俺のことを知っていた。
「自転車なんてやってるクレイジーやろーはお前か!?」と言われた。
シュンが以前泊まっていた時に
「自転車をやってる友達がいる・・・」というふうに話していたらしい。そんな宿泊人のうちの一人が言った。
「今は自転車をするには暑すぎる。昼は絶対走るな・・・。
夜も辞めとけ。ディンゴ(野犬)がブッシュにいる。」
そう忠告してくれたのは、西海岸でハンターを生業にしているという男。旅行者の雰囲気とは違う。
「ディンゴ会ったことないけど。」
「それは不運だな。」
「??」
「だからお前はファッキン自転車を続けられると思っている」
「んん・・・・」言葉が出てこない。
「それからロード・トレイン(トレーラーを3つも繋げた超大型トラック)、あれのバンパーすごいだろ。カンガルーにぶつかる前提で作られてる。見えていても止まれない。道路の上に転がるカンガルーの肉の塊をいくつも見ただろ?」
「見た」
「それから」
「(おぉ・・・もう聞きたくない)」
「毒蛇、毒拠蛛がいる。」
「(ハーブの言う通りだな。。。)」
「テントなしで道路わきで寝るのは No way。
もし毒蛇に噛まれたとして、その後車が通らなかったら終わり。死にたくなけりゃ自転車やめとけ。お前のやっていることはクールじゃない。」
彼は西オーストラリアを自分のテリトリーとして動物から魚までなんでもハントしているという。実際に彼の持っている銃を見せてもらった。おぉ、、、かっこいい。
当然彼は西オーストラリアのことには精通している。その男が辞めておけと言う。
目が怒っている。
オーストラリア舐めんなよ・・・そういう事なんだろう。
でももう始めてしまった。
「アドバイスをありがとう」と言った。
さっき買ったファストフードを食って、さっさとシャワーを浴び、部屋に入ってべッドに横になった。
「なーシュン、そんなにディンゴっているもんかね?」
シュンはしばらくして口を開けた。
「ヒロ、一緒にエックスマウスに行かない?それでロブスターを捕ろう!うまいぜー!ロブスターを自分たちで捕って食うなんて日本じゃ絶対にできない。一緒に行かない?自転車もいいけど・・・」
さっきのハンターがロブスターやカニの情報をいろいろくれていた。
「それは最高だな!ロブスター食い放題ってのも経験してみてぇなー。シュンと旅するのはおもしろいし!
・・・けど、俺自転車続けるわ。辞めたくない・・・」
「ヒロがそう言うのわかってたけどね・・・」