オーストラリア2400km自転車旅24日目🚴♂️
24日目「街・カナーボン」
この晩の走りは思い出したくもない最悪な走りだった。あんまりにも寒すぎる、眠い、ケツ痛い、手痛い。結局ほとんどの時間を道路わきで毛布にくるまり縮こまって過ごした。
この旅にも慣れてきたと思えてきたところだった・・・でも寒さは聞いてない。
長い夜、、早く朝が来てほしい。。。
70キロの走りで、半分の70キロ残し。
今度は日中何度まで気温があがるか・・・。
午前10時をまわった。
やばい・・・太陽のやつはどんどん高みへと昇って行く・・・
1 1時もまわった・・・また死ぬ思いをするのか!?
・・・とすごく緊張していたが、、、
ん?普通に走れる。
ありがたいことにそれほど暑くならなかった。
いや暑いのは暑いが、45℃や47℃ではないなと分かる。
昨晩寒かったもんなーそりゃそんなに極端には気温は上がらんよな、と納得した。
あたりはすっかり濃い緑色の農場だらけ、トロピカルな雰囲気に変わっていた。バナナやらマンゴーやらの木々が植えられている。ちょっくらそのうちの一つのファームに侵入し、マンゴーを一つ拝借。腹が減っていたというよりは、ファームのガードが無さすぎで、魔が差した。
おっトマト畑発見!トマトを一つ拝借。また魔が差した。
バナナは・・・青いな。
ファーマーの目と果実を盗みながら水分とカロリーを補給しつつ街へと近付いて行く。
ポツポツとすたれた店が出現し始める。
だんだん店の数、交通量が増してくる。
キャラバンパークがズラーと並んでいる。
道路にはロータリーや信号なんかも見えるようになり、気付けば人間もあちらこちらに。
おぉーあれはショッピングセンターか!
ということで昼の12時、
祝カナーボン着!
カーラッサ以来の街。。。嬉しい。。。
すぐにでもスーパーマーケットに行きたい気持ちを抑えて、まずは病院に向かった。
旅行保険に入っていたので、もしその保険を使って、キャッシュレスで診察してもらえるものなら、ずっと悩みの種だった膝と、できればお尻を診てもらいたいと思った。
お尻は何だかもうヒリヒリのギトギトで俺の手にはおえなかった。膝に塗っていたディープをドサクサでお尻に塗ってみたことがあったが、それがも一痛いのなんの、お尻に雷が落ちたかと思うほどだった。
俺がブルームでゴンゾーを購入した時のことを思い出す。シュンが「ヒロ、バイク用のショーツは絶対いるよ」と忠告してくれた。
「あ、いーよいーよ、短パンで十分」なんて答えていた。
結局ショップのおっちゃんがサービスでつけてくれたから、今こうして履いているものの、これはシュンの言う通り必需品だった。このショーツにはふかふかのパッドが入っていてお尻と、金玉袋を保護してくれる。それを履いていても俺のお尻はギトギトなのだ。もし短パンで走っていたらと思うとぞっとする。
かくして病院へ行ったが、キャッシュレスサービスは無理で帰国後の請求というかたちになると。
それならも一いいや、とあきらめ、次にBPに向かった。
そのBPは街の突き当たりにあり、そのBPから道路を一つはさんですぐそこは海だった。海の近くがやっぱりいい!
とりあえず一日分料金を払い、一番奥のユニットのべッドを与えられた。ゴンゾーをユニットの前の柱にロックして荷物を持って中に入ろうとした時、ヒゲをぼうぼうに生やしている男に出会った。ついニ日前にも顔を会わせたロスだ。
「あっれ一口ス!パースに行くって!?」
「俺はちょっとこの街でやりたいことがあったから・・・それにしてもここまでよくきたな!ヒロ!」
ロスは絵描きで、この街の雰囲気を気に入ったらしく、絵を描くために自分だけここに残ったと。
「この街はどう?」
「静かでいいところだよ!」
そっか!
荷物をベッドの上に放り投げ、シャワーも浴びず、バイクパンツを短パンに履き替え、スーパーマーケットに直行した。腹が減った。
買うもんは決まっていた。キャベツとニンジンと玉ねぎ、だいたいBPに泊まるときはいつも野菜炒めを作る。それから牛の心臓。これがうまいし安い。日本であまり見たことないが、こっちでは400gほどを150円くらいで売ってる。安い。
あとはフルーツジュース2リットル、それに米。
これで栄養素フルカバー、、、と思っている。
栄養士じゃないから詳しいことはわからんが、いつもツナ缶と桃缶とパンばっかり食ってることにそれなりに危機感を感じていた。
BPに戻りさっそく野菜炒め、それと牛の心臓を焼いた。その時一人の日本人女性と会った。
名前はナナコ。ショートカットが良く似合うボーイッシュな子だ。
俺たちはお互い驚いた。シドニーにいる時(かれこれ7か月前)、同じ英語学校に通っていたもの同士だった。
と言って別に仲が良かったわけでもない。
丁度俺がそこを卒業する時に彼女が入学してきて、一言二言、言葉を交わした程度。それはそれとしてとにかく驚いた。
ほんとにオーストラリアは‘狭い’なーと2人で唸った。
「これ食べる?」と言って俺が作った野菜炒めを差し出した。俺はすごい量を作った。オーストラリアは食料が安く、一つ一つの量も多い、、、少しだけを作るほうが難しい。
「えっ、ありがとう!じゃー良かったら私のチャーハン食べてよ」
冷蔵庫迄小走り。。。『走らないでいいよ』っていう前に冷蔵庫着。5mほどなので。
彼女はタッパに入ったチャーハンを持ってきてくれた
「どうもありがとう」
彼女は俺の格好が異様に汚いことに気付いた様子でロを開いた。
「え、何やってんの?仕事?」
「自転車」
「へぇー、ヒロってそういう人やったんや!?」
と驚いている。
風貌に驚いているのか、臭いに驚いているのか、両方か。
「どういう人やと!?」
「シドニーの時の印象は、インドアかなーって」
「それ、あってる。語学学校が休みの日も、外に遊びに行かなさすぎて、ホストマザーに怒られたの思い出したわ。ヒロ頼むから休みの日くらい出て行ってくれっ。友達一人もいないのか?私にもプライベートがほしいって笑」
そんな思い出話をしながら飯を食って腹はしっかり膨れた。
食器を洗い、シャワーを浴び、洗濯した。
この日の晩、もう一人、日本人と出会った。
名前はタケさん。39歳だとか。
昼間は働いていたようだ。と言っても今日が初仕事だったらしい。さっそく給料を聞いてみると何と日給で180ドル( 1万3千円くらい) だと言う。
うぉースゲー!俺はそんな高給で仕事したことはなかった。
働いた全ての日を平均して1日100ドル切るくらい。
タケさんのはしかも即日払いだと言う。
「それすごいっすよタケさん!」
「えっ、やっぱり。なんかけっこう貰えたなーと思って」
「それどんな仕事ですか?」
「畑にかぶしてあるビニールをはがしていくやつ、砂埃がすごくて目が痛い。。。まだチクチクするし・・・」
「まだそのファームって、人ほしがってます?」
俺はそこで働きたいと思った。
「いや今日の仕事は1日限り、ていうのも俺がもう全部ビニール剥いだから。」
「(ちきしよう~勤労な日本人めえ~ )」
「けど、今日一緒に働いてた人が言ってたぞ
『明日はうちのファームで働かないか?友達がいるなら何人か誘ってきてくれよ』って。だからもしヒロも働きたいなら明日一緒に来る?」
おーなるほど、明日は違うファームとはいえ仕事があるわけか。給料は同条件ではないかもやけど、とにかくそろそろ働かないと。。。
「明日俺も一緒に行かせて下さい!」
「OK!」
そうしてこの街でタケさんおっさんと共にしばらく働いていくことにした。
その後は部屋に戻り、ぶっ倒れた。べッドという心地よさ、部屋という安心感、ハエもアリもいない、ヘビに怯えることもない。人に心配かけることも怒られることも襲われることもない。車にひかれることもない。何にも恐れることなく純粋に眠るという行為。
「あぁーー最高・・・幸せ・・・」
ずっとあった緊張の糸はブチブチと音をたてて切れていく。
さぁー寝よう。。。
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