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旬を食す(牡蠣編)

この時期に山盛りの牡蠣を食べるのが我が家の恒例行事になっており、先の日曜日、それが開催された。

うちは仲が良いんだか悪いんだかよく分からないが、家族で小旅行へ出掛けることがしばしばあって、それも皆で思い出を作りにいくというよりは美味しいものを食べたいだとか面白いものをみたいだとかいう欲望によって動いている節がある。当たり前だが世の他の家族の暮らしぶりなど知る由もないのでこれを一般的に仲良しと判定するのかはさておいて、行きたくないなどと言い出す人もなく、結果揃って出掛けられるということはまあ悪くない関係なんじゃないかと思う。


なんとなく予定を合わせてお昼前に家を出、車に揺られること約1時間。店は海にほど近い寂れた県道沿いにあって、あたり一帯は微妙に電波も悪く、車のワンセグテレビが飛んだり止まったりするようなところなんだけど、牡蠣の最旬ともなるとさすがの客入りだった。毎年のことと思い予約していったのが、それでもしばらくの待ち時間があるほどだ。雨の降る日に列に並ぶような人気店に来るもんじゃないなと思ってしまうのはせっかちの性。


注文するはいつもの定食で、バケツ大入りの生牡蠣、牡蠣フライに牡蠣の酢の物、果ては牡蠣釜飯という正に牡蠣づくしのメニュー。これを平らげるとひとりで30個程度の牡蠣を食べることになるわけだが、我が家流の「いつもの」はさらにバケツをもう一杯プラスする。追いバケツ…一年分をここで食べ貯めする心持ちでやってきた者はみな一様に気の入り方が違う。

こうして固く閉じていた貝の爆ぜるのを囲みながら、一心に牡蠣をむさぼる時間を堪能したのだった。  

ちいさい蟹が入っていてちょっと得した気分の一枚。もちろん火を通したのち、シャクっとおいしくいただいた。  

このタルタルソースがまたとんでもなく美味。こうなるともうフライの方は、タルタルソースを口に運ぶための棒みたいに思えてくる。

釜飯が出てくる頃になると、米を胃にいれるたび牡蠣用のキャパが限界値に近づくので慎重に食さねばならない。この店では持ち帰りの容れ物を用意してくれているから、別にここで食べなくても良いんだけどついつい全部食べ切っちゃうんだよなあ。ごはんはあったかいうちがいちばん進むからね…。


思うままに食べ尽くしたのちは、これでしばらくは牡蠣など見たくもないという心地で帰路についた。とかいって半月も経てば全然食べるんだろうけど。牡蠣、美味しいし。


学生のころはこの慣習の贅沢さについてあまり考えたことがなかったが、毎日仕事に出て金を稼ぐ身になった今思うと、こんな腹も心も満たされて一食にこれだけのお金をかける行為のありがたみもわかるというもの。
ところでこの題を(牡蠣編)としたのには意味があって、春も盛りになると次は山盛りの鮎を食う恒例があるからだ。(鮎編)、乞うご期待。美味しいものを食べたいときに食べられる人生、わたしも歩んでいきたい。  

そして今回写真をちゃんと添えてみた。これにより、写真があったほうが記憶の呼び起こされる契機が多く日記も書きやすいという学びを得たので、下手なりに写真を撮るのも大事ということだな。

楽しい週末でした。

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