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#3 プリズンブレイク

【前回の内容】↓

ボナムの要求吠えは、日に日に回数・声量共に
増えていった。
夜鳴きだけだったはずが、
昼の時間も平気で吠えるようになった。

吠える時は決まって、
私たち夫婦が自分の視界から消えた時。
同じ家にいたとして、姿がみえなくなった瞬間
彼は警報のごとく叫びちらす。
そして、一瞬にして私たちが帰ってきたのなら
吠えは止む。
とてもシンプルなものだった。
しかし、一瞬でも居なくなった瞬間アラームは発動するのだから
恐ろしいのだ。

ボナム鬼監視員の目は、常に私たちを見張っている。
「お前らは、私の見えるところでしか動いてはならない」
と言わんばかりの視線をこちらに投げかけている。

どこへ行っても、何をしていても視線を感じた。
ここはいつから刑務所になったんだ。
一瞬トイレへいっただけで、「ワウォーン」と唸る。
びっくりして、尿も途中で止まってしまう。

リビングへ戻ると、彼はこんな形相をしていた。

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「怒りで我を忘れているんだわ」

「風の谷のナウシカ」 ナウシカの台詞

心の中でそう呟きながら、
私は以前からここに居ましたけどという澄まし顔をして、
また定位置のソファーに戻る。

監獄だ、、、

隣の部屋から、青白い顔をした旦那が出てくる。
彼も、真夜中の森久美子の被害者だ。
なんなら私よりも、旦那の方がこの状態に参っていた。

私がプリズンブレイクの主人公だったら
旦那をこの監獄から出してやりたい。
おい、みろ。私のこの体に入っているタトゥーは
監獄の地図なんだぞと見せつけてやりたい。
しかし、私はマイケル・スコフィールドのように
頭もよくないので、旦那を救うことはできない。
私ができるとことは、地蔵のように定位置のソファーに座り
監視員の監視下の中で生活することのみ。。。

すまぬ。旦那よ。
きっと今日も眠れないだろう。
このプリズンをブレイクするには
私では役不足なのだ。

私ができることは、
地蔵のように、今日もこのソファーに座り
自分の膀胱をブレイクすることしかできない。。。

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