『ピーキー・ブラインダーズ シーズン4』トム・ハーディー以外に見る価値がなくなった
by 輪津 直美
シーズン3のあとにナルコスを見て衝撃を受けたため、なんとなく4を見るのが億劫になっていた。でもやっぱり気になって、全6話をほぼイッキ見した。
やはり、なんだかんだ言ってヒットドラマだけあってそこそこよくできている。脚本は良く考えられているし、音楽や映像もおしゃれ。6話という短さも良かった。そして今回の話はニューヨークのイタリアンマフィアとの抗争が主軸となっており、マフィアのドン「ルカ」役にオスカー俳優エイドリアン・ブロディが配されているのも見どころのはず…だった。
はずだったのに。かりにも、ポランスキー映画で主演男優賞を取った役者だもの。期待していた。その分、失望も大きかった。なぜなのかはとにかく見てもらえばわかる。明らかに某名作マフィア映画の某大スターの物まねなのだ。「インスパイアされて」というレベルではない。ユダヤ系の彼には荷が重かったのだろうか?映画史上に残るあの名演に頼り、自分のものとしてアウトプットしようとしたのだろうが、全く失敗している。私には何か始終コントのように見えてしまって、白けてしまった。
それに対して、トム・ハーディーはやっぱり最高だった。変なユダヤ人マフィアを演じる彼は後半に少ししか出演しないが、相変わらず強烈な印象を残す。不気味で、恐ろしくて、わずかにコミカルのある絶妙な演技。とても英国を代表する二枚目俳優とは思えない(もちろんいい意味)。
今回のシリーズは決してつまらなくはないのだが、役者の芝居について以外は語る気になれない。ナルコスを見てしまった今、私の中でピーキーブラインダーズは平凡なドラマに格下げされてしまった。ナルコスを超えるギャング/マフィアものなんてこの先出て来るのだろうか? ピーキーはシーズン5も作られるようだが、たぶん見ない。トム・ハーディーも出ないだろうし。
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