「サルベーション〜地球の終焉」シーズン1 地球滅亡の危機に奔走する理系少年の邪魔をする困った文系女子問題について
by キミシマフミタカ
このドラマの内容を要約すると「地球の終焉までタイムリミットは6カ月。小惑星が地球へと迫り来る中、世界最高峰の頭脳集団が全人類の危機回避に立ち上がる超大作ドラマシリーズ」ということになる(どこかの紹介文にあったもの)。いわゆる小惑星衝突モノ、と位置付けられるが、問題は、このドラマに登場する困った文系女子の存在である。
マサチューセッツ工科大学(MIT)で天体物理学を学ぶ理系少年が、小惑星衝突を回避するプロジェクトに巻き込まれ、起死回生のエネルギーの創造に着手するのだが、彼の恋人の名もないSF作家の文系女子が、彼の壮大な仕事を、ちっぽけな自尊心で邪魔するのである。理由は、彼の仕事が忙し過ぎるから。タイムリミットは6ヶ月なのに。
優先順位がわかっていない。あくまでも自分の感情を優先する。周りが見えていない。地球が滅亡したら元も子もないことに気がつかない。というより、それを超越して「あなたが私を思う気持ちが大事なの」「私とあなたの関係性が大切なの」と、可愛い鼻をツンと尖らせ、ひねくれた頑迷さをフルスロットルで全開(!)。理系少年はそんな彼女に振り回され、地球滅亡を救う大切な仕事に集中できないのだ。
たった一人の我がママな文系女子のために地球が滅亡してよいのか。これは由々しき問題なのだが、脚本家たちはなにゆえにそんな困った文系女子を物語に放り込むのか。主人公たちの正義を邪魔するのは、国家の謎の上層部やロシアや中国だけでは物足りないというのだろうか。実際、その困った文系女子の存在が、いちばん視聴者をイライラさせる。
彼女にとって、この世界での存在意義とは、自分のSF小説が正当に評価されることであり、本当は偉大な作家である自分がMITのエリート研究者たちに尊重されることであり、自分が恋人の少年よりも価値がある存在であることを世に証明することなのだ。だから、そんな願望が叶えられない世界など、小惑星に衝突されて粉々になっても構いはしない……。そう思うのは勝手だが、他の人類にとっては、ものすごく迷惑な存在なのである。
なんという自己満足原理主義者なのか。結局、世界を滅ぼすのはこの手の自分大好き文系女子なのかもしれない。周りを見回してみよう、そんな輩はうじゃうじゃと棲息している。始末に悪いのは、その文系女子のルックスが一段と可愛かったりすることだ。シーズン2(で打ち切りらしい)では、理系少年がそんな文系女子に見切りをつけることを願う。可愛い顔に騙されてはいけない、破滅の大王はすぐ側で微笑んでいるのだ。