見出し画像

『ベター・コール・ソール』 もしソウル・グッドマンがダンディ坂野だったら

by キミシマフミタカ

 ブレイキング・バッドのスピンオフドラマ。スピンオフに関わらず、本家を凌ぐクオリティで進展中。現在、完結編のシーズン6を制作中とのことだが、Netflix中で一刻も早く新シリーズが見たいドラマの筆頭になっている。でも、放映予定は来年だ。

 最近メトロに乗っていたときのこと。ある車内広告を見ていて、発見があった。もしベター・コール・ソールを日本でリメイクするなら、ソウル・グッドマン役は、“ピークを知る男”、ダンディ坂野しかいないのでは、と。そういえば、ソウル・グッドマン、ドラマの中で何度も「ゲッツ!」のポーズをしていなかったか? 見たような気がする。

 ちょっと髪の毛の薄い、犬っぽい感じ。オドオドしながら、図々しい感じ。気が弱そうだけど、お調子者の感じ。口下手だけど、自分のペースになると粘り強い感じ。他人に洒落がなかなか通じない感じ。善良っぽいけど、本当は悪人な感じ。悪人だけど、根は善良な感じ。佇んでいるだけで、存在そのものが、なんか切ない感じ。人生辛くても、へこたれずに生きている感じ。ダンディ坂野のことはよく知らないけど、たぶん似ている。

 ベター・コール・ソールには、ブレイキング・バッドには登場しないキャラクターが登場する。その1人が、ソウルのパートナーである弁護士のキム・ウェクスラー。彼女の魅力は、シーズンが進むごとにどんどん大きくなっている。出来損ないのソウル・グッドマンを包容する姿は、まるで観音菩薩。善と悪を超越した、その複雑で魅惑的な性格は、もはやソウル・グッドマンを超えるキャラとなりつつある。シーズン5の最終回のラストシーンで見せた、2丁拳銃を打つふりをして、銃口に息を吹きかける仕種は、たまらなく魅力的だ(もしかしたら、ダンディ坂野の真似をしていたのか!?)。でもブレイキング・バッドには出て来ないため、最終シーズンの行方がすごく気になる。

 気になるといえば、もう1人のオリジナルキャラ、麻薬カルテルに所属するナチョの行く末も気になる。シーズン5の最後に、ボスである恐ろしいラロを裏切って激おこさせていたが、彼もブレイキング・バッドには出ていないため、とても不安だ。

 シーズン6は全13話で構成されるらしい。そのエンディング次第で、ブレイキング・バッドの評価も変わって来るだろう。スピンオフの宿命だが、本家のドラマとの整合性を保ちつつ、緊張感を持って本家の第1話に“つなげる”ストーリーを紡いでいくのは、並大抵のことじゃない。制限があるからこそ、思い切り自由に遊べるのかもしれないが。

いいなと思ったら応援しよう!