始めよう!手軽な天体観測

とりあえず双眼鏡から

BUMPのイメージで天体観測=望遠鏡かな?と思ってしまいがちですが、双眼鏡がおすすめです。都会では見えないかと思いきや、よく見えるんですねこれが。25x8程度のポロプリズムでコンパクトなものが腕が疲れなくて使いやすいです。
AR星座アプリでオリオン座くらいはすぐ見つけられると思います。

望遠鏡と倍率

双眼鏡で見えるなら倍率が上がるともっとよく見えるのか、というとそうでもありません。双眼鏡は人間の瞳孔より口径が大きいから見えるのであって、高倍率には以下のようなデメリットがあります。

  1. 導入(天体を視野にいれること)が困難

  2. 追尾が大変

  3. 暗い

  4. 光学性能の限界

夜空は真っ暗なので、自分がどこを見ていてどっちに動かせばいいのか簡単にはわかりません。
また、一旦見つけても地球は自転しているので天体は結構なスピードで動きます。倍率が高いとそれだけ速く動いて見えるので、あっという間に視界の外に出てしまいます。

光学的にもレンズのF値が大きいと像が暗くなりますし、レンズには角分解能というのがあってレンズの性能以上の倍率ではぼんやりしてしまいます。
いずれも物理的な限界なので根性では解決できません。

星を100倍で見ても点なんやけど?

夜空に浮かぶ無数の星を高倍率で見ても、やはり光の点です。太陽系から一番近い恒星のプロキシマ・ケンタウリでもおよそ4.3光年も離れており、1ミリ秒角ほどしかないようなのでまあ点です。でも光の波長(要するに色)は星によって違っていて、二重星や星団を見るとわかります。

銀河や星雲は見えなくはないですが、暗すぎてもやっとした灰色に見えます。これは人間の網膜は暗いと錐体細胞が反応しないためで、よくあるカラフルな星雲はカメラで長時間露光したものです。最近は天体カメラを使った電子観望で見ることができます。

天体カメラで1枚撮り色調整のみのオリオン大星雲

恒星と違って、木星や土星など太陽系の惑星は形や模様が見えます。国立天文台の今日のほしぞらで位置を確認してみましょう。木星は肉眼でも分かると思います。縞や輪っかを見るには80倍程度は必要ですが、明るいので安価な口径6cm程度の望遠鏡で十分観察できます。

参考までに、MAKSY 60と天体カメラで土星と木星を撮ってみました。10mmアイピースでの目視でもだいたいこんな感じです。

木星の縞 (20240116)
土星の輪 (20240116)
撮影機材のMAKSY60とトラバースとPlayerOneカメラ

はじめての望遠鏡は?

こだわりがなければニュートン式がいいと思います。焦点距離が短く導入が容易なので。ただ、あまり撮影に向いてないとか、倒立像になって天体以外には使いづらいなどはあるので、屈折式かカセグレンもいいと思います。

扱いの難しい大袈裟な機材を揃えなくても、便利な道具が安価に手に入る時代です。GOTOマウントで2-Starアライメントすればあとは自動追尾しながら写真を撮ってもいいし、アプリで好きな星を選んで見ることもできます。
見えないものを見ようとする前に、見えるものから見てみましょう。

追記

MAKSY60とトラバースの組み合わせを紹介しましたが、おすすめはしません
理由は、
・トラバースは鏡筒を左側しか付けられない
・MAKSY60は左側だと結構使いづらい
・MAKSY60で2-Starアライメントは難しい
自動導入でも、焦点距離250mm以下でF5より明るくてちゃんとしたスコープを付けられる鏡筒でないといろいろ辛いです。