うんなんローカルマニフェスト01. 何故作る必要があったのか
雲南市民の本音を元に「うんなんローカルマニフェスト」というものを作りました。これは、これから雲南市で何か行動していく際に大切にしたい価値観を、10の言葉で表した行動指針です。この度、noteでそれが出来上がるまでの過程、その過程や完成後の市民の方との対話を通じて、第三者である大垣が感じたことを記すことにしました。せっかくならそれぞれの工程を詳細に記していきたく、何回かに分けて書いていきます。
一回目は、そもそもなぜ「うんなんローカルマニフェスト」が必要であったのか、fogが担当することになったのか、ということについてです。
何の事業で行なったのか
島根県雲南市の公益財団法人うんなんコミュニティ財団が、2020年度の環境省主催「地域循環共生圏プラットフォーム構築事業」に採択され、その一環として行いました。この、とても呼び名の長い「地域循環共生圏プラットフォーム構築事業」とは。ざっくり言うと”人も資源も経済も地域の中で循環するような、外の力に頼らず地域でまかなっていけるような基盤を作りましょう”というものです。環境に関する活動をされている団体や個人を可視化し、今後取り組んでいきたい市民プロジェクトを発掘するということに加えて、同時進行で市民の意識調査とこの「ローカルマニフェストづくり」を進めていきました。
公益財団法人うんなんコミュニティ財団とは、2020年4月に642人の寄付300万円をもとに設立された市民コミュニティ財団です(HPより)。
なぜローカルマニフェストを作りたかったのか
一番の目的は、上記の通り「地域内で資源が循環し、持続的かつ誰もがまちづくりに参加出来る雲南を作るため」です。その第一歩として、市民の本音から生まれた「雲南で活動を行う際に大切にしたい価値観」を示すことで、市民全体が同じ方向へ進める状態を目指します。
そして、公益財団法人うんなんコミュニティ財団は(設立当初は一般財団法人)先述のとおり、642人の寄付で設立されました。その際に集めた「こんな雲南にしたい!」という声や、それ以外にもこれまで行ってきたアンケートや集めた意見がたくさんあります。しかしそれらが明確に可視化されていなかったという状況がありました。そこで、それらに加えて現時点での市民の意見も改めて調査・把握・整理しようというのが一つ。さらに、雲南では環境に対する活動が大小様々あるものの、それらが知られていなかったり活動同士が連携できていないという状況がありました。環境に関する取り組みに限った話ではないのですが、活動同士が繋がっていなかったり知られていないのは何故なのだろうか、そして連携するためにはどうしたら良いのかということを把握し、言語化する必要があったため、というのがもうひとつ。
さらにこれはリサーチをしていく中でわかっていったことなのですが、理想の雲南や、今思っていることについて深く話を聴いていくと、具体的な行動そのものよりも「行動したくてもしにくい」「意見が言いたくても言えない」といったような、心理的なモヤモヤに話が行くことがとても多いことに気が付きました。そこから、具体的な行動そのものを掲げたとしても、心理的な部分で障壁があるのならばまずはそこにフォーカスを当てないと実際の行動には移らない、ということで、心の奥に存在する本音を深ぼっていきました。
行動指針の可能性 -事例:新北欧料理マニフェスト-
今回の行動指針を作る上で参考事例としているのが、「ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)」のマニフェストです。これまで北欧料理はあまり有名ではなく、食を特別に楽しむという文化はありませんでした。そこで、とあるレストランの創設者がシェフや政治家、生産者を集めてこれからの北欧料理のあるべき姿を十か条としてまとめたものが「新北欧料理マニフェスト」です。それを機に北欧料理が再定義され、世界中からシェフが集まるほど有名な食文化の地となったのです。このように、地域の人たちの考えから生まれた「行動指針となる大切にしたい価値観」は言語化することでその地の文化・人の意識を創り上げていくと考えています。
どうしてfogだったのか
弊社は以前、新潟県西蒲原地区にて事業者の方たちとのワークショップやディスカッションを重ねて、そこから抽出した言葉を元に未来に向けた地域の共通言語として「にしかんローカルマニフェスト」を作成しました。その実績があったことから、このように雲南市民の声も言葉に纏めたいと考えていたうんなんコミュニティ財団の力になれるのではとご紹介いただいたという流れでした。fogは、循環型社会に対して人の意識変容からアプローチする会社です。市民参加や意見を拾い集めてそれを言語化したり、企業や組織の抽象的な想いを言葉や形に表すことを得意としています。そこで、今回は雲南市の皆さんの想いって何だろう、というところに取り組んでいったのでした。
次回は、実際にどのように進めていったのかについて書いてまいります。
大垣多恵 : 東京農工大学大学院でプラスチックによる海洋汚染の研究に取り組み、在学中に学生・市民・企業向けに啓発活動を行う。新卒で民間企業の環境事業に携わったのち、(株)fogへ入社。はじまり商店街でのインターンを経て、2020年10月~2021年3月まで島根県雲南市へ短期移住しプロジェクトを行う。東京蔵前にて拠点の管理運営を行う予定。
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