きみのせいで
夢も目標もなにもなかった
ただ無駄に呼吸をして時間だけが刻まれていく。
その感覚だけが体を伝って蝕んでいくようだった
そんな生活の中で迎えた21歳の誕生日
わたしは誰よりも自分の誕生日が好きだった
こんなに生きていたくないと思いながらも毎年生まれた日だけは特別で。みんなから愛されてると明確に伝えられる日だから、自分がこの世に存在していていいんだと思えるから、。
夜ご飯を食べに行くことになり彼氏が車で迎えにきてくれた、好きな音楽をかけて最近ハマってるアニメやアイドルの話をひたすら聞いてくれた。目的地について車を降りる瞬間に引き止められ、振り返ると茜色に染まった菊に周りはそれに見合ったグリーンで彩られた花束だった。
いままでもらったプレゼントの中で何よりも嬉しかった
自分の中で何かが変わる音がした、
わたしもこうして誰かの記憶に刻まれるような、特別な日を彩れるような、花束を作りたいと思った。
夢ができた。
それから時間はあっという間にすぎていき、気づけばお花屋さんを初めて3年が経っていた。
仕事はあんまり上手くいかないことの方が多い。
でも毎日誰かの誕生日で、特別な日で、私がその一部分を彩れているって3年前の自分に聞かせてあげたい
ここまで頑張ったけどそばに君はもういない
ただお花屋さんになったという事実だけが残った
赤い菊の花言葉ってね
『あなたを愛しています』なんだよ。
知ってたのかな、