思い上がりの片思い(後編)
※はじめに※
まず前回の投稿をご一読いただいてから、本記事をご覧ください〜
個室でフルコースを味わっている間に終電を逃してしまったわたしは、有楽町で途方に暮れていた。
「電車、なくなっちゃったね…」と落胆しているわたしとは対照的に、彼は「そうだね、これからどうしよっか?」と、比較的冷静だった。
私も彼も、有楽町からタクシーで概算で1万円以上はかかる距離に家があった。本気を出せば帰れなくはないが、すでに高級魚フルコースで2万円を払っている中で、さらなる大金を払ってタクシーに乗りたくはなかった。さあ、どうしよう。
「もう一軒、どこかで飲み直す…とか…?」と、苦し紛れに提案してみたが、彼は「これ以上飲める?食べられる?寝ちゃわない?おれ5時まで起きてる自信ないよ」と、否定的だった。「確かに…」と納得してしまったので、この案は却下。
となると、伝家の宝刀「スーパー銭湯」の出番ではないかと閃いた。以前から、金曜日に仲の良い友人数名で、スパラクーアやテルマー湯で朝まで過ごすことがあった。スーパー銭湯は、お風呂にも入れるし、飲食もできるし、眠くなったらリラクゼーションスペースで寝ることもできるし、異性と朝までいても健全な場所だ。「これだ!これしかない!」と思ったわたしは、彼に「スパ銭に行こうよ!飲めるしお風呂入れるし寝られるよ!ここからタクシーで3000円もあれば行けるし!」と、さっきとは打って変わって目を輝かせながらリクエストしてみた。
しかし彼は、「えーっ?お風呂って別々になっちゃうじゃん」と、これまた乗り気ではなさそうだった。眠さと疲労で頭が働かず、アイデアを出すことができなくなったわたしは「どこか行きたいところある…?」と、恐る恐る訊いてみた。すると、彼から驚きの言葉が飛び出した。
「ホテルに泊まらない?」
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