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問いから生まれる物事の本質
こんにちは、"_dawn_"です。
私の投稿に興味を持って下さりありがとうございます。今回は『コンセプトの教科書 あたらしい価値のつくりかた』の感想を投稿します。
本書は、プロダクトや事業など物事のコンセプトを、発想から言語化まで体系的にまとめた一冊。新規事業開発や商品企画、マーケターなどの職種でなくとも、「その仕事は誰にとって役に立つのか?」という大切な視点をくれる読み応えのある一冊でした。
コンセプトは問いから生まれる
コンセプトとはある事柄の全体を貫く新しい観点(=一貫した存在する意味)であり、新しい意味を付与することで価値を生むものとされています。そして、コンセプトメイキングは問いから始まり、「誰の何の問題を解決するのか(何に役に立つのか)」という本質に迫らなければなりません。なお、キャッチコピー、アイデア、テーマなどと混同されがちですが、違いは以下の通り。
・キャッチコピーは事実を形容し、コンセプトはそれに沿って事実を生む。
・アイデアは着想までだが、コンセプトは顧客への価値まで表現する。
・テーマはお題であり、コンセプトはそれに対する答えを示す。
コンセプトメイキングにおける問いで大切なのは、自由度が高くインパクトの大きい問いを立てること。『イシューからはじめよ』でも、何を説くべき問題とするのかは問題の解き方以上に大切だとされていました。
つまりは、どうやって答えを出すか以上に、何に答えを出すかが重要なんですね。コーチングにおいても、何のテーマについて対話するかは、クライアントとの対話の中で丁寧かつ慎重に合意します。
また、印象に残ったのは、目前の問いを別の問いに解釈し直すリフレーミングです。コーチングで取り扱う事柄も、現状をどう捉えているのかから始まり、その認識を再解釈することを通して自己変革を目指します。
自分の中の「こういうもんだ」という思い込みを外すことで、これまでの延長線上にない進歩が実現するんですね。問いのもつ力を感じます。
コンセプトを見失った事業・仕事は貢献できない
インサイト型とビジョン型のストーリーの章を読んだときは、良くも悪くも、前職の経験で共感するところがありました。
特に耳が痛かったのは、事業のコンセプト。あるときキャッチーで先進的だったプロダクトも、市場動向や競合との位置関係次第でコンセプトがブレ始めます。かつて見えていた顧客像が見えなくなるのです。
これを放置していると、事業として後で大きなツケが回ってきます。顧客も事業者側も、関わる全ての人が苦しむ。私もそれを目の当たりにしました。何の事業にどのように関わっていても、定期的に向き合うべき問いだと思います。
ポジティブに共感できたのは、「コンセプトのいらない仕事はない」ということでした。自分が関わる事業だけでなく、自分が取り組む仕事にもコンセプトの考え方は適用できます。これがあるのとないのでは、熱量のこもり方が全然違うので。
私が前職で役割が大きく変わった際も、仕事に対するコンセプトを自分の中で明確に持っていたことで、変化に適用できた体験があります。
事業も個人レベルの仕事も、何を目指しているのか見失わずにいたいものです。
定期的に読み直すことで自分の仕事も見直したい一冊
本書で学んだ考え方は、事業部の顧客フロントに関わる人はもちろん、プロダクト開発や組織開発を担う戦略人事も含む、あらゆるステークホルダーが押さえておくべきものでした。冒頭でお伝えした通り、職種問わず役に立つ内容。
企業の経営者や事業責任者向けのコーチングに必要そうな問いも多かったので、本書の主題以上に持ち帰りの多い一冊。今後も定期的に読み直して、ベースの知識として定着させておきたいです。
興味を持たれた方はぜひ手に取ってみてください。ではまた!