泉屋クッキー🍪と数学
歳の離れた兄姉がいた。
奴らはいつもお菓子をより多く確保していた。
とある地方に家族総出で引越しした。家は随分大きくて、一人一部屋と言う贅だった。田舎の借り上げ社宅ってそうなりがち。
居間には備え付けのやたら大きな本棚があったけど、埋まるほどの書籍もなく、ほぼ物置と化していた。洗濯バサミとか爪切りとか懐中電灯とかね。
一番上の棚は歳の離れた兄姉でも届かない。
親はそこに大事な物を置くスペースだった。
兄が何かの拍子にその棚に泉屋のクッキー🍪缶を発見。なんか兄ってそういうの見つけるの得意で狡賢いんだよなぁ。
クッキー缶からクッキー🍪を取り出して食べる。
それを見た姉、背伸びして棚を見るとあのマリーンなクッキー缶を発見。
以下略。
さて、クッキー🍪を頬張る兄姉を恨めしそうに見ていた自分。毎日こっそり食べ続ける兄姉。このままでは全部食べられてしまう!!
棚にあるのは理解した!が、何番目の何処にあるのか小さい自分には全く見えない。
どうやったら缶の在処がわかるんだよ!!!!!!(慟哭)
少し遠く離れたら少し上の段が見えた。
父の紺色の靴下があった。
部屋の一番奥から見た。
惜しい!!!後少し上が見たい!
台所の椅子を持ってきて椅子に上がって見た。
あるじゃん!!!!!あるじゃーーーーーーーーーーん!!!!
ここから理性は消滅。
なんと棚をよじ登りクッキー缶を見事発見して
服の中にクッキー缶を突っ込んで降りてきた。
缶を開けるとかなり減ってはいたものの、あのドーナツ形をしたクッキーを手に取り、一口齧ってアンゼリカをほじりだしてそっと口に入れて
「何味?」と渋い顔をする。
ある日、先生が神妙な面持ちで自分に言う。
「合ってるけど、模範解答じゃないんだよね」
大きな赤い三角印の横に1と書かれた藁半紙。
木の高さを求める問題で工夫して計算しなおしたものだった。
背の高さを1.5mだったかなんかに変換して計算しなおした。
いわゆる相似の利用だった・・・
つまりクッキー探しで最後椅子に乗ってクッキー缶をみつける行為。
度々そんな事があって(工夫して計算するというか、癖つよだっただけ)
しかもカリキュラムがすごい勢いでどんどん進んでゆっくり考えるなんて
させてもらえない。
速く!正しく!楽しさなんて知らなくていい!!良い点を取れ!!
もう、途中から数字そのものが全く楽しくないものになっていった。
成績もものすごい中途半端で、先生も「一番厄介な生徒」として
途中からまともに面談でも話をしない。
親に「入れる所に適当に入っては?」と言う始末。
更に相対評価で良かった科目が勝手に下げられて(テストの点に合わない低さ。例えていうなら100点ばっかりなのに5段階の3とかね)
そんな事でやる気を無くす自分もなんだけど
なんだろうね、なんか勉強がつまらないってこういう事からくるんだよね。