東京湾の潮汐の影響は多摩川のどこまで及ぶのか?
近所に多摩川に降りられるように整備されている親水護岸があります。
僕の子供の頃(40年前)は多摩川は汚くて川に入って遊ぶという発想はなかったです。
最近は毎年夏になるとこの場所で遊んでいるのですが、川の水の綺麗さに驚きます。流域人口は380万人あるようですが、これだけの人が住んでいる地域に流れる川がこれほど綺麗とは信じられません。
この場所は河口から11キロ。潮汐の影響があるようで、毎回、水位がけっこう違います。時には水の流れがほぼ無く巨大プールか!と思うときもあります。
川の水位が予めわからないだろうか?
水位が予め分かると遊びやすいときに行けて良いんですよね。
そこで潮汐がどれぐらいあるのか調べてみることにしました。
当初は夏休みの自由研究として決まった時間に実際に水位を測りに行って、東京湾の潮汐データとつきあわせようと思ったのですが・・・かなりつらいし娘も付き合ってくれなさそうなので断念しました。
国土交通省の水位データと気象庁の潮汐データを利用して調べます。
河川水位と潮位の関係を考える
今後、天候の影響がない前提で考えます。
河口から離れていて潮位の影響がない地点の河川水位(Rとします) はほぼ一定(aとします) です。
$$
R = a
$$
潮位(Tとします)の影響がある地点の水位は潮位の影響度(bとします)を考えて以下のように仮定します。
$$
R = a + bT
$$
上記を元に、水位の標準偏差と水位と潮位の相関係数を求めてみます。河口より遠くなるほど標準偏差・相関係数とも小さくなるはずです。
データ集め(多摩川水位)
多摩川の水位データは以下にありました。水系単位の観測所検索より多摩川水系を選択。
河口から順に以下の4つの地点の2023年7月、8月の毎時データを使いました。天候が安定していたので雨の影響を無視できます。
多摩川河口[河口から0.1km]
田園調布(下)[12.5km]
田園調布(上)[13.4km]
二子玉川[17.8km]
田園調布(下)と田園調布(上)の間には調布取水堰があります。この堰では昔、取水をしていて防潮の役割もありました。
多摩川の汽水域はこの堰までと言われているのですが、堰を開放していることもよく見かけるので、潮位の影響はこの堰を越えると予想しておきます。
データ集め(潮位)
東京湾(晴海)の天文潮位(予測値)と実測潮位を以下から利用しました。実測値の8月分は速報値です。
計算結果
上記4つの地点と潮位の予測値・実測値を加えて6つのデータを比較しました。相関係数は潮位の予測値との比較です。変動係数は標準偏差を平均で割った値です。
潮位の影響は堰を越えた田園調布(上)まで及んでいると思われる(相関係数0.19)。二子玉川には影響なし。
田園調布(下・上)、二子玉川は変動係数が小さい。天候が安定していて潮位の影響が少ないと水位の変化は小さい。
潮汐の影響はどこまで?
いつも遊んでいる場所[11km]は潮汐の影響がかなりあることがはっきりしました。東京湾の潮位予測を見れば水位を予測できますね。
潮汐の影響は田園調布(上)[13.4km]を超えていますが、どこまででしょうか?相関係数が0より大きい3地点のみのグラフを描いてみます。
3点のみなのであまり厳密なことはわかりませんが、堰を越えたあたりで急激に相関がなくなります。なんとなく潮汐の影響の限界は河口から14[km]ぐらいかなと思います。
この硬式野球場があるあたりですね。川幅が広がって中洲が多いです。
いつか実地調査に行ってみたいと思います。水の塩分濃度測ってみたいですね。(測定器入手しないと)