日本の車検制度は、整備と車検の順番が逆
ビッグモーターの指摘されている数々の不正の中に、車検の水増し請求がある。しかしそういう行為を可能とさせている、そもそも日本の車検制度がおかしいということを説明したいと思う。
アメリカでは業者に車検の代行をしてもらうなんてことはなくて、基本的にユーザー車検だ。州によって内容は異なるけれど、クルマとしての基本機能、すなわち、走って、止まって、灯火類がちゃんと点灯して、排気ガスが基準値内に入っていれば車検は通る。
自分はアメリカに6年も赴任していたから何度も経験したけれど、ドライブスルーの流れ作業で、1時間もかからないし数千円しかかからない。日本みたいに2年おきに何十万円も車検にかかるなんてことになったらアメリカでは暴動が起きるだろう。
不合格になる部分があったら、一定の猶予期間内にそこを直せばいい。日本みたいに「壊れてもいないのに車検のために部品を交換する」なんてことは絶対にしない。つまり車検と整備の順番が逆なのだ。大体、まだ使える部品の交換・廃棄をするのはSDGsにも反する。
ビッグモーターのように、行ってもいない車検整備の費用を請求するのは論外だとしても、日本の車検制度では、大なり小なり、「必ずしも必要ではない部品交換や整備」をするのが当たり前で、国が整備業界を潤すために結託してやっている仕組みなのだ。「これを交換しないと車検が通りませんよ」という強迫観念で商売をしている。
ここには巨大な利権があるから与党も国交省もメスを入れようとしない。しかしこの仕組みを変えようという指摘は野党からもマスコミからも聞いたことがない。