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ファンタジーな夢日記

雪が降るクリスマスイブ
ある大きな屋敷の2階の玄関を兄妹が飾り付けています。
妹 「今年は雪が降っているから、
     明かりが映えて綺麗だね」
兄 「うん」
二人は見習い魔法使いで、その屋敷の2階に住んでいます。名前は兄がノア、妹がソフィア。1階には小さな女の子とその家族が住んでいますが、兄妹とはあまり関わりがありませんでした。

1階の小さな女の子はしきりに降ってくる雪を窓から眺めながら、
「雪の妖精さんとお友達になりたい。」
と、小さな声でサンタクロースにお祈りをしました。キッチンでは家族が忙しそうにごちそうの準備をしています。

その頃、2階の玄関に突然魔法使いの少女が箒で飛んできました。
「追われているの、隠れさせて。」
彼女は黒いとんがり帽子を被っていて、兄弟よりも少し歳上に見えます。
長い髪が風になびいて綺麗です。

兄妹は驚きましたが、理由を聞く間もなく、玄関先に魔女が現れました。彼女の後を追ってきたのです。ノアが急いでドアに鍵を掛けましたが、
魔女はドアを貫通する魔法で攻撃してきます。
「周りにいる奴らも一緒に始末してやろう。」
少ししゃがれた声で、魔女がドアの向こうから言います。

「魔女は自身を若返らせる魔法を使っているから、他の魔法は弱いの。私はここで相手をするから攻撃を避けながら逃げて!」
どうやら魔女は若返りの魔法を常に使い続けなければすぐに老いて死んでしまうようです。彼女が言った通り、魔法は弱く、魔女は家の中に入って来る事が出来ません。放たれる光線は波紋状になっているためジャンプすれば簡単に避けられました。

ノアとソフィアは玄関の左右にある階段のうちの近いほうを、それぞれ急いで駆け上がりました。階段の先は別々の部屋に繋がっているので、二人は一緒に逃げる事が出来ません。おまけに箒も杖も持っていなかったため、飛ぶことも魔法を使うことも出来ませんでした。ソフィアは右側の階段を息を切らしながら走って逃げます。少女が何者なのか、何故魔女に追われているのか知る由もありません。ノアは体力があるからきっと逃げ切れるけれど、私は魔女が来たらすぐに殺されてしまう、とソフィアは思いました。

部屋の隅に逃げたその時、不運な事に階段の下から魔女の声が聞こえました。ソフィアは焦りました。どうしよう、どうしよう、殺されてしまう。

魔女が何故家の中に入って来れたのか、少女はどうなったのか、何一つ分かりません。ただ冷や汗が背中を伝います。遂にソフィアは、階段から一番遠い窓に手を掛け、鍵を開けると外に身を乗り出しました。雪とつめたい空気が肌に刺さります。ここは普通の建物の4階分ほどの高さがあるので、落ちれば死んでしまうでしょう。

ソフィアは震える脚を、ベランダのない窓の外へ出しました。窓の縁に掴まりながら足場になりそうな所を探りつつ、雪が積もる屋根の上を目指します。壁を伝い、窓から大分離れた所まで来た時、また魔女の声がしました。ソフィアは窓を開けっ放しにしていた事を思い出しました。

「しまった…!」

開けっ放しの窓から魔女が顔を覗かせます。あの時窓を閉めていたら、ばれることはなかったかもしれません。魔女はソフィアを見つけると同時に嫌な笑みを浮かべ、杖から紫色の光線を出しました。ソフィアは身動きが上手くとれず、額に光線を受けてしまいました。雪に触れて悴んだ手が掴んでいた壁の溝から離れ、身体が空中に放り出されます。ソフィアはそのまま真っ逆さまに落ちてゆきました。落ちる瞬間がとても長く感じて、額に痛みもありませんでした。

ぼふっ、と音がしました。
雪の上に落ちたのです。ソフィアが思っていたよりもずっと多く雪は降り積もっていました。身体に着いた雪を払いながら額が無事である事を確認します。

落ちた先は屋敷の1階の窓の前でした。
窓越しに見えるのは小さな女の子です。1階の家族は魔女が来たことに気づいていないようでした。ソフィアが雪の上で不思議そうに女の子を見ると、女の子はぱっと笑顔になりました。何がそんなにおかしいんだろう、と思いながら、悴んだ手を温めようと顔の前に開いた自分の手を見て驚きました。

雪のように白く透き通っているのです。更に、窓に反射した自分の姿を見てみると、着ていた洋服や髪までもが青みがかった美しい雪色に変わっていました。
女の子は窓を開けて、
「雪の妖精さんだ!!」と喜びました。
ソフィアは状況が上手く飲み込めませんでしたが、女の子の笑顔を見るとほっとして、自然と笑顔になりました。

しかし安堵したのも束の間、魔女がまた屋敷の上から、今度は箒に乗って飛んできたのです。ソフィアがどうする事も出来ずに慌てていると、女の子が小さな手を窓の外に出しました。すると、雪のようになったソフィアの身体が一瞬で何百、何十とコピーされて増えたのです。それは庭を埋めつくし、屋敷の2階の高さに達しました。コピーされた身体に意思は無いものの、流石に増えすぎて魔女は混乱し、慌てて逃げて行きました。

魔女が逃げた後、コピーの身体は泡のようにぱちぱちと消えていき、本物のソフィアだけが残りました。ソフィアが女の子にお礼を言うと、女の子に友達になって欲しいと言われました。ソフィアは笑顔で受け入れ、2人は友達になりました。

驚いた事に、女の子は魔法学校に通っていないにも関わらず、生まれつき素手で物を増やすことが出来るのだそうです。今までに家の電話を521台に、弟のおもちゃを1462個に、パパの腕時計を3799本に増やしてママに怒られた事があるの、と女の子はにこにこしながら言います。

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