「11月の珈琲 Guatemala:鍵をさがす」
十字の特別棟のむこう。
ざわめきが聞こえなくなる場所に図書室はあった。
Guatemala:鍵をさがす
本棚にならぶ背表紙は色あせていた
凹凸をなぞる人差し指が
一冊の写真詩集をとらえる
なにげなく開いた頁は
何度も何度も見たお気に入りの頁
そこには扉の鍵をさがす私がいた
放課後の図書室は、数えるほどの学生しかいない。
窓の近くにある本棚の前に立ち、何を読もうかと考えながら、色あせた背表紙たちを左から右へと、人差し指で順になぞった。
指先に伝わる質感の異なった凹凸。
これにしよう。
人差し指がとらえたのは、一冊の写真詩集だった。
いつも空いているお気に入りの席で、その写真詩集を開く。
あぁ、この写真、とても好き。
きっと、私もこの詩のような経験をするはず。
それから、何度も何度も、図書室で、その写真詩集を手にとっては、お気に入りの頁を読みかえした。
そう、この頁には、あの頃の私がいる。
未来への扉の鍵を一生懸命に探していた私。
今、私はあの頃探していた鍵とぴったりとはまる鍵穴のある扉を見つけ、生きている。
昔、気に入った本や歌には、未来の自分を探す過去の自分がいます。
まるで、未来への扉の鍵を一生懸命探しているかのように。
鍵に合う鍵穴の扉を見つけるのか。
扉の鍵穴に合う鍵を見つけるのか。
どちらにせよ、鍵穴にぴったりとはまるモノを見つけ、今を生きている。
そんな様子を酸味がかちりとはまるグアテマラの豆で表現しました。
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月の珈琲の詩が写真家智心の写真と合わさり、一冊の写真詩集となりました。
写真家智心。
彼女が撮る写真は、今を切り取っているはずなのに、過去にいるような、そして、未来を見ているような感覚を、見るヒトに与えます。
ー 写真と詩と珈琲と 第一章 ー
時は流れ
季節は移ろい
そして巡る
日常にある
些細だけれど
美しい変化
ハル、ナツ、アキ、フユ
時はながれ、うつろい、かわり、そして、季節がめぐる。
そのなかで生きる私たちの日常を切り取ってみると、たくさんの思いが詰まっていたことに気がつきます。
思いも季節とおなじように、めぐり、かわり、うつろい、そして、ながれていく。
珈琲くるるの月の珈琲とともに、ひとりの女性が過ごした一年をお届けいたします。
https://coffeekururu.stores.jp/items/617c6b396b6d192c0e9ecfe9