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「12月の珈琲 Brazil:螺旋をなぞる」
永遠につづく循環。
Brazil:螺旋をなぞる
指先は螺旋をなぞっていた
わたしからあなたへ
あなたからわたしへ
永遠につづく螺旋に
指先も境界線も溶け
すべてが入れ替わっていく
溶けあうコクと甘み
2022年写真詩集「つなぐ」のテーマ「つながり、食、つなぐこと」。
自分と自分をとりまくまわりとのつながりを考えたときに頭に浮かんだのは、DNAの二重螺旋だった。
人差し指を空に突き上げて、あれは高校の生物の授業で学んだんだっけ?と思った。
くるくるくる…
空に突き上げた人差し指は、自然と右回りの円を描いていた。
その動きは、DNAの二重螺旋をなぞっているようで、止まることなく、永遠とつづくように思えた。
永遠につづく…
まるで、エッシャーが描いただまし絵のようだ。
永遠につづく循環…
DNAの二重螺旋…
「婚姻の絆」みたい。
父から母へ。
母から父へ。
父と母のDNAが重なり、わたしが生まれた。
永遠につづく螺旋は、身体の境界線を越え、わたしの中でつながっている。
そして、わたしからあなたへ。
あなたからわたしへ。
境界線など元からなく、全てはつながっているのかもしれない。
人差し指が描く右回りの円は、わたしにつながりのあるものから受けとるものによって、わたしを構成するものが入れ替わっていくことを感じさせた。
この感覚を表現する珈琲はなんだろう。
溶け合うようなまろやかなコクと甘みが欲しい。
ブラジルか。
写真詩集のテーマに選んだ珈琲のひとつは、コーヒー発祥の地エチオピア。
その対となる珈琲なら、世界一の生産量を誇るブラジルだと思った。
こうして、12月の珈琲「Brazil:螺旋をなぞる」が生まれたのだ。
写真→写真作家智心撮影