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ロロ『四角い2つのさみしい窓』、いつのまにかずっぽり浸かってる不思議な世界

ロロの『四角い2つのさみしい窓』(こまばアゴラ劇場2020.1.30〜2.16)を鑑賞しました。

脚本・演出:三浦直之

出演:亀島一徳 篠崎大悟 島田桃子 望月綾乃 森本華

こんなのはじめて。

「なんかよくわかんないけどものすごい感動する」ってこういうことか。

私は今リアリズムの演技のトレーニングをしているし、好みもそういう演技だから、小劇場とかのいわゆる「舞台」の演技、表現(誇張気味な感情表現など)があまり好きじゃなくて。だって、信じられないじゃないですか。目の前にあるものを、「お芝居」として引いたところで観てしまうじゃないですか。

序盤はそんな舞台の演技が中々自分の中に馴染まなくて、でも、役者さんが発信するものは舞台サイズだけど、会話で生まれた空気が所々妙にリアルで面白くって。

それが、気がついたら作品の中にどっぷり浸けられていて、作中の彼らと友達みたいになってて、彼らを愛していて、見守っていて。そんな不思議な魅力をもった作品だった。

細かいところで言うと、ユビワちゃんがウソつく人って全員が分かっている上でそれでもずっと同じ調子で話し続けるユビワちゃんの発言を、周りの人たちが若干嘘と本当がごっちゃになって混乱しながら聞いている空気とか、すごく面白かった。ユビワちゃんがいかにも本当のことを言ってるように断言しきるから、聞いている側もその空気に流されそうになるけど「え、うん、これも嘘なんだよね?」となる感じ。

ユビワちゃんをえんじる島田桃子さんの絶妙な掴めきれなさと、彼女の全ての言動に二重三重の意味があるんじゃないかと感じさせ想像力をかき立てられるような居住まいに終始惹かれていた。

他の役者さんたちも、段々とキャラクターが私の中で馴染んできて、交わって生み出す空気はピュアで、ちんちくりんで、無邪気で、私をズボズボと引き込んでいった。

装置の大きな枠、その上についた、「ロロ」とも読めそうな小さな2つの四角い枠、浜辺の景色にも合うし特設舞台の床にも見えるし何より縦に割れて「あっち」と「こっち」と境界線になってしまう木目の台に惚れた。

結局ストーリーは分からなかったし、ほぼ全員が終始一人二役を簡単な衣装チェンジだけで演じ分けていたし車の中は広すぎるしで、ふわふわめちゃめちゃなんだけど、観客が、目に映っているものに加えてそれぞれの見たいものや思い浮かんだものを想像力で足すことで成立する、そんな舞台だった。「観客とつくる」という意味で、舞台ならではの、ライブの、生の魅力がある作品だった。




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