お別れはできるだけ気分良く
コロナも落ち着いて、いろんな友人とちょこちょこ再会の宴なんかをしている。再会は「また会えたね」の出会っぽいなとかおもってる。
そいつとはお互いに趣味の情報交換とか、展示なんかを見にいったりしてる友達。趣味は近くてもお互いのアンテナが違うから、話題が尽きない。久しぶりに会って、買い物にいって、お互い近況報告して、ひたすらだべる。
なんか私はそういう友達が多い。みんな自分のことを私によく話してくれる。
今年は割と出会より別れが多かったなとか、生き続けてるとこれからどんどん別れの割合が増えるらしいけどどう思う?とか、くだらない話しながら、昔の「お別れ」の話になった。
そいつの初めての彼女は中学の先輩。
「一緒にいると他の好きなことなかなかできなくなっちゃって。例えば友達からのサッカーの誘いも断ることが多くなって。彼女に許可とって好きなことして、それでも不満そうな顔をされたり。そういうの、疲れちゃったんだよね。」
私も自分のやりたいことを他人に制限されるの大嫌いだから、気持ちはよーくよーくわかる。
「問題はその後で、結局彼女からしたら、「自分より友達をとった」ってことなんだよね。俺からしたらどちらかというと、「自分」をとったんだけどね。
そんで彼女、かなり荒れちゃったらしくて。しばらく経ってから、彼女の友達が訪ねてきて責められたりして。ガキだからどうしていいかわからなくて、ただ傷つけたってことで頭がいっぱいで。
俺は「仕方ないか〜」って思っちゃえることでも、他の人はそうじゃないんだってことを知ったっていうか。
それからずっと、1年とか、2年に1回彼女が夢に出てきたんだ。まだ好きとかそういうのじゃなくて、ただ飛び起きて、「悪いことしたな。。。」ってごめんって気持ちいっぱいで飛び起きてた。」
「私もそういう人いるよ。まー今振り返ってもお別れして大正解なのだけど、別れ方がとにかく良くなかった。もっといい別れ方があったんじゃないかって思う。まあ、ないんだけどな(笑)」
私の昔の恋人も今もたまに夢に出てきて私を睨んでいる。最近はコンサート会場で偶然私を見つけ何も言わずについてきて、少し離れた場所から睨み続けていた。夢の中の私はそれに全く気がついていなかった。
朝に「またか〜」と思いながら目を覚ます。
私のことなんぞ忘れてどっか遠くで幸せでいてくれたらいいなーと思うので、私も普段は忘れて好き勝手に生きている。それでも1年とか2年に1回夢に出てくるのだからそのとき大事にしてやろうと、亡霊に手を合わせている。
「そんでさ、俺、別れてから10年とかもうだいぶ経って、ある日地元のスーパーに買い物に行ったら、そこで彼女がなんとレジにいたんだよ。」
「うわ!田舎あるある!狭くて再開しちゃうやつだ!
それ、どうしたの?」
「そうそう(笑)
レジしてもらいながら、「久しぶり、あの時は、ごめん。」って言って謝ったよ。」
「それは偉い。無視したり買い物やめて帰らなかったのは偉いかな。彼女なんて?」
「なんか顔見たらちゃんと謝りたくなってさ。それしか考えてなかったわ。
彼女「いや、もういいよ。お互い子供だったし。」って言ってた。そのまま手を振って別れたよ。話せてよかったと思う。」
いいやつだなと思う。男女の違いはあるけど、私に同じことができるかというと、難しいと思うし。まあできれば人との別れはハイタッチして、抱き合って別れたい。
「別れるっていうか、関係性の距離を変えるとか、袂を別つってどちらかが決めた時点で、気持ちいい別れってなかなか難しいね〜。最近友情にしろ恋愛にしろどんな別れ方が一番いいんだろうって思って、機会があったらよく考えて、色々試してみることにしてるんだけど。」
「冷静!おっとな!
俺はさ〜、なんかもう結構そういうのトラウマになっちゃって、別れないでいい付き合い方をするようになっちゃった。そもそも俺、元々、寂しいとか嫉妬とか独占欲みたいな感情がなくて。そういうのがちがうってのが良くなかったきがするんだよな〜。」
「それはそれで大変そうだな〜。経験から自分なりの人付き合いの形を見出してる訳だな。おっとな!」
「おっとなにかんぱ〜い!」
「いえ〜い!左様ならだけが人生さ!」
当時、暴力的になってしまった元カレさんに私はとことんまいっていた。テレビ見かけた相談窓口に駆け込み、担当者に「それはもうダメですね〜。そんな悠長なこと言ってると、“はずみ“で・・・・」とたしなめられ、アドバイスに沿って手紙で別れを告げ、私はすたこらさっさと姿を消した。
恋心としての未練は全くないものの、ちゃんと話し合って、お互いに無理ですと納得した上で別れることができたのではないかという気持ちは今でも微粒子レベルで存在している。とはいえそんなに穏やかに別れていたら、情に流されてヨリを戻して“はずみ“されていたかもしれないと思うとなんだかななので、まあいいや。
「解決なのかはわからないけれど、時間が経ってお互いに変化が起きて、変わるってこともあるなとおもう。本当に関係性を切らなきゃいけないこともあるけれど、絶対って決めないで、濃すぎたと感じるならうすめてうすめて。
また会えたらそれはそれでよかったね〜って。
そのためにも色々その時にあった別れ方や離れ方があるなって今は思うわ。」
「うん。なんかそれでいいかなって。俺、なんか勝手に幸せだからな〜。」
「まあまあ、精一杯生きましょうや。お互い今後ともよろしくお願いしますよってことで〜。」
「こちらこそ〜。」
食べて、飲んで、話して、お互い抱き合ってバンバン背中を叩いてハイタッチして手を振って別れた。
もし二度と会えなくても、ずっと会ってる。
私は私で幸せで、こいつはこいつで幸せ。私の元彼もこいつのこいつの元カノもそれぞれに楽しくやってて。
それぞれが自分で幸せなら、もう二度と実際には会えなくても、もうずっと会ってる。それが会うってことなんだなって気がする。
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