「AC Milan Women」
Cioa!ドドン小西です。
今回はミラン女子チームについて簡単にご紹介します。
チャンピオンズリーグ残念ながら予選敗退してしまいましたが、カンピオナートでは順調な滑り出しをみせています。
セリエAでも屈指の強豪です!
実は最近できた公式女子チーム!
2018年6月11日、「ブレシア・カルチョ・フェミニール」をミランが買収しました。2018月7月に終焉を迎えることになる李永紅がオーナーとなっていたチャイナ・ミランが残した、数少ない素晴らしい遺産のひとつです。
ミランに女子チームがなかったこと、今後の女子サッカー市場拡大の波に乗ろうとしたことと、強豪でタレントが揃いながらも、スポンサーが集まらず資金難(セリエA規定を満たせない)に陥っていたブレシアの首脳陣同士の思惑が重なり、買収劇がまとまりました。
ブレシア・カルチョ・フェミニールの歴史
ブレシア・カルチョ・フェミニールは1985年に設立
スクデット獲得
13-14シーズン 15-16シーズン
Coppa Italia di calcio femminile
2012・2015・2016年
Supercoppa Italiana di calcio femminile
2014・2015・2016年
実はブレシア・フェミニールは多くのタイトルを獲得している強豪です。
08-09シーズンに初めてセリエAに昇格し、素晴らしい成績を残しています。
17-18シーズンもユヴェントスと勝点60で並び対戦成績でも1勝1敗、最終的に追加試合となり、スコアレスのままPK戦で敗れ、惜しくも2位。
17-18シーズン終了後、前述したとおり、ブレシア・フェミニールはミランに買収され、AC Milan Womenとして生まれ変わります。
ただしその際、ユースチームだけは残し4部にあたるアマチュア地域リーグ(Eccellenza:エッケレンツァ)から再出発します。
18-19シーズンには地域リーグ4位となりセリエC昇格を決め、そして19-20シーズンはセリエCで2位となりセリエBへ、20-21シーズンはセリエBで8位、21-22シーズンもセリエBで奮闘中です。ユースメンバーで地域リーグから数年でセリエBへ昇格しており(補強も行っていますが)、優秀な育成機関であることが見て取れますね。
AC Milan Womenってどんなチーム?
そもそもミラノには複数女子チームが存在していました。ACミランと全く同じ赤と黒をチームカラーにしていたA.C.F.ミラン82(1982~1994年)やACFミラン(1965~2013年)⇒メディオラナム・ミラン(2013~2016年)、ミランレディース(2013~2018年)など。ACFミランやミラン82は過去スクデットやコッパ・イタリア獲得を成し遂げています。これらのチームは他のクラブに買収された後、結局解散してしまうなど、女子サッカーのプロスポーツ化、興行化が如何に困難な道のりだったかがうかがえます。
日本でも初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が2021年9月に開幕し、セリエAは2022-23シーズンから完全にプロ化(サラリー・キャップの撤廃など)します。
話を戻すと、現在我々が知るAC Milanの公式女子チームは18-19シーズンから正式にセリエAに参戦することになります。
2021/09/20現在までの戦績
18-19シーズン
セリエA 3位
コッパ・イタリア準決勝進出
ヴァレンティーナ・ジャシンティが得点王獲得
(2シーズン連続3回目)
19-20シーズン
セリエA 3位
コッパ・イタリアの準々決勝進出
20-21シーズン
セリエA 2位
(チャンピオンズリーグ予選出場権獲得)
コッパ・イタリア準優勝
ちなみに長谷川唯が20-21シーズン冬に日テレ・ベレーザからミランに加入し、公式戦12試合3得点2アシストの活躍を見せました。残念ながら21-22シーズンはウェストハムへ移籍してしまいましたね。
監督紹介
監督マウリツィオ・ガンツ
1968年10月13日生まれの元プロサッカー選手。ストライカーとしてセリエAからセリエCまで多くのクラブを渡り歩き、ブレシアでセリエB得点王やミランでスクデット獲得など活躍
2019年6月25日に監督に就任
|ヴァレンティーナ・ジャシンティ
1994.1.2生 ITA
170cm FW
(追記)21-22シーズン途中からフィオレンティーナへレンタル移籍中
監督との確執などが報道されていますが果たして・・
ブレシア時代からチームを牽引するエースストライカー。No.9を背負うカピターナは3度の得点王に輝いています。
11歳でアタランタでキャリアをスタートし、2010年1月30日に16歳でセリエAデビューした神童です。
往年のインザーキを彷彿とさせる得点感覚、ディフェンダーとの駆け引きの巧みさ、ワンタッチで正確にゴールを狙える足下の技術、そして観るモノを惹き付けるゴールへの執念。絵に描いたようなストライカーです。
イタリア代表でも28試合15得点を記録(2021.9.23現在)するなど、ユヴェントスに所属するクリスティアーナ・ジレッリとともにイタリアのエースとして活躍しています。
Instagramのフォロワーは20万人を超えています。アディダスなどの企業と個人契約を結んでおり、イタリアでは人気・実力ともにトップクラスのアスリートです。美人ですよね。
|クリスティ・グリムショー
1995.11.8生 SCO
173cm MF
彼女は17歳の時、地元のスコットランド女子プレミアリーグのクラブ、アバディーン・レディースのトップチームデビュー。2014年、米国マイアミのバリー大学に入学し、「バリー・バッカニアーズ」に入団、大学サッカーで研鑽を積みます。 在学中の5年間で彼女は65試合出場・31得点を記録。その後、フランスのメスと契約し19-20シーズンを過ごします。そして20-21シーズンからミランに加入。
大学時代はウェイトレスとして働きながら、学校に通い、サッカーを続け、プロになった苦労人です。
途中出場が多い彼女ですが、サイドアタッカーとしてチャンスメイクやインサイドハーフとしてもプレー出来る、中盤のユーティリティープレーヤーです。
2021年6月にはスコットランド代表に初招集されています。
|ヴァレンティーナ・ベルガマスキ
1997.1.22生 ITA
168cm FW・MF・DF
ジャシンティと同様にブレシア時代から在籍し、絶対的なレギュラーであるベルガマスキ。彼女の父親は元セリエCサッカー選手で弟はフットサルの選手であり、まさにサッカー一家でした。
9歳の時に地元のFCカラヴァーテというチームで男の子とに混じってプレーし頭角を現します。2014年からスイスにわたり、16-17シーズンにはスイスリーグのヌンキルヒでプレー、24得点でリーグ得点王に輝きますが、同チームの解散に伴い、ブレシアに加入します。
驚く程のユーティリティー性を持つ彼女。両サイドバックやサイドハーフ、時にはウイングもこなし、得点も奪うことの出来るプレーヤーです。アンダー世代からイタリア代表にも名を連ねており、当面イタリアを攻守両面で支える選手として期待を集めています。
おばあちゃんが作るヌテラケーキが大好き。
|ヴェロニカ・ボケーテ
1987.4.9生 SPA
162cm FW・MF
スペインのサラゴサでプロキャリアをスタート。米国やロシア、スウェーデン、ドイツのフランクフルトやバイエルン、フランスのPSG、中国でも活躍。20-21シーズンにミランに加入すると攻撃的なMFとして、すぐに定着します。
スペイン代表として2004年UEFA U-19選手権で優勝し、そこから長い間スペイン代表のキャプテンを務めます(2017年にスペインサッカー協会を批判。以降、招集されていません)。
また2013年6月、スペインの女子サッカー選手として初めて自伝を発表、2015年にUEFA女子チャンピオンズリーグで優勝した最初のスペイン人選手となり(フランクフルト時代)、2018年11月には彼女の功績に敬意を表し、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラにあるスタジアムに彼女の名前が使われ「エスタディオ・ヴェロニカ・ボケテ・デ・サン・ラサロ」と改名されるなど、常に女子サッカーを牽引してきた大ベテランです。スタジアムの名前になるとか凄すぎ・・
プレーは衰え知らずで、多くのチャンスを作り、決定的なパス供給や自ら得点を奪うこともできます。まだまだミランでがんばってほしいです。
なお背番号87は生まれ年にちなんで着用しています。
|レフィロエ・ジェーン
1992.8.4生 ZAF
158cm MF
南アフリカ共和国ハウテン州ヨハネスブルグ市都市圏D区ソウェト(アパルトヘイト政策によって迫害されたアフリカ系住民の象徴の地)で生まれ育った彼女は、フランクとエマニュエルの2人の兄と路上でサッカーを始めます。2人の兄は彼女に遠慮すること無くプレーしたそうで、そこで彼女の才能は磨かれていきジュニア時代は常に男子チームに所属してプレーしていたようです。
十代半ばにはマンチェスター・シティやエバートンの女子チームへ練習生として招待されるなど実力をつけ、イングランドのコルチェスター・ユナイテッドレディースなどでプレーした後、2018年8月オーストラリアのWリーグに参加するキャンベラ・ユナイテッドへ。
そして19-20シーズンからミランに加入します。
2012年ロンドンオリンピックで南アフリカ代表に招集されると、A代表にも選出されつづけています。
中盤でのハードワーク、守備に奔走し、あらゆる場面に顔を出すことで、チームを助けるプレースタイル。ミランの中盤をささえる重要な選手です。
|リンジー・トーマス
1995.4.27生 FAR
171cm FW・MF
フランス、グアドループのサン=クロードで祖父に育てられ、地元のクラブチームに男の子に混じってプレーを始めました。2011から2014年モンペリエの下部組織で育成され、2012年からトップチームに昇格します。その後、ボルドーやディジョンを経て、2019年ローマへ移籍。イタリア初上陸を果たします。2シーズンで38試合11得点、ローマ最優秀選手賞にも選出され、20-21シーズンは決勝でミランを破り、コッパ・イタリア優勝に貢献しました。ローマでの成功で今後もチームの主力として長く活躍するかとおもわれましたが、自身のキャリアアップを企図して2021年7月ミラン移籍を決断、実現します。21-22シーズンはさっそく主力としてシャドーストライカーもしくはウインガーとしてプレー。
彼女は驚異的なスピード、フィジカルそしてライン間のスペースやDFラインの裏をつく動きが秀逸であり、そこからチャンスメイクや得点をあげる能力が図抜けています。
フランス代表のアンダーカテゴリーに選出されており、今後の更なるステップアップが期待される選手です。
|グレータ・アダミ
1992.7.30生 ITA
172cm MF
幼少期は母親に連れられて地元のサッカークラブに行きましたが、当時を振り返った彼女は「全員が男の子だったので、入りたくなかったし、恥ずかしかった。」とコメントしており、シャイでもの静かな性格のようです。
長谷川唯の退団もあり、中盤の守備的なMFを探していたミランはフィオレンティーナを退団し、フリーになっていた彼女に目をつけオファーします。
10シーズン(198試合17得点・スクデット獲得、コッパ・イタリア優勝、CL出場など)を過ごしたヴィオラに別れを告げた、イタリア代表MFは21-22シーズンからミランに加入することになりました。
21-22シーズンはさっそくレギュラーとして定位置を掴み、レフィエロ・ジェーンとともに中盤の守備および前線や両翼に素早いパスを供給する役割を担っています。ベナセルとケシエを想像してもらえると分かりやすいかもしれませんね。経験豊富な彼女が中盤に安定感と攻撃に厚みをもたらす存在となっています。
|ラウラ(ローラ)・アガード
1989.7.26生 FRA
175cm DF
2010–2012 ロデーズ
2012–2013 オリンピック・リヨン
2015–2018 モンペリエ HSC
2018–2020 フィオレンティーナ
12-13シーズンはリヨンで3冠を達成。リーグ、カップ戦、CL優勝を果たしています。2009年から2011年までの2年間は膝の手術によってプレー出来なかったことを考えると、驚異的ですらありますね。
20-21シーズン、フィオレンティーナをフリーで退団しミランへ加入します。非常にクレバーなセンターバックで、的確な読みとカバーリングを得意としており、ミランの3バックの中央に君臨しています。
20-21シーズン、ミランではリーグ戦22試合に出場しながらイエローカードは1枚のみと非常にクリーンな選手でもあります。ミランの堅守を支える非常に重要な選手ですね。
フランス人である彼女はローラン・ブラン(フランスW杯優勝・モンペリエで頭角を現し、ナポリ、バルセロナ、インテル、マンチェスター・Uで活躍)に憧れ、マルディーニやネスタをお手本にしているとのこと。マルディーニがフロントにいることもミラン加入を後押ししたと語っています。
|ラウラ(ローラ)・フセッティ
1990.10.8生 ITA
166cm DF
フセッティは例にもれず、男の子に混じってサッカーを始めました。13歳の時、彼女はトラデート・アッビアテの女子チームに移り、2009年コモの女子チームと契約、16-17シーズンはキャプテンとして活躍。2017年夏、彼女はブレシアに移り、CLデビューするなど多くの経験を積み、ジャシンティやベルガマスキと同様、ブレシアからの生え抜きのレギュラーとして不動の地位を築いています。
副キャプテンとして、キャプテンのジャシンティに次ぐ試合出場数を誇り、後方からチームメイトを鼓舞する頼れるDFです。元々、中盤の選手でもあり、実際に中盤で先発することもあります。そのため足下の技術も高く、最終ラインから相手のファーストラインを飛ばして中盤に縦パスを供給する場面も。
ミランの偉大なディフェンダーであり、キャプテンであったフランコ・バレージと同じ背番号6を着けていることを誇りに思って一生懸命プレーすると誓っているとのこと。
|ライア・コディナ
2000.1.22生 SPA
166cm DF
コディナは4歳の時にサッカーをユニオ・デポルティバ・カッサで始めました。14歳まで男子チームでプレーを続け、2014年バルセロナのユースチームに引き抜かれます。2017年、16歳でバルセロナBに昇格し、2019年までプレー。2019年の夏、トップチームに帯同するようになり、2019年10月13日、スポルティング・デ・ウエルバ戦でリーグデビューを果たしました。更にその4日後にCLデビューします。
また、U-19女子女子選手権2018にスペイン代表として出場し、優勝に貢献しています。
バルセロナのトップチームではなかなか出場機会に恵まれず、2021年7月ミランに1年レンタルで加入します。
汎用性の高いセンターバックでフィジカルとスピード、バルセロナの選手らしく足下の技術も高く、中盤でプレーすることも可能で、ゲームの流れをよく読むことができる選手です。
また、同じスペイン人で既に同国のレジェンドであるボケーテと同じチームであることは彼女にとって非常に良い環境と言えるでしょう。
レンタル移籍のため、バルサに戻ってしまう可能性が高いですが、彼女の加入によりミランは攻守に非常に強いバックラインを手に入れることができました。今シーズンはスクデットを目指せる陣容ではないかと思います。
|ラウラ(ローラ)・ ジュリアーニ
1993.6.5生 ITA
175cm GK
ユヴェントスの守護神がフリーでミランへ移籍!
S.S.ラ・ベンヴェヌータでジュニアのキャリアをスタートさせ、2009年にコモと契約、2010年2月14日にセリエA2(当時の2部相当)デビュー。その後、ドイツで3チームを渡り歩くと、2017年に新たに創設されたユベントスの女子チームへ加入します。スクデット獲得、コッパ・イタリア優勝などのタイトル獲得に大きく貢献し、2020年IFFHSから世界トップ7のゴールキーパーの一人に選ばれます。イタリア代表の不動のGKでもあります。
彼女の加入はミランにとって大きなもので、空中戦に抜群に強く、セービング、キャッチング、そして守備陣への的確なコーチングとGKに必要なすべてを備えています。更に、現代サッカーに求められる足下の技術にも長けており、積極的にビルドアップに参加することも出来ます。
大学のスポーツ学科の学位を取得しており、イタリア語、ドイツ語、英語を操ることができ、文武両道を地で行くスーパーな選手です。
ロッソネレに豊富な才能、経験、リーダーシップをもたらす存在として非常に期待されています。
|フェデリカ・リッツァ
1997.12.31生 ITA
165cm DF
父親の影響でサッカーを始めた彼女。本格的にサッカーをはじめる前は水泳の選手でもありました。
14歳でインテルの下部組織に加入し、16歳でトップデビュー。2015年の夏、モッツァニカへ移籍し、3シーズンに渡って主力選手として活躍します。そして、2018年にミランへ加入。以降、分厚い選手層のため、なかなか出場機会を得られないでいます。
アンダー世代のイタリア代表では主力として活躍し、U17W杯3位に貢献しましたが、フル代表の招集歴はありません。
本職は右SBですが、ガンツ監督の元では3CBの一角や両サイドハーフでの起用が多く、恵まれたフィジカルとスタミナでハードワークする選手です。
20-21シーズンは14試合に出場し(セリエA11試合、コッパ・イタリアで3試合)、1アシストを記録するも、前述したとおり、起用は限定的であり、ナポリが狙っているとの報道もありました。出来れば残ってほしいです。
今回、フェデリカ・リッツァを紹介したのは、他でもない。個人的に僕がファンだから。高校時代、僕も右SBだったことと、彼女がファンを大切にする人だったことから応援するようになりました。Instagramのフォロワーからのコメントに全部反応する律儀なフェデ。最高です。オススメです。
(追記)21-22シーズン途中から出場機会を求めてサンプドリアへレンタル移籍中。彼女も戻ってくるかは不透明。サンプドリアでは一定の出場機会を掴んでおりこのまま完全移籍もあるような・・
最後に・・
ミランの女性陣を紹介しました。男性のトップチームに比べて、情報に触れる機会が少ないと思いますが、実はかなりいいメンバーを揃えています。
各国の代表クラスが集まっており、今回紹介しきれなかった選手達もそうそうたる顔ぶれです。
折を見て、また紹介します。
女子サッカーも近年、プロ化が進み、レベルも急激に上がっています。 Milan Womanの活躍でミランに、サッカーに興味を持ってくる人がひとりでも増えればいいなと思っています。
あとは・・
ダニエル・マルディーニ!セリエA初先発、初ゴールおめでとう!
では、また
Forza Milan🔴⚫🔥
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