モチベーションを紐解くモデル《シリーズ4》
モチベーションについて Vol.4
人が行動する際の動機について、いくつかのモデルが提唱されている。
今回は、「学校へ行く」という行動について、各モデルをもとに紐解いていきたい。
1 プッシュ・プルモデル
人の行動は、自らが押す力によって発生するものと、環境が引く力によって発生するものがある。
プッシュ要因
興味、知識や「◯◯したい」、認められたい、誇りを感じたいなど。
「学校へ行く」ことのプッシュ要因は、例えば、
・友達に会う
・勉強をする
・自尊心を満たす
・親から認められたい
・心地よい
・日常の繰り返し?
だろうか。
それに対してプル要因は、引き寄せられる魅力、環境の質、機会、可能性など。
例えば、
・毎日行くものと決まっている
・受けるべき授業、テストがある
・自分の席がある
・イベントがある
・天気が良い
・家から近い
・安全
・暇つぶし
・設備がいい
などがある。
2つの要因の方向性が同じであれば、モチベーションは一層強まる。
このモデルは単純で、わかりやすいが、3つ場面(行為始発、行為持続、行為終結)を説明するには不十分である。
2 動因モデル・誘因モデル
プッシュ・プルモデルの発展形である。
動因(drive)は「その行為をなぜ為すのか」(why)というに対する答えである。
典型的な代表は興味、欲求である。
例えば、
・探究心が駆り立てられる
・好きな授業があり、刺激を受けたい
・交際相手に会いたい
誘因(incentive )は当人の行為を動機づける環境側からのシグナル。
代表はご褒美や目標対象。
・先生から褒められる
・学力が上がる
などだろうか。
3 接近ー回避モデル
誘因は「引く力」だけでなく、「遠ざける力」もある。罰や危険が代表的な例であり、モチベーションは正の誘因と負の誘因の両方に左右される。
また、誘因は強さも関係する。「絶対◯◯したい」「あまり気が進まないが仕方ないからやる」といったことである。
行動の内訳を「近づくー遠ざかる」に着目したのが、接近ー回避モデルである。
接近動機づけは快を求め、回避動機づけは不快を避ける。
「学校へ行く」という行為で考えれば、
回避動機付けは、例えば、家にいたくないから、仕方なく学校に行くという人もいるかもしれない。
その二つが混在することによってモチベーションが生まれることもある。
快(愛情、喜び、驚き)、不快(怒り、悲しみ、恐れ)は感情であり、複雑である。
人のモチベーションは場(環境)によっても大きく左右される。
特定の状況下で意図を持ち、様々な感情に左右されながら、諸事情に対し接近、回避を繰り返しつつ、そのとき適切だと考える仕方で振る舞う。
行動の原因は個人内の要因だけでなく、環境側の要因も含めて複雑に絡み合って生じる。
モチベーションとは、「場」のバランスが崩れて不安定になると、緊張が高まり、その結果、接近行動や回避行動が生じ、最終的に「場」に均衡状態が回復するという複雑なプロセスであるという。
まとめ
心の変化と環境がお互いに作用して、行動へ移るということは、当たり前のようであるが、切り分けてメカニズムを考えると理解が深まるような気がする。
しかし、まだまだ、モチベーションの理論は続く。
「学校へ行く」という行動は、とても複雑な条件が整った上で成り立つものなのだと気づいた。
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