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映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』評論 解説考察 感想レビュー

割引あり

映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』評論

こちらは動画の内容にさらにテキストで付け足したものです。
https://www.youtube.com/watch?v=I4FWZnAR3jA&t=19s

ハイサイナマステこんにちは!さけねこでございます。今回は映画『ホワイトバードはじまりのワンダー』の解説と考察を交えながら感想レビューをお話していきます。過度なネタバレは避けてお話しますので、最後まで安心してご視聴ください。
2017年公開の『Wonder 君は太陽』は、顔に障害を持つ少年オギーが、周囲の偏見やいじめに立ち向かう感動的な物語として、多くの観客に愛されました。私もその一人として本作にかなり期待していました。そのスピンオフとして制作された『ホワイトバード はじまりのワンダー』は、舞台を第二次世界大戦中のナチス占領下のフランスに移し、人間の善意と勇気が持つ力をテーマに描かれた作品です。
前作の監督とは異なり、本作はマーク・フォースター監督が手がけています。フォースター監督は『ネバーランド』や『プーと大人になった僕』などで知られ、観客の感情を自然に、かつ巧みに引き出す演出が得意とされる人物です。近年では「オットーという男」で同じように優しさをテーマにした作品が発表されています。
映画は戦争の恐怖による闇を全体に行き渡らせつつ、人間の絆を繊細に描き出し、多くの人に絶望から一雫の希望を灯す映画となっております。前作が勇気がもたらす太陽の明かりであるならば、本作は優しさがもたらすロウソクの灯火でしょう。どちらも希望の光であることに変わりはなく、本シリーズを読み解く上で重要な要素となります。




ストーリー概要

物語は、『Wonder』でオギーをいじめたジュリアンが主人公のひとりとして登場します。過去の行為に後悔を抱えながら、新しい学校で孤独に悩む彼の姿は、前作を観た方であれば因果応報という言葉が似合うでしょう。彼は「学校をやめてからおかしくなった」と、未だに自分自身の罪の意識と向き合いきれずにいました。そんな彼の前に祖母サラ(ヘレン・ミレン)が現れ、「あんたは学校をやめたのではなく退学させられた」という言葉を厳しく伝え、自身の若かりし頃の経験を通じて、善意と共感が持つ力を教えようとします。この物語の導入は、「ジュリアン」という元いじめっ子に焦点を当て、彼の葛藤を描くことで前作を観ていない観客にも関心を引きつけるようにアプローチ構成をされています。
「いじめもしないし。そもそも人にかかわ良い」という投げやりな結論に至る孫に、祖母であるサラは孫の「ジュリアン」という名前に秘められた意味、自身の半生を伝えていきます。
サラが話し始める回想は1942年のナチス占領下のフランスが舞台です。この設定は、ユダヤ人に対する厳しい迫害が進行する中での緊張感を生み出

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