退去費用は払う必要がない?

2021年冬に神奈川県大和市から横浜市へ引っ越ししました。賃貸物件の「退去費用」を巡る僕の体験を書こうと思います。

大和市に住んでいた頃、このノートを書くきっかけにもなったことですが、家にまつわるあんなことやこんなことがあり、YouTubeで住宅に関する動画を見まくっていました。そのせいか、一時、「あなたにオススメ動画」も住宅系のものばかりが表示されることに。その中で、「退去費用は払っちゃダメ!」みたいな動画がいくつか挙がっているのが目につきました。サムネのみでちゃんと内容は見ませんでしたが、そんなぼんやりとした認識を得てから、初めての退去を迎えることに。

いざ退去の立会いの日。管理会社が室内を隈なくチェックし、付箋をペタペタと貼っていきます。(この家は僕たちが住み始めた時点で築30年くらい経過していました。)
管理会社「この付箋を貼った箇所、壁紙に汚れや傷があるので、壁紙を張り直します。その費用が確定したら後日請求しますね。」
これまでの人生でもこんなやり取りはありました。そして、都度、何の疑いもなく応じていましたが、YouTubeの情報を信じて、今回は抗ってみることに。
僕「この家に入居したとき、立会いもなかったし、文書とかでお互い確認もしてないですよね?この家って築30年以上経ってますし、この汚れや傷って本当に僕らが原因かわからなくないですか?それなのに僕らが負担するんですか?」
管理会社「会社に戻って確認しますね。」
退去の立会いのときって、向こうは複数人で来ることもあるし、密室でのことなので、気が弱い人や女性などは意見を言いにくいと思います。僕も気が強い方ではないので、専門用語並べてまくしたてられたり、高圧的な態度で応対されたら、毅然と振舞える自信はなく、内心ドキドキでした。(このときは管理会社がすんなりと引き下がってくれたので良かったです。)

その後、管理会社がどう出てくるかわからなかったので、念のため理論武装をしておくことに。消費者センターのホームページを確認してみました。政府・役所系のホームページなので、いまいちわかりにくかったですけど、「①住宅としての機能に支障を与えるような損傷の場合、その修繕費は退去者が負担する必要があるけど、②住宅としての価値を上げるための修繕の場合、退去者が負担する必要はない」という風に僕は読めました。今回のケースで言うと、次のように考えられると思いました。

・壁紙に傷や汚れがある⇒壁に穴が空いていたり、カビが生えているわけではない。壁紙にちょっとした汚れや傷があっても、人が住むに当たり問題はない。(住宅としての機能に支障はない①)

・もしそれでも壁紙を張り替える場合⇒壁紙を張り替えることは、住宅としての機能確保のためでなく、「見栄えをよくするため」と言える。(価値を上げるための修繕②)

つまり、僕が管理会社とのやり取りで主張したこととは異なる理屈になりますが、やっぱり向こうが主張する退去費用をこちらが支払う理由はなさそうでした。(ただし、契約書で別に取り決めがなされていると、難しい場合もあるようです。)

後日、「修繕費用は請求しない」旨の通知が郵便で届きました。無事支払なくてよくなった訳ですが、「論破したぜ。」みたいな達成感はまるでなく、ただただ疲れました。「本来支払う必要のないお金」を「支払わない」ために時間や労力を割かれることが、不毛だと思ったからです。そう考えると、管理会社からすれば、「応じてくれなくてもともと」だし、「応じて払ってくれればラッキー」というスタンスで挑めるので、「ノーリスクハイリターン」だなと感じました。

また、この問題を見えにくくしているのは、「家賃を前払いしていること」と「敷金」だと思います。どちらも管理会社側にプールされているので、退去の際、残金が住人へ返金される形になります。今回のケースに当てはめて、もしそのプール金から「壁紙の張り替え費用」が差し引かれていたとしても、いくらかでも返金されようものなら、「お金が戻ってきた。ラッキー。」くらいの認識で終わってしまう可能性があると思いました。

僕は今回、軽く知識を得ることができたため、今後引っ越すことがあったとしても、同様に対処しようと思っています。しかし、このようなことを知らない人たちが今日もどこかで引っ越しをし、不当な費用を請求されているかもしれないと思うと、YouTubeで色々と情報発信してくれているのはありがたいですし、僕も微力ながら、こうして文章で残しておこうと思いました。

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