家探しで迷子になったら
唐突ですが、僕はサッカーが好きです。サッカーの世界で、チームの主力選手が予想に反して他チームに引き抜かれてしまったとき、その代役として、慌てて的外れな補強をしてしまうことを「パニックバイ」と言ったりします。(サッカーだけの用語ではないかもしれません。)希望の中古マンションを逃した僕はまさにパニックバイを起こしそうな精神状態になっていました。(逃した経緯はこちら。)
その証拠に、中古では条件に合うものがないので、「新築マンションがいいんではないか?」と探してみたり、中古は中古で、「予算を上乗せしてもなんとかやっていけるんではないか?」と思ってみたり、色々迷走していました。しかし、新築や、中古でも予算を上乗せしてしまうと、金銭的にリノベする余力は残りません。それでも例えば、新築マンションは税制面で優遇措置があります。さらに修繕積立や管理費が初めは安く設定されていることも多いです。以前「マンションは終の棲家にならない?」という記事で書きましたが、それこそ10年以内とかで売ってしまえば、「金銭面では損しないのでは?」と考えるようになっていました。
そんな葛藤が生まれている中、いつものように気になる物件のURLを不動産屋のBさんに送ったところ、「かなべえ(僕の名前)さん、当初の条件とだいぶ変わりましたね。」と言われました。
それを聞き、なんとも言えない気分になりました。傍から見ても迷走っぷりが伝わるんだな。そして、自分の中でこんな疑問がふと湧いてきました。「そもそもなんで家が欲しいと思ったんだっけ?」
僕は元々「家を所有すること」自体にこだわっていませんでした。しかし、「自然素材を使う」など、僕が考える「理想の家」に住むため、金銭面も考慮し、実現できそうな中古マンションを購入しようと決めました(詳しい経緯はこちら)。これが、前述のような新築マンションや、やや高めの中古を‘リノベせずに’住むとなると、その前提が覆ってしまいます。当初、「家を買うこと」が手段で、「理想の家に住むこと」が目的だったはずが、気付けば「家を買うこと」自体が目的になっていたのかもしれません。それに伴い、「いかに損しないか?」みたいな考えに変わってしまっていたようです。もし、「理想の家」や「自分が本当に気に入った家」であれば、損とか得とかって、そこまで執着しないのではないか?と個人的には思っています。
そうして、Bさんが何気なく言った一言がきっかけとなり、僕はマンション探しをやめることにしました。それをBさんに伝えると、「家探しをしていくと、みんな理想の物件に出合えず、迷子になってしまいます。その中でいかに妥協していくかですよ。」と引き止められました。なので、この「家を買うこと」自体が目的になり、「なんでもいいから家を買わなきゃ」みたいな心理状態に陥ってしまう現象は、家探しで行き詰った人には共感してもらえるのではないかと思います。そんな中、多くの人は継続してアンテナを張りつつ、良い物件があったら内覧してみたいな感じで、ある意味「片手間で」家探しをするかもしれません。しかし、僕は性格的に、良くも悪くも一つのことに集中してしまいがちです。「家探しをするなら全力で」みたいな価値観です。なので、これ以上家探しをしたら、ドツボにはまる未来しか見えませんでした。(我ながら面倒くさい性格というか、不器用というか・・・。)
このように、2021年11月頃、2世帯も含めると約1年間続けた「家探し(購入)」を一旦諦めました。一旦と書いたのは、いずれ地方移住するつもりで、移住したらその土地で、やっぱり家を買いたいと思っているからです。また、この1年続いたゴタゴタがきっかけで、移住タイミングも、「いずれ」ではなく、「5年以内」という明確な時期を設けることにしました。このように、僕は「移住」というある種の「逃げ道」のようなものがあったため、少し気楽な部分があったと思います。しかし、「永住するつもり」、「終の棲家にするつもり」で家探しをしていたら、こんな風に「うまくいかないからやーめた。」なんて簡単に決断できなかったと思います。そう考えると、今のこの時代に、神奈川のような都会で家を探し続けるって本当にしんどいなと思います。(もしかしたら地方でも状況はさほど変わらず、数年後、僕は同じことを言っているかもしれません(笑))。だからこそ、家探しで行き詰まること、「迷子」になることは多くの人に訪れると思います。そのような場合、「自分はなぜ家を買おうと思ったか?」という「目的」の部分に立ち返ってみると、そのときの自分に取っての最適解が見つかるかもしれません。