働くということいわないこと②
その玩具屋は朝の9時から夜の8時までの営業でした。
午前中はお買い物ついでの主婦の方の来店や、お孫さんへの節句人形や、赤ちゃんへの贈り物を購入される方が多かったです。
朝からお昼にかけては子連れのお母さん方が多かったように思えます。
玩具の前で駄々をこねる姿は、きっとどの時代も変わらないんでしょうね。
お昼を過ぎて夕方に近くなると、中学生や高校生が文房具などを見に来ることが多いようでした。
このあたりで宿題を終わらせた店長の孫君が現れて蹴りを繰り出してきたりもします。
この時間くらいから酔っ払いが店内で暴れることもあります。
そういう時はお巡りさんを呼んで対応してもらうしかありません。
酔っ払いに「俺の嫁〜」と呼ばれながら追われてる学生さんにお店のものをなぎ倒されて行ったこともあります。
怖かったでしょうね。
学生さんは無事に逃げて、酔っ払いは残ったので警察を呼びましたけど、学生さんは逃げたままだったので、心の傷になってなければいいんですが。
そして夜、仕事帰りのOLさん方がインテリアやアクセサリーを見に訪れます。
それに、小さなお子さんが1人で訪れることがあります。
実はこの玩具屋の隣は信用金庫、その隣にはパチンコ店があります。
おそらくパパかママ、もしくは両親ともがパチンコに夢中になっているのでしょう。
けれど子供達はどの子も、絶対に親がいる場所は言わずにぼかします。
そのくらいの時間になるとお店はあまりお客さんがきません。
それなら。と声をかけて、お話して、展示しているサンプルの玩具を一緒に動かして…
8時になったらお店を閉めなければいけません。
いつも、ごめんね。と、事情を話すと走ってお店を出ていきます。
帰り道は酔っ払いだらけです。
道にも人がよく倒れています。
車道に寝てる人に「大丈夫ですか?」と声をかけると怒鳴られたので、仕方なく警察を呼びます。
この町は朝になってもよく酔っ払いが道端で寝ていたりするんですが、今の街に来てから、そういう人がいない町があることを知り驚いた記憶があります。
帰る時にパチンコ屋の中をチラッと見ると、店内のそういったスペースがあるんでしょうか?
子供達が何人かクルクル回ったりして遊んでいました。
この子達は一体何時までこうやって過ごしていたんでしょうね。