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料理というもの

実家が100年続く寿司屋なのだが、特に料理を習ったことはない。
ただ、サヨリの皮とか氷頭なますとか棒鮨の昆布とか、持ち帰ってもらった余り物を食べていたので、それなりに旬や味の分かる子どもに育った気はする。

大学から一人暮らしで料理を始めるようになり、
「30円で作れるペペロンチーノ凄え」という金銭的要請と、
「宅飲みで、お前の飯は美味しいと言ってもらう快感」によって上達した。

はじめは足し算。
オリーブオイルをドバドバ回しかけ、不必要にフランベし…といった形から入門した。立ち上る油煙、かけ過ぎて燃え盛るウイスキー。家燃えるで。

いつからか「素材の持ち味を引き出し」的な引き算ができるようになり、
野菜と水の扱いが上手くなった。日本人の水の扱い方はすごいと思う。塩で肉を脱水して、お浸しでも野菜を水に生けてから茹でて、のような水の感覚は、他の国に比べて鋭敏な気がする。

で、世界一周したこともあって、マリアージュ、掛け算ができるようになる。イタリアで食べた「洋梨に黒胡椒」とか、カタールで食べた「フムスとdukkah」とかは、日本にいては絶対に考え付かない。
ただ、翻って考えてみると、日本の「カレーうどん」とかも中々の発明品な気もする。

低温調理とか、分子ガストロミーみたいな割り算にはまだ手を出していない。あれは沼だ。燻製は好き。

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料理は次の3要素について考える(はっきりさせる、持論を持つ)ことで、
上達が早くなると思う。


■1)水分について

・浸透圧とか難しい理論はあるが、一言で言えば「水分を取るか含ませるかはっきりする」である。魚や肉に塩をしたら、水分が浮いてくる。これは臭みを含むので、拭き取る。サラダにするには野菜を水につけておき、最後にスピナーで飛ばすか、ざるに上げて水分を切る。これだけで味の輪郭がシャープになる。

■2)熱について

・温度の管理「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく」である。中途半端にせずはっきりさせる。中華なら下ごしらえをして調味料も合わせておいて、一度に一気に加熱する。冷製パスタなら具材も皿も冷やすとスペシャルになる。肉を焼くときには常温に戻さないと、生焼けになる。
これもメイラード反応とか、タンパク質凝固温度とか、コールドスタートとか探究していくと楽しいんだけれど。

■3)味付けについて


・基本は「初めからイメージを固めておく」「ぶれない、やりすぎない」ことに尽きる。ドレッシングは酸と油と塩分、煮付けのタレは酒と醤油とみりん、肉には塩。骨組みを決めてしまって、あとは足し算すればいい。柚子胡椒、生姜、ローズマリー、骨組みが決まってたらどれだけでも遊べる。事前にイメージして、あとは味見しながら変えていく。

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考えてみたら、経験してきたことをこうやって(間違っててもいいから)言語化するって大事ですね。コルブの経験学習、内省のプロセスと一緒だ。

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2013/10/pdf/004-014.pdf


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