転職して10ヶ月の振り返りのような独白のようなひとりごと。
今年の年始に1年の振り返りnoteを書いた時は現職でのことについてはただただ不甲斐なさしかなく、10月半ばに転職してからのことは何も振り返れなかったのですが、ちょっと気持ちの区切りがついて、振り返るなら今かなぁと思い立ちました。
有益な情報でも人に知って欲しい内容でもないのですが、私のこの10ヶ月間のいろんな気持ちの供養のため、そしてそれらをここに置いて、これからますます頑張るために、こっそり書いておきます。
Twitter入社
今の会社に入ったきっかけは、転職活動を始めた頃にTwitterで見かけた「新規事業のデザイナー募集!」というbosyuでした。
カジュアル面談で渋谷のオフィスに行き説明を聞いて、ここはいくつもの事業をやっているけれど、ビジョンやミッションがぶれずに常に中心に存在している会社なんだな…デザインのやりがいがありそうな会社だな…と感じました。
前職のスタートアップを辞めた理由が、ビジョンのない会社で何を目指してデザインをすればいいのかわからなくなったことだったということもあり、特にそういうところに惹かれて入社を決めました。
入社当初
今まで小さい規模の会社でしか働いた事がなかった私は、百数十人の社員のいる会社に慣れるのに思った以上に苦労しました。
しばらく海外で働いていたり、前職のスタートアップも若い人ばかりの少人数チームでやっていたりしたので、久々の「会社」にしんどくなってしまい…(この規模のベンチャーでそんなことを言ってるのは私くらいだと思うけど)。
あと私が入ったのは金融の事業部だったため他の部署とは少し空気感が違い、業界経験の多い方が多く他事業部と比べて年齢層が高めだったのもあったと思います。
後から思うと、遠慮しすぎてサービスに関わるチームとのコミュニケーションを取りに行けなかった事が苦しい原因だったと思います。
事情によりオフィスもビズ側のチームとは分かれていて雑談もあまりできなかったのですが、そうするとなかなか組織の全体も見えず、チームの課題やあるべき姿、サービスの本質的なところも考えられません。
何とかしなきゃと思いつつ一旦求められているクリエイティブ作成などの仕事に向かったものの、やはり理解が足りない、腹落ちしない状態でものを作っても自分の納得いくものは作れず、自分の役立たずさに自己嫌悪してますます辛くなっていく、という負の連鎖なのでした。
サービスの1人目のデザイナーとして一番やるべきはサービスに関わる全体の把握だと思うし、デザイナーはビジュアルをきれいに作る人だと思われているような時は特に、各所とコミュニケーションをとって情報を集めて、全体の動きを把握した上で本当にまず必要なことを自分で判断するべき。
遠慮せずに、多少我儘を言ってもでもチームの皆さんに協力してもらい、まず最初に全体とのコミュニケーションを図るべきだったなと、今振り返ると反省の入社初期。
それでもやっぱり
率直に言うと割と辛くてしんどかった当時の私が救われたのは、社内の他事業部の人たちの交流です。
当時はまだ、事業部が別だとなかなかチーム外の人とサービスについて話す機会がなかったけれど、飲みながらサービスのことを語る皆さんの話を聞くと、やっぱりみんなこの会社が好きで本当にサービスのことを考えて仕事してるんだなぁ、やっぱりこの会社に入ってよかったなぁと思うのでした。
入社する前から友達だったデザイナー仲間の先輩も別事業部にいて、社内のことを教えてもらったりデザインのことを相談したりできたし。
隣の席の別事業担当のデザイナーのお兄さんが気を遣っていろいろ助けてくれたのもとてもありがくて、そのおかげでいろんな人と話す機会ができたりもしました。
金融のデザインの難しさ
私が最初に担当することになったサービスは、入社した前月にリリースされたばかりの金融サービス。
どんなサービスを担当するにせよそのドメインの知識はかなり勉強しないといけないことに変わりはないし、そこまで深くは考えていなかったのですが、金融の知るべき知識は思っていた以上に複雑でした...。
それに、「Google先生に聞けば大体わかる」「必要な時に必要なことを勉強すればOK」というスタンスで構えていた自分の誤算は、予め業界の知識や感覚を持っていないと、人と有意義な議論ができないことも多いということ。
わかる人と話していても、事実と主観はどうしても混ざるもので、ある程度自分自身が業界のことをわかっていないと、本当の意味での議論は難しいな...と感じることもあったり。
そしてデザイナーとして一番苦しかったのは、ユーザーのメンタルモデルを理解できていなかった、ということ。
サービスを改善する上で、ユーザーがどう感じるかを想像しながらクリエイティブ制作したりサイトを改善したりするのは当たり前ですが、担当サービスのユーザーである人たちは、自分とは層が全く被っておらず、どういうモチベーションで、どういう目的でこのサービスを使うのかが初めは全然わからず…。
ユーザーの気持ちになれないとデザインがめちゃくちゃ難しいタイプなので、かなりしんどかったです。
どんなに自分から見ると改善した方がいいと思う箇所でも、あくまでこういったサービスの利用経験のない「私」の感覚であって、ユーザーから見ると違うのかもしれないということもあり、「一旦やってみよう」と押し切る勇気もなく。
その後徐々に、インターネット上の声を拾ったり、ユーザーインタビューでユーザーのお話を聞いたり、チーム内で議論したりして、少しずつ会社のやりたいこととユーザーに喜んでもらえることの重なる所がわかってきたと思うので、まだまだ課題はあるけれど、当初に比べればだいぶ前に進んだなと思います。
リモート生活のはじまり
2月半ばの日曜日、Slackでコロナ対策のため明日からフルリモートになると全社連絡が入り、翌日の月曜日からは家で仕事をする生活に入りました。
その後オフィスに行ったのは、6ヶ月後でした。
パソコンとネット環境さえあれば仕事できるし、もともと集中作業Dayとして週1でリモート勤務の日を作っていたのもあり、私個人は何の不便もなくフルリモート生活へ移行しました。
むしろ、身支度を整える時間や会社へ移動する時間がなくなり、起きてすぐ仕事ができるので、作業に使える時間が増えてむしろ快適になったという感じです。
(10:45に起きて11:00から仕事をする今の生活に慣れてしまうと、もう9時に起きる生活に戻るのはなかなか難しい...)
毎日家で同じ景気だけを見て仕事するだけの生活が続き、リモート生活がしんどくて人が恋しくて病みかけたのは、半年くらい後のこと。
状況の変化
リモート期間に入ってしばらくした頃、上司が退職することを知りました。
自分がTwitterで1番最初に連絡をとってカジュアル面談で話して、この人と一緒に働くならやってみたいと思って入社を決めた方でした。
実は、私の仕事のモチベーションで「この人のために頑張ろう」の気持ちって結構大きいみたいで、もちろん上司のために仕事してるわけではないのだけど、一緒に頑張っている人を見て私ももっと頑張ろう、と思う気持ちがすごく大きな力になるタイプなんですよね。(行動経済学ではこれをピア効果というらしい)
それに、事業の中心となって全体を整えてくれていた、私も1番たくさんサービスについて議論してきた方だったので、その方のその先の未来を100%応援しつつも、自分自身はすぐには整理がつかず結構ショックでした。
(気持ちのバランスをとるために、前から欲しかった30万のフルサイズミラーレス一眼をポチったのは内緒)
ただ、短期的に見るとマイナスな出来事に感じることも、全ては起こるべくして起こってると思っていて、このことに関しても、やっぱり変化のあったところには新しい風が吹くんだなぁという事がその後起こったりもしました。
新規サービスの立ち上げ
上司の退職を聞いた後もアクセル全開で走り続けられたのは、また別の新しい金融サービスのデザインを担当することが決まっていたから。
この新規サービスのデザイン作業にがっつりあたっていた2ヶ月間は、プライベートの割合0で、ひたすらそのことだけを考えて走り続けていました。
スケジュールがハードだったしもちろん色々問題も起こるのでしんどかったのは確かだけれど、でもやっぱりガシガシ作るのは楽しかったです。
(2ヶ月間ハイになってやっていたら、落ち着いて糸が切れた頃に少し体にきたけど)
最初に担当したサービスの時はリリースした後にジョインしたので、どうしても思うようにいかない部分がたくさんがあるけれど、今回はサービスサイトも0から作り直したためほぼ0→1だったので、やっぱり前のサービスに比べると圧倒的にやりやすかったです。
ただ、既存サービスのリブランディングだったため、サービス自体を0から作れるわけではなく、既存サービスの現状と引き継ぐべき制約の把握、自社と今回グループ会社となった運営会社のお互いの認識やここまでの経緯の理解、整理にはなかなか苦労しました。
ビジネスモデル上の制限や、金融庁や財務局との調整事項、同業サービスのこと、いろんな方面での制限や検討するべきことはあったけれど、なるべく集められる限りの情報をガーッと集めて、集め続けながらできうる限りの最善の形を考え、設計していきました。
全体の構成から検討し直して、出来上がった画面数は60×2(SP・PC)くらい。
ロゴやVI設計と並行して、リサーチして、仕様を詰めてワイヤーを作って、簡易デザインシステム作って、コンポーネントを組み立て画面を作っていって、と2ヶ月ではかなり厳しいスケジュールだったけれど、何とかほぼスケジュール通りに間に合いました。
多少粗もあったはずだけれど、つよつよエンジニアさん達のお陰で、その後の開発もそこまで大きな問題はなく進んでいたと思います。
新規事業の立ち上げを完全リモートで行うというのも、なかなか貴重な経験でした(やっぱり本当は顔を合わせながらたくさん話しながら作りたいけど)。
新しいチーム
(時を少し遡り、)「使う」ための機能的なページの設計が大方落ち着き、そろそろ「伝える」ためのトップページなどのデザインやロゴデザインに取り掛からないといけないタイミングで、とても心強い見方がチームに入りました。
私はミッションドリブンなサービスのデザインを考えるのが好きだけれど、それを創り出すことは得意ではなくて、それを考えられる人が中にいなかったので、最後まで後回しにしていたんですよね。
新しく加わった人はまさに、全体の事業の軸を整えて戦略を考えることが得意な人。
ギリギリ間に合うタイミングで彼が仲間になり、引っ張ってくれたお陰で、事業の軸となるターゲットやサービスの価値などの認識を事業に関わる全員で共有することができ、ここでようやく本当の意味でサービスの形ができたのでした。
ちなみにそれまでは、「会社的に他のサービスとの兼ね合い考えるとロゴやサービスカラーはやっぱり赤であるべき」「でもサービス単体で見てまったく先のイメージがわかないな」と迷って正解が見えずにいたのですが、
ターゲットが明確になり、「制約は一旦なくして、サービスのデザインを担当するあゆみさん自身が1番納得する形にしてくれたらいいよ」と言ってもらったことで、頭の余計な固定概念を振り払ってフラットな状態で再び本気で考え直して、青がサービスカラーとなり、赤より熱い青い炎のシンボルマークのロゴが生まれたのでした。
会社にとってももちろん重要な新規サービスで、責任のある仕事だと思っているし、一人で決断していたら、きっとプレッシャーに負けて守りに入って何の意味もないブランディングになっていた気がします。
あと、彼と働くようになってから、やっぱり自己肯定感を上げてくれる人が周りにいると圧倒的にクリエイティブ仕事がしやすくなるなと思いました。
自分が生み出したものを、自分だけのものでなくチームの総意として世に送り出せる感じがして、安心して仕事が出来る。
リリース
そして、強いエンジニア様たちのお陰で無事に開発も進み、いろんな方の努力によって素敵なスタートアップ企業さんに初号案件として利用していただけて、予定通りのスケジュールでリリース。
結果、想像していたよりもずっと反応がよく、サービス自体への期待や評価に混ざって、デザインについての嬉しいコメントまでいただけたりして、なんて贅沢な仕事なんだろうと思いました...。
サービスを多くの人に知ってもらうこと、興味を持ってもらうことに少しでも貢献できた(らしい)ことが感じられて、とっても嬉しかったです。
今回は、既存サービスのリブランディングということで、大幅に見せ方を変えて見やすさ使いやすさを第一に考えつつ、既存サービスを評価してくださっていた投資家ユーザーさんの期待を裏切らないように、ということも密かに意識していたのですが、既存ユーザーさんからも情報の内容の良さが活きつつ見やすいというお褒めのお言葉をいただけて、本当に泣きました。←
本来、デザインはちゃんと伝わるべきことが伝わり、違和感がなく邪魔をしないことが最初の目的だと思うので、世間・ユーザーさんからデザイン自体にお褒めのお言葉をいただくのは何だか腰が引けてしまう気もしているのですが、もらえると思ってないサプライズ的なプレゼントのようで、やっぱり「頑張ってよかったな〜〜」と思いました。
そして実際に初めての案件の募集も行われ、投資の募集開始前日はドキドキしてほとんど眠れなかったのですが、無事にいいスタートを切ることができ、まだ始まったばかりで大事なのはこれからですが、一旦は本当に安堵した昨日でした。
プロジェクトページ内の事業のことを伝えるための画像も何度かMTGで事業者さんと話し合いながら作らせてもらったこともあり、今回の募集を通して素敵な思いの詰まったサービスを多くの方に届けることができ、心から嬉しいです。
そして今
文章を書くことで、頭からその内容を取り出してもう忘れていいことにするという、ダンブルドア先生の憂いの篩みたいな感じ?で、こうやってたまにばーーっと文章を書くことがあります。
お陰でとてもスッキリしました。
改めて振り返って、まだデザイナーとしての経験は半年とかしかないような自分をこの会社に入れてもらっていろんなことを任せてもらい、一番大きいのは感謝の気持ちです。
全体定例などで社長の思いを聞くたびにもっと頑張ろうと思うし、この会社、そしてサービスの良さを、もっと多くの人に知ってもらいたいと感じます。
新規サービスがまずは無事リリースされて初めての案件の目標も無事達成した喜びやこれまでの苦労はここに置いて、明日から、このスタート地点からまた頑張ろうと思います。
よし。