テクニック不要!パッティングが劇的に良くなるコツ!
(2022年8月25日更新)
最近では、Aimpointなどのグリーンリーディングテクニックが注目されていますが、この記事では、もっとベーシックながら少し上級者向けの「ラインを読んで打つまでのプロセス」についてお話しします。プロ・アマ問わず、パッティングレッスンでよく取り上げられるテーマですので、ぜひ最後までお読みください。
パッティングの3大スキル
パッティングの成功率を高めるために欠かせない基本スキルは、以下の3つです。
①グリーンリーディング
(グリーンの傾斜や速さを正確に読みとる力)
②スターティングライン
(狙った打ち出し方向にボールを正確に打ち出せる力)
③スピード
(タッチや距離感をしっかりと合わせる力)
これらのスキルを身につけることで、パッティングの精度が格段に向上します。
1. APEX(エイペックス)
「APEX」は英語で「頂点」を意味し、ゴルフのパッティングでは「読んだラインの最も膨らむ地点」を指します。要するに、ボールが転がる際に到達する最高地点のことですね。
APEXを正確に読み取るためにはトレーニングが必要です。多くのアマチュアゴルファーは、APEXを過小評価してしまう傾向があるんだとか。後半では、APEXを正確に読むための練習方法をお伝えしますので、お楽しみに!
2. スタートライン(打ち出し方向)について
パッティングでは、ボールの打ち出し方向のおよそ90%がインパクト時のフェースの向きで決まることが証明されています。つまり、ラインの読みが正確であっても、打ち出し方向が狂ってしまうと、カップインのチャンスは大きく減ってしまいます。
スタートラインの正確性を高めるポイントは以下の2つです。
1. インパクトのフェース向き
フェースが打ち出し方向に対してスクエアであることが重要です。
2. 打点の正確さ
フェースの中心でボールをインパクトすることが求められます。
特に、カップまでのラインが曲がる場合(ブレイクラインの場合)、APEXよりも外に膨らませて打ち出し、自分の読んだラインにボールを乗せることが、カップインの必須条件となります。
例えば、下の画像では、ボールをカップに入れるために黄色のラインに乗せる必要があります。そのためには、赤いAPEXよりも膨らませて、青い矢印の方向に打ち出さなければなりません。しかし、多くのアマチュアゴルファーは、このAPEXに向けて直接ボールを打ってしまうため、結果として想定していたラインからボールが外れてしまうことが多いようです。
APEXの読み方とボールのたどるライン
これらを踏まえ、次は「APEX」「打ち出し方向」「結果的にボールがどこに行き着くか」に注目していきましょう。
【誤ったAPEXに打ち出した場合】
①アマが思い込みがちな薄いAPEX (ピンク)
②そのAPEXを打ち出し方向にする
③ボールのたどるライン
【実際のAPEXに打ち出した場合】
①実際のAPEX (青)
②そのAPEXに打ち出す
③ボールのたどるライン
【APEXより外に打ち出した場合】
①実際のAPEX (青)
②そのAPEXより外側に打ち出す
③ボールのたどるライン
【打ち出し方向による違い】
①APEXを正確に読み、②そのAPEXより外に打ち出し、③打つ強さが読みと合うとカップインします。
3. エントリーポイントについて
エントリーポイントとは、ボールがカップに入る際にどの部分から入るのかを指す場所です。このポイントを明確にすることで、ラインをより鮮明に捉えることができ、タッチ(打つ強さ)も合わせやすくなります。
練習の際には、カップの周りに押しピンタイプのマーカーを置き、そこからボールを流し込むように練習するのがおすすめです。
例えば、ラインがブレイクする場合を考えてみましょう。赤のラインを使ってボールをカップインさせる場合、ボールの転がるスピード(タッチ)はダイスピード(Die Speed)で打つのが理想です。これは、ゆっくりと合わせに行くようなスピードです。一方で、オレンジのラインなら少し強めのタッチ、いわゆるホーリングスピード(Holing Speed)が求められます。そして、黄色のラインなら、さらに強めのラインを消すようなタッチ、いわゆる壁ドンスピード(Firm Speed)で打つことが適切です。
エントリーポイントを意識し、ボールをカップに入れるための最適なスピードで打つことが、パッティング成功への鍵となります。
4. スピードによるラインの違い
すでにお気づきの方も多いかもしれませんが、カップインできるラインはパットの強さ(タッチ)によって変わります。つまり、これまでの話には、タッチの強さによるラインの微妙な変化が考慮されていませんでした。
たとえば、下の画像のようなラインがあるとしましょう。強めに打つ場合は黒いライン、ダイスピードで優しく転がす場合は黄色のライン、そして中間の強さで打つなら、その二つのラインの間を狙うことになりますよね。
ここで、APEXと打ち出し方向を再確認してみましょう。ブレイクラインでは、APEXの外側からボールを打ち出さないとカップインしないというのが基本です。もちろん毎回絶対とは言い切れませんが、打ち出し方向がAPEXの外側になるケースが多いのは事実です。
つまり、たとえラインの読みが的確で、APEXや打ち出し方向を正しく判断できていても、その判断に対するタッチが合わなければ、カップインの確率は下がってしまいます。自分のタッチに合わせたラインの読み方が、成功の鍵を握っているのです。
この「ラインを読み取る計画スキル」と、「タッチと打ち出しを実行するスキル」が噛み合って初めて、理想的なカップインが実現します。
さらに深掘りすると、その状況におけるベストなタッチはプレーヤーによって異なります。プロとアマでは、同じシチュエーションでもタッチの出し方がまったく違いますよね。ボールがカップに届かなければ入らないし、オーバーしすぎると返しのパットでミスしてボギーになるリスクもあります。ホールのスコア、残りホール数、守るか攻めるかによって、その時のベストなタッチは変わりますし、プレーヤーのパッティングスキルにも左右されます。ゴルフって、本当に奥が深いですよね。
(タッチの練習方法については、最後に詳しく説明します。)
練習①: ゲートドリルで打ち出し方向を鍛える
まずは、パッティングの基本である打ち出し方向を鍛えるために、おなじみの「ゲートドリル」に挑戦してみましょう。このドリルは、ゲートを作り、そこにボールを打ち出すシンプルな練習です。
ゲートの幅は、ボールが通過できる幅に設定します。幅が狭ければ難易度が上がり、広ければ難易度は下がりますので、自分のレベルに合わせて調整してください。
ゲートを設置する場所ですが、フォロースルーでクラブが当たらないギリギリの位置、もしくはそれより少し先の位置がベストです。ゲートがあまり遠くにあると、打ち出し方向の練習ではなくなってしまうので、その点には注意が必要です。
練習②: APEXドリル
次に紹介するのは、練習グリーンだけでなく、ラウンド中でも実際のグリーンで行える非常に実践的な練習方法です。このドリルにはまだ正式な名前がないので、暫定的に「APEXドリル」と呼びましょう。ちょっと適当ですが、そこはご愛嬌。笑
練習方法
ステップ①: ラインの読み取り
まず、自分のカップまでのラインをしっかり読んで、どのラインにボールを乗せるか決めます。例えば、画像のように黄色いラインを読んだとします。
ステップ②: エントリーポイントの設定
次に、ボールがカップに入るエントリーポイントにマーカーを置きます。ゴルフ場にあるプラスチック製の刺すマーカーが最適です。
ステップ③: APEXの設定
続いて、ラインが最も膨らむAPEXにもマーカーを刺します。このポイントが正確にわかることが、このドリルの鍵です。
ステップ④: 打ち出し方向の設定
APEXより外側にボールを打ち出す方向を決め、その方向にもう一つマーカーを刺します。このマーカーは、フォロースルーの少し先に来るように設置します。
ステップ⑤: パッティング
最後に、タッチを合わせてボールを打ち出し方向のマーカーに向かってパッティングします。打ち出し方向、APEX、エントリーポイントを意識しながらストロークすることがポイントです。
このドリルのメリット
このドリルの最大のメリットは、ラインを明確にビジュアライズできるだけでなく、ミスした場合の問題点がすぐにわかる点です。
• 打ち出し方向のマーカーを通過できなかった場合:
打ち出し方向のコントロールに問題があります。インパクトのフェイスの向きや打点に注意が必要です。
• 打ち出し方向を通過してもAPEXを通過できなかった場合:
ライン取りやタッチが合っていなかった可能性があります。この部分を修正することで、より正確なライン取りが可能になります。
• 打ち出し方向とAPEXを通過したのにカップインしなかった場合:
ボールが手前で切れた場合はタッチが弱かったか、読みが薄かったことになります。逆にカップ奥で切れた場合は、タッチが強すぎたか、読みが厚かったことになります。ここを意識して調整しましょう。
このドリルのまとめ
この練習は非常に効果的なので、ラウンド中にもぜひ試してみてください。ただし、時間をかけすぎて同伴者に迷惑をかけないよう、手早く行うのがポイントです。スムーズに動けるようになると、ライン読みのスピードも格段に上がり、練習の成果が出やすくなります。
このドリルは、冒頭でお話ししたAPEXを読み取るトレーニングも兼ねています。正確な反復練習を重ねることで、APEXを読む力が確実に向上しますよ!。
練習③: タッチの練習
最後に紹介するのは、パッティングの「タッチ」を鍛えるためのシンプルな練習方法です。特に、さまざまな速さのグリーンでプレーするゴルファーにとっては必須の練習です。
練習方法
同じ位置から同じカップを狙って、異なるタッチでボールをカップインさせる練習を行います。例えば、3メートルのパットの場合、カップから3メートルの位置にマーカーを置き、次の3種類のタッチでパットを試みてください。
1. ダイスピード(コロコロポトン)
カップを20cmオーバーする程度の最も膨らむラインを狙います。
2. ノーマルスピード(サー)
カップを50cmオーバーするくらいの標準的なスピードで打ちます。
3. 壁ドンスピード(ドン!)
カップを1メートル以上オーバーするような強めのタッチで、最も薄いラインを狙います。
応用練習
同じ距離でもタッチによってラインが変わるので、まずはフラットなライから始め、その後、下りや上りのライでも試してみてください。自分のパッティングにおける傾向が見えてくるはずです。
さらに、先に紹介した「APEXドリル」と組み合わせて行うこともお勧めです。異なるタッチに合わせて、対応するラインを視覚化しながら練習することで、より実践的なパッティングスキルが身につきます。
おわりに
パッティングは、ゴルフスコアを左右する重要な要素であり、その技術はシンプルながら奥深いものです。今回の記事では、パッティングの基本的なスキルから、ラインの読み方、タッチの練習方法まで、総合的なアプローチをご紹介しました。これらのドリルを実践し、自分の傾向を把握しながら練習を重ねることで、確実にパッティングの精度が向上するでしょう。
ゴルフの上達には、正しい知識と反復練習が欠かせません。今回の内容が皆さんのパッティングスキルを一段と向上させ、コースでのパフォーマンスに直結することを願っています。
それでは、また。