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アメリカのパッティングレッスンとは?(トラックマン使用)

(2023年4月更新)

この記事では、トラックマンを使用したパッティングレッスンに関する記事を紹介します。

本記事では、2021.1.18にトラックマンインストラクターのAlex YeazelさんがTMの公式HPで公開した記事をまとめて紹介しています。(簡単に訳しているのでオリジナルはここから見てください。

◆打ち出し方向とは?

「打ち出し方向」とは、インパクト直後にボールが飛び出す方向(ストレート・右・左など)を指します。トラックマンでは、この打ち出し方向が度数で表示され、「ランチディレクション(Launch Direction)」の略でLDと表記されることもあります。

似た言葉に「打ち出し角度」というものがありますが、これはボールが打ち出される高さを指しますので、混同しないように注意してください。

パッティングで確実にパットを決めたい場合、まずはボールを狙ったライン(自分が読んだライン)にしっかりと乗せられる方向に打ち出すことが必要です。

打ち出し方向を向上させるためには、ゲートドリルや練習器具を使用するのが効果的です。現状のレベルや自分の傾向をチェックしたい場合、どのように確認できるでしょうか?

…この場合、シンプルに測定機器を使用することをお勧めします。測定機器を使うことで、正確な打ち出し方向を把握し、より効果的な練習が可能になります。

◆データを見てみよう

下のチャートは、ボールの転がるスピードごとに、カップインできる打ち出し方向の許容範囲を1.5メートル・3メートル・6メートルの距離で示しています。

トラックマンのデータによると、例えば10フィート(約3メートル)の距離を転がりの速い1.4m/sのスピードで打った場合、カップインできる打ち出し方向の許容範囲は±0.37度に縮小し、カップのサイズは37%まで小さくなってしま歌め、かなりの精度が求められます。

一方で、5フィート(約1.5メートル)の距離を、転がりが穏やかな0.4m/sのスピードで打った場合、許容範囲は±2度に広がり、ある程度打ち出しの方向をミスしてしまってもカップインする確率が高いことがわかります。

このデータから、パッティングの際にどれだけ正確な打ち出し方向が求められるか、また、転がりのスピードがパットの難易度にどのように影響するかが理解できます。


適正なタッチとは?

多くのアマチュアゴルファーは、ミドルスピードのタッチでパットを打つことが一般的ではないでしょうか?

ボールがカップに届かなければ、パットは決まりません。しかし、逆にタッチが強すぎると、カップを外したときに3パットのリスクが高まります。このため、ミドルスピードが最もバランスの取れた選択として好まれているのです。

ここまでのタッチに関する重要なポイントをまとめると、次の3つが挙げられます。

1. ボールの転がるスピードは、カップまでしっかり届く速度であること。
2. カップまでのラインをキープできるスピードであること。
3. 次のパットを確実に決められる距離にボールが止まるスピードであること。


これらのポイントを押さえることで、適正なタッチを身につけることができるでしょう。


打ち出し方向を構成する要素とは?

ボールが打ち出される方向を決定づける要素はいくつかありますが、特に代表的なものは次の3つです。

1. フェース角度
インパクト時のクラブフェースの向きが、ボールの初期方向を大きく左右します。

2. クラブ軌道
スイング中のクラブの軌道が、ボールの飛び出す方向に影響を与えます。

3. 打点
ボールがクラブフェースのどの部分に当たったかによって、フェースの角度が変化したり、ボールに不均一な回転がかかるため打ち出し方向も変化します。

これらの要素が組み合わさることで、ボールがどの方向に飛び出すかが決まります。

パッティングの打ち出し方向を決定づける要素

パッティングの打ち出し方向を決める要素は、フルスイングと同じフェース角度とスイング軌道です。

トラックマンのデータによると、パッティングの打ち出し方向に対する影響は、13%がクラブパスによるもので、残りの87%がフェースの向きによるものとされています。

このことから、パッティングにおいてもボールの打ち出し方向は、フェースの向きが極めて重要な役割を果たしていることがわかります。



◆実力テスト

ここからは実際のレッスンでおこなわれたパッティングの実力テストの方法とそのデータを見ていきます。

テスト方法

テスト方法
・フラットな10フィートの距離のパッティングを6球おこなう。
・目標の打ち出し方向は:プロが±0.5、アマチュアが±0.8とする。
・距離感の目安として7フィートの位置にコインやティーを置く。
・トラックマンを使用して、打ち出し方向・フェース角度・クラブパス・フェイストゥパスの平均値と偏差をチェックします。 

注意点
パットの強さは、カップを45センチ通過する程度のタッチでおこないます。

テスト結果

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冒頭のチャートでは、10フィートの距離をミドルスピードで打った場合の打ち出し方向(LD)の許容範囲は±0.74度とされています。

このゴルファーの平均の打ち出し方向は0.2度。平均だけを見れば許容範囲内であり、高確率で10フィートのパットを決められるはずと考えるでしょう。しかし、実際には6球中2球しかパットを決められませんでした。これは偏差が±1度と大きかったためかもしれません。

PGAツアー選手の実力

トラックマンによると、PGAツアー選手が3メートルのパットを成功させる確率は40%とされています。この数字は意外と低いと感じるかもしれませんが、これはツアーコンディションで計測されたもので、グリーンの速さやアンジュレーション、試合のプレッシャーなどが影響していることを考慮する必要があります。

パッティング講師のアレックスさんは、フラットなライであれば95%程度の確率でパットを決められるだろうと話していました。また、アマチュアゴルファーにとっては、3メートルのパットを4/6球決められることを目標にするのが良いとしています。

自分の傾向を知ろう

トラックマンなどでデータを取ると、インパクト時のフェース向きやクラブパスに、自分の傾向が見えてくるはずです。

パッティングのストロークにも、カットやドローといった回転軸の傾きの傾向があります。どちらが良いということではなく、自分の傾向を把握し、それに基づいて戦略を立てることが重要です。

このテストを受けたゴルファーのフェイス・トゥ・パスを確認すると、一貫してクラブパスがフェースよりも左を向いていることがわかりました。(クラブパスの数値自体はバラつきがありますが、フェイス・トゥ・パスがプラスのとき、常にクラブパスがフェースより左を向いているためです。)

アレックスさんの話によると、PGAツアーで2勝したマイケル・トンプソンも、インパクト時のクラブパスがフェース向きより一貫して左を向いているそうです。しかし、彼はその一貫性のおかげで、自分の狙った方向にボールを打ち出すことができています。

実際、アレックスさんとパッティングデータを計測した週に、マイケル・トンプソンは3Mオープンで優勝し、パッティングのストロークゲインド(SG)ではフィールドよりも7ストロークも上回る結果を出しました。パッティングだけで7ストロークの差をつけるのは驚異的なことです。

つまり

毎回フェースが軌道に対して閉じたり開いたりしていても、それ自体は問題ではありません。一貫して同じ傾向を持ち、それを把握していることが重要です。

しかし、フェイス・トゥ・パスの数値が一定だからといって、必ずしも打ち出し方向(LD)が一定になるとは限りません。打ち出し方向の安定性には、インパクト時のフェース向きが最も重要な要素であることを覚えておきましょう。


◆アレックスさんの結論

この実力テストの結果を踏まえて、Alex Yeazelさんは次のようにアドバイスを行いました。

テクニック面でのアドバイス:

1. フェイス・トゥ・パスの偏差
フェイス・トゥ・パスの偏差が比較的大きく、この偏差がパッティングスキル向上の障害になっています。より安定させることが重要です。

2. トウのリリース
フェースが開きやすい傾向があるので、もっとトウをリリースしてボールをヒットするよう意識しましょう。

3. クラブパスの調整
もしフェースの向きを大きく変えるのが難しい場合、クラブパスを-1〜-2度に抑えることで、打ち出し方向を安定させることができます。

道具面でのアドバイス:

1. トウハングのパター
フェースが開くことが多いので、トウハングのパターに変更することを検討してください。これにより、フェースが閉じやすくなる効果が期待できます。

2. ウェイト調整
もしトウハングのパターに変更しない場合でも、フェースが閉じやすいようにウェイトを調整することが有効です。


この他にも、オリジナルの記事ではスピードコントロールやAPEXに関する取り組みについても詳しく紹介されています。パッティングのレッスンを考えているゴルファーは、このような質の高いレッスンを期待するべきでしょう。

気になる方は、ぜひオリジナルの記事をご覧ください。
オリジナルはこちらから


【パッティングの考え方・練習方法についての過去記事はこちらから】

APEXを考慮したライン取りについて


おわりに

今回は、アメリカで一般的に行われているパッティングレッスンをご紹介しました。データを基にストロークを分析するレッスンは、最も効率的な方法の一つと言えるでしょう。

筆者が最近受けたパッティングレッスンは、2021年4月に越谷の橋本先生によるもので、データ測定と分析を活用したものでした。さらに、2017年にはLAでAimpointの先生から、グリーンリーディングに関する実践的なレッスンを受けました。

パッティングにお悩みの方は、パッティング専門のレッスンをぜひ検討してみてください。スコアの改善に直結するので、個人的に非常におすすめです!



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