自炊

１．自炊

「自炊してるの」と聞かれると、都度「定義を共有していただいてよろしいですか」と聞き返すようにしている。
わたしはほとんどコンビニに寄らない。外食もしない。家で食べる。
「え、どういうこと？自分でご飯食べてるかってことだけど」
「コンビニで買って帰ったり、外食で済ませたりはないですねえ」
そうするとたいてい相手は「偉い、ちゃんとしてるね」と言うので、へへっと笑ってそこで話を変えることにしている。

というのも、「自炊」の「炊」の部分が不安なのだ。

フライパンは持っているが、棚の奥に鎮座している。
炒め物、揚げ物、一切なし。
包丁。あまり使わない。
じゃあ何を食べるというのか。

玄米。ゆで卵。サラダチキン。とうふ。高野豆腐。さつまいも。納豆。めかぶ。冷凍野菜。コーンスープ。カット野菜。鍋。しゃぶしゃぶ。蒸し野菜。野菜スープ。オーマイの冷凍ミール。トマトソース。

だいたいこれをローテーションしてで生きている。
パックから出したままのものと、電子レンジと、鍋で生きている。
「自分で煮炊きする」の「煮」の部分だけはちょっとやっているが、火を使わずに生きている。

並んでいる品目を見るとめちゃくちゃ健康そうに見えるかもしれないが、あまいものに目がないのでプラマイゼロだ。
毎回同じものばかり食べて、毎回同じものを買う。
そろそろ近くのスーパーで「いつも卵とサラダチキンと（省略）を買いに来る黒い人」と呼ばれているかもしれない。