味覚
1.味覚
あまいものが好きで、苦いものと辛いものが苦手だ。
お子様プレート(オムライス・ハンバーグ・プリン)と、居酒屋の駆けつけ一杯セット(ビール・キムチ・チーズ)のどちらを選びますかと言われたら迷うことなく前者を選ぶ。
しかもあまつさえ、プリンから食べるくらいの暴挙はする。
死ぬ前に食べる最後の晩餐はなににするか、という話になって、みんなが「ラーメン」「寿司」「ビールと餃子」などと挙げていく中、「苺タルトかあんまんか大福」と言ったら「何歳だ」と怪訝な顔をされた。ついでに「晩餐って晩ご飯だけど」とも言われた。晩ご飯にタルトかあんまんか大福を食べてはいけないのか。
普通は食べない?そうだろうな。
ビールとワインとチーズが苦手なので、ヨーロッパ旅行は望むべくもない。
お酒も強くないので、居酒屋に行くとソフトドリンクばかり飲んでなんとなく損をした気分になる。
親しい仲になると、遠慮もなにもなく序盤からデザートを頼む。
6歳児と同じくらいの味覚だと思っていたのだが、つい先日6歳の甥っ子が蕎麦にワサビを入れているところを目撃したので、5歳か4歳くらいまで下げようか検討中である。
2.味覚ーーなぜ苦手か?
なぜって、苦いものは苦いし、辛いものは辛いからだ。
苦いものは食べたあと「べー」となるし、辛いものも食べたあと「べー」となる。
かつてわたしは歩くほっぺたのような幼児だったので、9つ上と6つ上の兄からすると、その「べー」は最高に可愛かったにちがいない。
「これは辛くないよ」と幾度となく言われ、毎回もれなく「べー」となった挙句ひんひん泣いたり怒ったりするほっぺた。
かわいい。絶対かわいい。わたしだって「これ辛くないよ」やりたかった。
やられてる方としたって、可愛がられているのを知っていたに違いない。あんなに毎回みごとにひっかかっていたのは、今考えてもおかしい。
だから克服しなかったのかもしれないなとふと思ったが、今や可愛がってくれる相手も特にはいないので、からいものとにがいものを避けながら暮らしている。