誰も見たことのない人にソックリ
かねてから「誰にも似てない」と言われてきた。私の顔のことである。これは親戚のおじさんの褒め言葉として判断して良い場での発言であったため、私もそれほど気にせず、ネタにしてきたのだった。このことがこの夏覆った。今年の夏は竹の網代編みで作る籠編みワークショップを開催したが、そこへ私の両親と高校の同窓で私のことも小さい頃から知ってくれているMさんがきてくれた。説明を聞くため私の斜め後ろからの横顔が見えるポジションに立ったMさんにはその後の話が一切入ってこなかったらしい。なんと、高校生時代の私の父が喋っているようにしか見えず、呆気に取られてしまったというのである。その時同じ籠編みクラスを受講してくれていたのが、父の従姉Mさん(そういえばこの方もイニシャルがMさんだった!以下Miとする。)であった。父は3歳ほどで生母を亡くしている。そのMiさんがMさんの言葉に次いで曰く「そうや、あっちゃん、叔母ちゃんにそっくりやもん、初めて顔見たときびっくりしたもん」「エ゛ッ?」と私。私とそのMiさんが初めて会ったのは私が高校生の頃だった。Miさんは父の生母が亡くなったとき10歳。父の生母の生前、従兄弟(私の父には7つ上の兄が、Miさんにも3つ程離れた兄がおり、従兄弟姉妹同士で遊ぶということもあってだと思うが)のいる”叔母ちゃんの家”へ、度々泊まりに行っていたため、よく顔は覚えているという。「あんたそっくりやで」「へーッ!」。家に帰り、さもありなん。と思っていた。少し、後日譚がある。それは叔父Mのことだ。ある日、母方の祖母が、「あんた、2階に出してあるMのアルバム見たか?」と言ってきた。私は「まだ見てない」と言いつつ、祖母と2人で見出した。すると、私の祖父に似ているとばかり思っていた叔父Mの幼少期の目元は横に並ぶ3歳年上の姉(私の母、これは目元が私の祖父に似ている)とは印象の違う目元であった。「(一緒に写真を見ている)おばあちゃんに似てるんか?」と私が問うと、祖母は「いや、この子(叔父M)の顔見てMさん(私の祖母の義母、私の曾祖母)は亡くなったお父さんにそっくりや、ゆうて驚いてた」、と言った。私の曾祖父は私の祖父母が結婚する前に亡くなっていて、私の祖母もその顔を知らない。「へーッ!」。私と叔父は”誰も見たことのない人にソックリ”仲間だ。(今日の登場人物のイニシャルがほぼMで驚きました。)