見出し画像

美術館鑑賞記録:広重━摺の極み━

きっかけは、カーラジオから流れてきた『広重ぶるう』の話題だった。その後、ドラマを実際に見てみて、その”ぶるう”を確認した。同じ時期に開催していたのが、あべのハルカス美術館での本展だった。第2章の説明にプルシャンブルーの名前が出てくる。あぁ、あの”ぶるう”はプルシャンブルーのことだったのか!この瞬間に私の中でとても遠かった広重さんとの距離がサッと音聞こえたんじゃないかと言うほど近くなった。私が毎週通っているアートクラスには誰かれとなく持ってこられて誰でも使っていいよとなっている誰にも使われていない版画用の絵の具がたくさんあった。その中でどう贔屓目に見ても紫色のラベルがついている”プルシャンブルー”と名前がついてある絵の具はそのラベルカラーの通り、これはきっと紫色なんだろうと思っていた。版画をいくつかするようになってから、ある日プルシャンブルーを使ってみた。驚いた。ラベルの色とはおよそ違う、深くそれでいて薄く伸ばすと透明感のある美しいブルーだった。「プルシャンブルーって綺麗ですね」
と誰にとなくいうと、1人の先輩が「プルシャンブルー、私も好きよ」と答えてくれた。そんなこと展覧会の文に”プルシャンブルー”という言葉を見つけたあとは、「あぁ、ここにも青が」「ここにも青が」と、目を追う鑑賞になった。私の中に普遍的な美しさがひとつ増えた夏だった。

いいなと思ったら応援しよう!

Atsuko
よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはより楽しい記事執筆のための温かい飲み物費や本の購入、交通費等大切に使わせていただきます!