呪いのお札
・電車の8人掛けの座席の真ん中に少量の土の塊がこぼれていた。茶色の魔法は強力だ。両端の2人以外誰もその椅子に座ろうとしなくてウケた。
乗客の各々が、各々のSoil or Unko判定機にかけ、なるべく安全な土を踏もうとしているのだ。
・ここ1週間くらい、自分ではない誰かの血のついた千円札を手放すタイミングを失ったまま生活をしていた。
この1週間で現金を使う機会は何度かあったはずなのに、偶然有人レジばかりに当たってしまい、「他の綺麗なお札の下に紛れ込ませればバレないんじゃん…?」などと毎度囁いてくる悪魔の声を払い除け、結果的に呪いのお札(×おふだ ○おさつ)を一身に引き受ける形となっていた。
先日はやっと巡り逢えたセルフレジで、人にあげるためのポイフルを買ってしまった。血札と人にあげるポイフルのトレードは、心理的にちょっと…できなかった。
・昨日は、そもそもお家に財布を忘れた。
仕事先のお姉様が、次にいつ会うかもわからないのに、社食の食券機で発券するための現金400円を貸してくれた。ありがとう🐰
・仕事先はハイパー繁忙期で、現場に出る人員が足りず事務所内でまかなえないため、他の会社からヘルプさんを呼びまくっているらしい。
うちの事務所から前もって、「今回ヘルプで来てくださる○○さんは腰が痛いとのことなので、物を運ぶなどの雑用はさせないでください」
との通達があったが、内情を知っている人からの情報によれば、その会社からは、「仕事以外の雑用を一切させない」という条件で人を派遣してもらっているらしい。
大丈夫か??馬鹿みたいな大人の事情で、全員が腰痛の会社みたいにされてない??
400円貸してくれたお姉様が「季節性のアレで、腰痛が流行ってますもんね〜!」などとフロアに響く声で皮肉を言っていて、無敵だなと思ったから、少なくともこの人にだけは愛想を振り撒くことにした。
・今朝、満を持して血札をSuicaのチャージ機にぶち込むことができた。
私のSuicaは今、他人の血を養分に変えてピッピピッピ働いている。
この1週間どんなに楽しいことをしていても
ふと、「でも今、財布の中に他人の血を所持しているんだよなぁ…」が頭の端っこを掠めていく日々を過ごしていたから、ようやく肩の荷が降りた。
・帰り道、散歩中の犬同士が鼻と鼻を突き合わせて挨拶している光景が見られた。ああいう時、飼い主は大抵相手の飼い主のことはあまり視界に入っておらず、犬の代弁者としての「こんにちは〜」を発しているので面白い。犬の操縦する人間が犬の代わりに言葉を交わし合っている。
・ガンダムとかと同じ構図だ。