同人誌を作って即売会にサークル参加した話
僕です。
以前、お絵描きの振り返り記事を書いていてその中でも触れたのですが、同人活動を始めました。
そこから月日が少し流れ、初めて同人誌を作り、初めて即売会に個人サークルとして参加し、無事に終えることができました。
今回は、活動を始めたきっかけから、やったこと、感想など諸々を書いていきたいと思います。
同人誌の制作方法や即売会での動きなど、今回やったことを細かく書いていくので参考になる方もいるといいですね。
あくまで僕がやったことなので、もっと効率の良いやり方や、イベント毎の作法の違いなど、気になる点は多数あると思います。あくまで参考ということで。
アホみたいに長いので、気になるところだけ読むとか、分けて読むとか、適当にお願いします。約15,000文字あります。
1.どうして同人活動をしようと思ったか
これも別記事にしていますが、1年とちょっとの間、主にVTuberに対する推し活としてファンアートなどを描いてきました。その中で機会があり、合同誌(アンソロジー)に参加させてもらった事が二度ほどありました。
激ショボとはいえ、自分が描いたものが本になって手元に来るというのは衝撃的な体験でした。 え、これが本に???? ってなっちゃった。
僕はアナログでは描けないんですよね。 デジタルから絵の練習を初めて大量の取り消しとやり直しを繰り返しながら描いていたので、アナログはしんどいなと。 そんな感じなので、デジタルデータでしかなかったものが本として形になるというのは驚きでした。
そんな事をやっていると、次第に憧れとして「自分も本を作りたい!」だの「イベントに出てみたい!」などと思うようになりました。
無から何かを生み出して、それが現実世界に形として現れる、この流れを完結してみたくなったというわけです。
「自分で本を作った」以外にも「サークルとして参加した」とか、そんな感じの実績を解除したかったという大変浅はかな考えもありました。
2.いつから動き始めたか?
2つ目の合同誌用の原稿を終えた3月中旬には、頭の中に構想がありました。
本出してーなと思い始めたのはそれよりも少し前だと思います。
どのイベントに参加するか? というのもこの辺りから候補の選定を始めていました。 たまにTwitter上でもどのイベントにしようかなとかつぶやいていたと記憶しています。
3.イベントの選定について
どのイベントに参加しようかという話。
前提として、僕は北海道住まいなので、最初のイベント参加は道内のイベントにしようと決めていました。
主な理由は以下の通りです。
・会場までの移動が楽
・規模が小さくてやりやすい(と思う)
・友達などに手伝ってもらえるかも!?
特に1つ目、移動が楽という点ですね。
ジャンルとしてはVTuber、しかも一般的にはマイナーな部類ということで、本来だとコミケなど関東圏のイベントに出てしまった方が、リスナーやファンも多く、「本を頒布する」という点では有利でした。
ただ、何の経験もないまま、北海道から本州に移動して行動するというのは結構しんどいです。 経験値稼ぎの意味も込めて、まずは近場でと考えました。
イベント自体あまりないのですが、最初に考えたイベント候補は以下の通りです。いずれもオールジャンルです。
・2023年7月16日 おでかけライブin札幌 つどーむ84(つどーむ)
・2023年9月17日 おでかけライブin札幌 155(アスティ45)
・2024年1月8日 おでかけライブin札幌 156(アクセスサッポロ)
・2024年2月25日 Elysian44(札幌市民交流プラザ)
比較的大きめの即売会としては、11月5日の北海道COMITIA18もありましたが、こちらは二次創作が不可ということで除外しました。それ以外にイベントがあるのかは少し調べたのですが正直よくわかりませんでした。
過去には他にもあった気配があったのですが、調べる手段もなく、情報もありませんでした。
さて、上記の候補からどれにするかという話ですが、最初に候補としていたのはElysian44でした。
1年近く準備期間が取れるということと、イベントの性質から最有力候補にしていました。 イベントの性質についてですが、ぶっちゃけ、コスプレ不可という部分です。
おでかけライブは過去に何度か一般参加したことがありますが、総じて併設しているコスプレが賑わうのと、女性向けジャンルがむちゃくちゃ強いと感じることが多かったです。 なので、同人誌メインで落ち着いてる雰囲気の方がいいかなと適当な気持ちでElysian44を最初の候補にしていました。
※Elysian自体には行ったことがないなので誤解してたらごめんなさい。
が、1年近く先だといかんせん準備期間が長すぎて、だれてきそうだったので、もう少し早いイベントにしようと練り直し、最終的にはおでかけライブin札幌155にしました。(↑の件は何だったのか……)
7月だと準備期間が少し短いかなと思ったので9月です。
4.イベント申し込み……の前に同人サークル名を考える
が、その前に決めておくことがあります。
サークル名です。
サークル名が無いと申し込みができないので、まずは同人サークル名を考えることにしました。 個人サークルなので一人で決めました。
が、マジでセンスがないので最新のテクの力を借りました。「ChatGPT」です。
とりあえず候補をいくつか出してもらって、それを参考に考えていこうかなと。 まんま訊ねると、さらっと候補を出してきます。 えらい。
参考になりませんが、以下のようなやり取りをしていました。
・同人サークル名を考えたいのでいい感じのを出して
・漢字は使いたくない
・アルファベットではどうでしょうか
・もう少しアイデアをください
・単語一つだとどうか?
それっぽい単語が出てきたので、気になったものを組み込んだ形でお願いしたり
解説付きでもらってみたり
そんなやり取りを延々と繰り返していく中で、自分の中でも少しずつまとまっていって、
最終的にこれにしました。
自分で考えると多分出てこなかったですね。幅を広げるために使わせてもらいました。
余談ですが、ChatGPTも繰り返し聞いていくと似たような候補しか出なくなるので、ちょっと捻りを加えた質問を投げたり、一度自分で調べたりなど色々してました。
5.イベント申し込み!
サークル名も決まったところで、イベントに申し込みをしました。
おでかけライブの場合は、主催のスタジオYOUの専用ページから申し込むことになります。
5月16日に申し込みを行い、少し寝かせて(主に自分の気持ちを落ち着かせるために)から当時のTwitterに乗せました。
Twitterサークルでは申し込み完了直後から話は出していたのですが、表に出そうとするとやっぱり覚悟がいるなと。
表に出した際、頑張ってくださいねっていっぱい言われたのは嬉しかったです。
9月のイベントなのでこの時点では10サークル程度の申し込みだったと思います。 おでかけライブの場合は先着順です。
サークルカットは過去に描いた絵を切って作っただけの簡易仕様です。
サークルカットは、「サークル名」と「何を出すのか」がわかれば良いと見たので簡単にしました。
文字だけのサークルも多いのですが、まあちょっとは絵載せとこうねってことで。
最終的にはハコネクトオンリーのイラスト本になるのですが、この時点では中身が決まっておらず、2~3割はホロライブや個人Vのイラストが混ざると思っていたので、その他と書いていましたが、ハコオンリーになったので変更期限前に差し替え、その他は消えました。
ちょっと迷ったのは販売予定物の入力欄でしたが、適当に数値を入れました。 ここは多分、数百冊単位で差異が出ていなければ割と適当でもいいのだと思います。(サークル配置の参考に使うだけ?)
印刷所もこの時点では決まっていなかったため、事前に見ていた印刷所の名前を適当に入れておいて、確定後に修正しました。
6.内容を考える
イベント申し込みが終わったので、本の中身や仕様をどうするかを考えていくことにしました。
本の中身
他の方に相談する機会があり、その時の話などからイラストまとめ本にすることは決めていました。 まとめ本はTwitterやpixivなどで既に公開している絵などを収録したもの、というニュアンスです。
この時点で公開済みのものと、入稿締め切りまでに描いたものの中から選んで載せることにしました。
本の物理的な仕様
ページ数などをどうするか?というお話。
・本のサイズ
⇒一般的なB5サイズにしました。
過去に描いてた絵のサイズが大きくてもA4で、裁ち切りを確保できな
いという理由でした。 まあデカくて扱いづらいし、A4。
最終的にネコポスを使った通販を行うのですが、その場合のサイズの
問題もあるのでB5にしといて良かったと思います。
※裁ち切りは、製本時に切り落とされる外周部のことです
(=塗り足しなど)
・ページ数
⇒最初は16ページで仮設定しました。
根拠はないですがこのくらいかなと。
(最終的には20ページに増やしました)
・製本方法
⇒中綴じ・右綴じにしました。
中綴じは、紙を中央で折り、中央部をホチキスで止める様な形の製本方
法です。中央まで最大限に開けるのでイラスト向きということで中綴じ
にしました。
※他に無線綴じがありますが、中央部が隠れてしまうのと、ページ数が
少なかったため、中綴じを選んでいます
・色
⇒表紙と本文(表紙以外の中身の部分)すべてフルカラーとしました。
・データ形式
⇒RGB原稿としました。
RGBとCMYKの二種類がありますが、過去に描いたものは全てRGBデータ
となっており、CMYKのプレビューを見て云々……となるのが面倒すぎた
ので、RGB形式のまま入稿まで通し、印刷物の色が多少変わる点につい
ては目を瞑ることにしました。
※詳しくないですが、RGB=モニターで見る色、CMYK=インク4色で
表現できる色みたいな感じだと思います。印刷するときにちょっと色
が変わるらしいです。
7.本の内容をもう少し考える
画像を出せないのですが、本の内容を考えるにあたり「台割表」を作成しました。 調べると出てきますが、どのページに何を描くかを記した、本の設計図みたいな表です。
これを使い、「完成済みの絵から引っ張るもの」「今後描いていくもの」「完成済みを手直しして使うもの」の様に分け、題材(人物)をどうするかや、このページはいつまでに描くか、といったことを設計しました。
ページの配置などもこれに書いています。
が、最終的には完成直前の段階でフィーリングでページを入れ替えたり、元々の予定を変更したりしまくったので、本当に参考程度の資料になってしまいました。
作っていく中で変わっていくものは仕方ねえよ……。
他に、どのページにどの様に配置するか、印刷プレビューの様な形で見える図を作っていて、最終的には台割表よりもそっちの方が出番が多かったです。
CLIP STUDIO EX(高い方)には複数ページのプレビュー機能があるのですが、僕が使ってるPRO版にはその機能がないため、似たようなことをスプレッドシートでやっていました。
本の内容です。
最初は、ハコネクト7割、他3割くらいのイラストまとめ本を考えていたのですが、途中で気が変わりました。
結局のところ、これを手に取ってくれるのってほぼハコネクトリスナーになりそうなので、他を混ぜるのが果たしていいのかと。 そこは統一してしまった方がいいのではないか? と考え、完全なハコネクトオンリー本にすることにしました。
また、本になることは問題ないものの、事前に話は欲しいというVTuberの方がいたこともあり、その辺も面倒さも排除しようとすると、今回はオンリー本にしたほうがスマートでいいのではないかと。
(ちなみに、自分が載る本を事前に知りたい人の理由は、本を買いたいから、だそうです。だとすると、ほんの少ししか出てこないのもまたそれはそれで印象良くないよね……。)
また、大半は問題ないと思うのですが、二次創作ガイドラインが無い場合もあるため、やはりはっきりしてるところで固めた方が楽かも。
そんな感じでハコネクトオンリー本となり、過去の原稿を使う関係で見開きページが増えてしまい、載せられる絵が減ってしまいそうなので、ボリュームを補おうと、ページ数自体を増やし、紹介文を入れるなどの浅知恵を駆使した内容になりました。
8.印刷所を決める
決める前に参考資料として、色んな印刷所さんから紙や印刷のサンプルをもらいました。有料(数百円程度)の場合もありますが、頼めばタダで送ってくれるところも多かったです。
こういうのがあると、紙の種類や厚みなどをイメージしやすいので、手元にあると便利でした。
人によって優先度が変わると思うのですが、僕は割と早い段階で印刷所をどこにするかを決めました。理由は以下の通りです。
・原稿テンプレートを確定させたい
・イベント会場への搬入方法を確定させたい
・金銭的な心構え
・原稿テンプレート
印刷所には、このサイズ・仕様で原稿を提出してくれ、というルールがあります。 共通している事項も多いですが異なっているところもあるので事前に押さえておきたいと思いました。
【どこでも割と共通になっている事項】
・指定の仕上がりサイズを厳守する
・カラー原稿は350dpiで作る
・グレースケール原稿は600dpiで作る
・提出形式はpsdやpng
【印刷所によってちょっとずつ違うところ】
・裁ち切りサイズ
・トンボの有無
・ノンブルの有無
・カラーモード(RGBもしくはCMYK、両方対応可か片方のみか)
・データ入稿方法(セルフプレビューができるか?など)
と、書いてはみましたが、最初の仕上がりサイズと解像度が満たされていれば、あとは事後調整で何とかなりそうな感じでした。
・イベント会場への搬入方法を確定させたい
出来上がった本をイベント会場までどの様に運ぶか?という部分です。
イベント毎に違うと思いますが、おでかけライブの場合は以下の形があります。
(1)印刷会社からイベント会場へ直接送る
直接送る方法にも複数あり
①直接搬入(サークル直行便)
印刷会社から送られた荷物が、会場のサークルスペースに置
かれています。
※イベントスタッフがスペースまで運ぶ場合と、印刷会社の
方が直接イベント会場まで荷物を運んでスペースまで持っ
ていくまで行うマジモンの直接搬入の2種類があるらしい
ですが、ややこしくなるので割愛します
②宅配搬入
イベント会場の荷物置き場まで届いた荷物を、参加者本人が
引き取る。
どこ宛に、いつまでに荷物を送ればよいか、配達指定業者があ
るか?など、印刷会社側に情報を伝えなければならない場合が
あります。
おでかけライブの場合は、サークルチケットと一緒に送られて
くる直接参加要項の紙に書かれていました。
などがありました。
直接搬入の場合は対応していない印刷会社があったりなかったり
します。
(2)自宅からイベント会場へ宅配便などで送る
自分で宅急便を使って送ることもできます。この場合もイベン
トで決まっている宅配利用方法を厳守する必要があります。
自宅から送る場合、本以外の小物(トレーやブックスタンドな
ど)も一緒に送ることができます。
本は自宅などにあらかじめ送ってもらう必要があります。
(3)人力輸送
当日、全ての荷物を抱えて会場入りすることもできます。
本は自宅などにあらかじめ送ってもらう必要があります。
・金銭的な心構え
どの程度お金がかかるかもついでに見ておきます。支払いのタイミングや方法も印刷所によって微妙に異なっていたりします。
なんやかんやで今回の印刷所は、「株式会社栄光」さんにしました。
選んだ主な理由は以下の通りです。
・今回のイベントの直接搬入に対応していた。
・RGBデータのまま入稿可能。
・入稿時に製本プレビューが利用可能。
・原稿テンプレートがわかりやすい。(トンボなし)
どこでもいいっちゃいいのですが、なるべくトラブルは減らしたいし、手間も減らしたかったので直接搬入が可能で使いやすそうなところにしました。
9.ここからしばらくは原稿を作るターン
マジで作るだけ。
僕は描いたものはXやpixivにすぐ出してしまうため、普段のイラスト描きと原稿作りを兼ねて進めていきました。
注意点としては、原稿テンプレートよりも大きなサイズで絵を描くことを心掛けるくらいでした。
僕の原稿データの作り方は、原稿テンプレートデータ(psd)を開き、それよりも大きいイラストデータを開いてトリミングして位置調整をするやり方にしたので、テンプレートよりも大きければとりあえずなんとかなりました。
10.いつ入稿するか
本ができるには時間がかかります。原稿データを入稿(提出)してから、製本作業が行われ、完成したら発送されてイベント会場や自宅に届きます。
イベント直前でも割と何とかなるところもありますが、早めにデータを出すと早期入稿割引を使える印刷所も多いので(栄光さんもそうでした)、なるべく割引を受けられ、かつ原稿データに不備があった場合の手直しも考え、開催日から逆算するして入稿予定を立てました。
※夏や年末などは印刷所が混むので締め切りが早まったりもします
イベントは9月17日ですが、宅配便搬入の指定期間があり9月15日までの必着になっていました。印刷会社から会場(北海道)までの輸送期間(3日間)を引き、印刷所さんの作業日数(5営業日程度)を引くと、9月4日あたりには入稿したいというのがざっくり見えました。
いつまでに入稿すると早期入稿割引の対象になるかは、印刷所さんのページやカレンダーに書かれている場合が多いのです。
https://www.eikou.com/deadline/
栄光さんの場合は上記のページに書かれてます。
ただ、おでかけライブ(スタジオYOU主催)の場合は通常と締め切りが違っていて専用の表があります。(下の方)
9月17日のおでかけライブin札幌155に合わせようとすると、早期入稿締切は9月1日となります。(通常締め切りは9月11日)
なので、9月1日を入稿予定として作業すればいいのですが、実はこの表、8月時点では更新されておらず、9月1日という情報が出ていませんでした。
余裕を持たせたかったので、予想される締め切りよりも更に前倒しし、8月26日入稿予定とし、そこを目標にしました。
11.原稿データ作り
僕は8月中旬ごろからテンプレート用を使い、提出用のデータ作成を始めました。
基本的には元データ(.clipやpsd)上でレイヤーを一度全て統合し、それをコピーしてテンプレートデータに貼り、位置調整やトリミングなどをしてpngとして吐き出すやり方にしました。
psdデータでもいいのですが、栄光さんの場合、pngで入稿すると入稿時に印刷イメージを簡単に確認できるのと、レイヤーによるミスを減らせるかなと思い、pngデータで提出しました。
元の原稿データができているとこのサイズ調整は割と早かったです。
あとがきや奥付などもこのタイミングで書きました。
奥付は発行日や発行者名などを書くところです。
色んな同人誌や検索結果から調べて奥付に書く内容を決めました。
僕が書いた項目は以下の通りです。
・本のタイトル
・発行日⇒イベントの日付とイベント名
・発行者⇒サークル名とハンドルネーム
・連絡先⇒XなどSNSのアカウント名だけだと情報不足らしいです。
今回はサークル用のメールアドレス、XのID、misskyのID、
pixivのIDを記載しました。
・印刷所の名前
見開きデータの作成
今回のイラスト本、見開きページがあります。見開きというのは、開いてる2ページの状態で1枚の絵になる状態のことです。印刷所によっても異なりますが、見開きであっても原稿データは左右別々に提出しています。
裁ち切りがあるため、位置調整をしないと中央でずれるため、ここだけ死ぬほど精神力を使いました。
見開きデータの作成については↓のページを参考にさせていただきました。
裁ち切りサイズは違うかもしれませんが、やり方としては同じやり方で問題なかったです。
見開きが中央でずれないか、そこだけが本の現物を見るまでずっと気がかりでした。
12.本の詳細仕様の決定
B5/中綴じ・右綴じ/20ページ/フルカラーまでは既に決まっていましたが、それ以外の詳細を決めました。
主に印刷方式と紙の種類などとなります。
【印刷方式】
印刷方式としては、「オフセット印刷」と「オンデマンド印刷」があります。
オフセットは印刷が綺麗だけど総合コストがバカ高いので大量発行向け(ただし、発行部数を増やせば1冊当たりの単価はとても安くなる)
オンデマンドはそこそこ綺麗な印刷になるが少部数で作ってもコストがそれほど高くならない(1冊当たりの単価は高い)
といった特徴があります。
オフセット印刷の方が綺麗なのはわかっていたのですが、いかんせんコストがヤバいので、無難にオンデマンド方式としました。
【紙の種類】
「イラスト本は紙を厚くしとけ」とアドバイスを受けていたので、とりあえず厚くしました。 栄光さんの場合、フルカラー本のセットに厚い紙(マットコート135kg)が入っていなかったので、追加料金で135㎏に変更しています。
それ以外はフルカラー本セットの標準にしており特記はなかったですね。
【発行部数】
本をどれくらい出すか? という問題。
最初に出す本なんて絶対売れないので、少なめにしといた方がよさそう。
今回は50部作っています。
多分、無名サークルかつマイナージャンルとしてはバカみたいに多いですが、知り合いなどに多少は買ってもらえるかなという期待と、今後のイベントに際しても在庫を持っておきたいということから多めにしました。
10部や20部だと流石に足りず、余裕を持たせるなら40か50かというところですが、金額差がほとんどなかったので多い方にしました。
もう仕様をほとんど書いてしまってるので値段も出しますが、早期割引なしだとこのくらいの金額です。印刷所によっては2万円台前半になったり、逆に3万円を超えたりします。
実際には早期入稿割引(-10%)と分納費用(+1,500円)を含めた金額で決済しています。
察する人もいると思いますが、この時点で全部売れても赤字です。
【分納について】
栄光さんの場合、上記の価格に1か所分の送料も含まれています。が、今回は本の一部を自宅に分納するようお願いしました。
追加送料が必要ですが、会場でいきなり本を見るのではなく、事前に家で見ておきたいということでそのようにしました。
13.本の入稿以降
入稿と、それ以降の動きについて拾ってみました。
栄光さんの例なので、他では順序が違う場合があります。
8月26日 :注文とデータの入稿完了
8月28日 :注文と入稿の受理連絡
8月29日 :原稿確認完了の連絡
※原稿に不備があると連絡がくるそうですが、無かったです。
9月1日 :こちらからサークルスペース確定の連絡をする
※注文時点ではサークルスペースが確定していなかったので、
未定で注文していました。イベント情報が更新されて確定し
たので、直接搬入用にスペース番号を連絡しました。
9月6日 :最終価格決定の連絡、オンライン決済
※栄光さんの場合、決済を待たずに入稿後に製本が始まりま
す。ただし、決済が終わらないと出荷はされません。
9月6日 :製本が完了し発送準備に入る連絡
発送予定日は9月8日になっていましたが、自宅分納分はこの日
のうちに発送され、9月9日には自宅に届きました。
14.本が届いた!
そんなこんなでイベントの1週間以上前には自宅に本が届きました。
50部中、10部だけ自宅にとしたので10部来ました。
実際には本の上に緩衝材などがおかれていました。
やっぱ現物を前にすると興奮しましたね。
それと同時に、見開きの処理だったり、色がどうなってるかとか、間違いがないかとかも気になり、本が届いてから30分くらいは触れる勇気が起きず、置いたままとなっていました。
勇気をもって中を見ましたが、大きな問題もなく概ね想定していた通りでした。よかった~~~~~~~。
自宅に届いた10部ですが、1部は自分用として、もう1部は会場での見本誌として、もう1部はその後に会った友達にあげました。残った7部は会場に持ち込みました。
15.ノベルティグッズを作ろう
ハコネクトの二次創作ガイドラインが8月16日に改定され、高額でなく、自分で描いたものであれば同人グッズを作っても良いと明記されました。
なので、当初は予定になったのですが、おまけとしてノベルティグッズを作ることにしました。
同人グッズに関して、僕は常日頃から日常で使える実用品が欲しい欲しいと無限に言い続けていたので、自分で作るときも実用品とすることとし、コルクコースターを作ることにしました。
単品で頒布することも考えましたが、せっかくなので本と同じ数だけ用意して、本と一緒に配ることにしました。
【ノベルティグッズの製作】
本は栄光さんで作っていますが、コルクコースターに関しては別の印刷所さんにお願いしました。本の入稿と並行してデータを作り、入稿したりしていました。
実は、最初は単品で頒布することを想定して20個作っていたのですが、その後、本とセットにしようとなったので、デザインを少し変えた上で50個作り直しました。
本よりは短く、入稿から1週間かからず届いていました。
グッズに関しては直接搬入ができなかったので、自宅に送ってもらい、個別包装をした上で会場に持ち込みました。
ここまでで頒布物に関しての準備は大体終わりました。
あとは会場で動くための準備を進めました。
16.価格をいくらにするか
頒布物は揃ったけどいくらで出すの?というのはこの段階で決めました。
採算をとるのであれば700円くらいにしないと無理なのですが、細かい金の処理って面倒ですよね。
ということで500円にしました。これだとワンコインなので。
会場で700円ですって言われて、100円玉2枚と500円玉とか、1000円もらってとか面倒じゃない?????
正直どうあがいても赤字なのは変わらないのでどうでもよくなってます。
まあ、儲けを出したいんじゃなくて、本を出すのが目的なので。
完成した時点でイベント参加の目的の半分くらいは終わってました。
17.現地用の設営用品の用意
まずは現地で設営した際の写真。
これがサークルスペース全景なのですが、小物が必要なので事前に用意しました。なお、ほとんど100均で手に入ります。
・卓上イーゼル
見本誌を置いておくのに使いました。
・小さいプレート
値段を書いておくのに使いました。
・A3カードケース(ハード)
お品書き(A3)を入れておくのに使いました。
後ろはブックスタンドで支えています。
・テーブルクロス
主に足元を隠す用です。100均で買えますが、布じゃなくてビニールみたいな感じだったので、固定用のテープが貼り付いてしまい、少し破れたりしました。
裏から見たサークルスペースです。
足元には直接搬入や持ち込んだダンボール等があります。
スケッチブックがありますが、これはカードケースが折れることを防ぐためだけに使ってて、描いたりはしてません。
この辺はポスタースタンドで良かった感……。
・ウエットティッシュ
このご時世なので消毒用に置いておきましたが、昼飯を食って手を拭く以外には使いませんでした。
・コインケースと小銭
そもそも人来るの?問題もあるのですが、一応用意しました。
1000円札7枚、500円玉20枚、100円玉15枚と50円玉や10円玉を適当にとい
う感じでした。一部は平日の銀行で両替しています。
・養生テープ
ダンボールを閉じたり、テーブルクロスを止めたりするために用意しました。
・コイントレー
右側のパンフレットの下にあるのですが、お金を受け渡す際に使うトレーです。
・その他の小物
他に、必要そうな小物をまとめてケースに入れて持ち込んでいます。
カッター、黒と赤のマジック、サークルチケット などです。
・守り神のアクキー
18.事前告知など
主にX(Twitter)上でイベント参加に関して告知を行っていました。
タイミングとしては、
・サークルスペースが確定した時
・お品書きが完成した時
・開催1週間前
・開催前日
・当日(設営後と撤収時)
でした。
19.現地入りとイベント開催
順番が前後しましたが、9月17日の開催当日は車で会場近くまで移動し、前述の小物などを会場に運びました。今回は友達が1人、手伝いとして同行してくれました。
サークル入場
サークル入場時間は10:20~11:20でしたが、10:40頃に到着しました。
サークルスペースの机の上に直接搬入された本入りのダンボールが置かれていました。中身を見ると余部(落丁時の予備用など余分に送られてくる本)は4部でした。 50部注文し、自宅に10部、会場に44部の計54部が届いた形です。(コースターも5個ほど多く来ています)
入場後の設営は20分かからずに終わっていたと思います。
隣のサークルさんにはよろしくお願いしますと声をかけるだけかけました。(それ以上の話はしなかったです)
設営後の写真については貼った通りです。右隣のサークルさんは不参加になったようです。
写真のように椅子を2脚置いたのですが、結構狭かったです。
イベント
11:30にイベントが開始すると同時にみんな拍手をしていました。
コミケでやられているのは知ってたのですが、どこのイベントでもやるんだなぁと感心。
開始してからしばらくは自分のスペースから離れず、友達と交代でトイレに行ったり会場を見て回ったりしていました。
助かったのは昼飯ですね。
特に用意してなかったのですが、昼時に外出した友達が買ってきてくれました。結局、ウエットティッシュを使ったのはこの時だけです。
結論から書くと会場で売れたのは4部で、同行した友達と、後から合流した友達、会場にいたハコネクトリスナーの方と、同じ会場でサークル参加していたハコネクトのVTuberのママさんの4人でした。
友達をカウントしていいかは微妙なところですが、多少なりとも手に取ってもらえたので良かったと思ってます。
会場であった出来事はXに書いてますので省略しますが、色々話ができたり会えたりしてよかったなぁと思いました。一方で、上記以外だと見てくれる人はほとんどいませんでした。マイナーなので覚悟はしていた部分ですが、ミリしらでも手に取ってくれるくらいになれるよう、精進したいですね。
撤収
15:30までがイベントでしたが、15時を過ぎるとかなりの数のサークルが撤収を始めてるかいなくなってしまっていました。僕も、所要が終わった15時20分くらいには片づけて撤収しました。
会場(アスティ45)の地下駐車場に車を止めているし、大した量の荷物もないので、会場からの宅急便発送はせず、全て持ち帰りました。
20.BOOTH通販の開始
北海道の会場でほとんど売れないのは事前にわかっていたので、最初からBOOTHで通販をするつもりで動いていました。
BOOTHの販売ページ自体はイベントの3日くらい前には完成していて、イベント終了に在庫を確認し、在庫数を登録してショップと商品を公開設定にすればすぐに出せる状態にしていました。
匿名発送が可能なあんしんBOOTHパック(ネコポス)を使う一般的な設定で、説明文の書き方なども他のサークルなどを参考した普通のものです。
1人当たりの購入上限数は2つにしましたが、これは売り切れを防ぐみたいな崇高な理由ではなく、即時決済がされない銀行振込やコンビニ払いを使ったいたずらで在庫全てを購入されて機能不全に陥らないようにしただけです。
これらの支払手段自体を許可しない設定もあるのですが、使う人がいたらまずいなと思い、このような形にしました。(実際にこれらで支払ってくれた人もいました)
Xでは20時くらいにショップページを開けるよとポストしていたのですが、打ち上げと称して(雨が降る寸前の中)外で焼肉をしていたので少し遅れました。
21.BOOTH通販分の発送
ありがたいことに買ってくれた人がいたので、翌日に梱包材などを用意して発送の準備をしました。
発送に使って使ったのは主にこの2つで、本を入れるためのOPP袋(B5)と、組み立て式のダンボールボックス(A4)です。
OPP袋でB5よりも一回り大きくなるため、箱も大きくしました。
この箱に本とコルクコースターを詰め、一部をテープで止めて発送しました。
どこかで見たのでそうしていますが、BOOTHの注文番号を箱に書いて、照合できるようにしました。注文番号の横の数字は本+コースターのセット数で、稀に2セット買ってくれる人がいたので識別用に書いています。
あとはヤマト運輸の営業所やファミリーマートに持ち込んで発送を繰り返していただけですね。慣れてくるとシールを貼ったりするのも早くなりました。
22.BOOTHのあれこれ
BOOTHでの販売価格はイベントと同じ500円にしています。
考えるのが面倒だったのもあるのですが、通販の方が数が出るのはわかっていたので、上げてしまうのもなんだかなぁと思ったためです。
BOOTHの場合は送料も負担してもらってますし。
ちなみに、BOOTHの販売手数料は5.6%+22円なので、どのくらいこちらに回ってくるかはお察しください。(梱包費用もあるので……)
23.感想
非常に長くなって申し訳ないのですが、本を出そうと決めて、同人サークルを作り、イベントに申し込み、頒布物を作って売るところまでの一連の流れを書いてみました。
イラストまとめ本ということである意味当たり前ではあるのですが、締め切りに追われることもなく、大きなトラブルもなく、一連の流れを終えることができました。
今回これだけ長々と書いたことのほとんどは、半年前には知らなかったことばかりです。色々な面で非常に勉強になりましたし、自分の力不足も感じました。
今回だけで終わるつもりもないので、この経験を糧に今後の活動を頑張っていきたいと思います。
勝手を全く知らない人には、あーこんなことしてるんだなぁと感じてもらい、既にやられている方には生暖かく見てもらえれば、そんな感じで書きました。
一度やってるので次はもう少しスマートに動けると思います。原稿を除いて。
終わってみて思ったのですが、みんなこんな感じで本やらグッズを出してるとしたら、物が完成した時点で全員優勝ですわ、間違いない。
芸術系ではないですが、学生時代は物を作る学科にいました。
久しぶりに、自分が用意したもので0から物が生まれていく過程を味わえたのが一番の収穫かもしれないですね。もの作りは楽しい。
おおよそ15000文字あるバカの記事を読んでいただき、本当にありがとうございました!
ついでに商品ページを置いておくので、説明文や雰囲気だけでも味わってもらえれば幸いです。どれだけ売れても赤字が圧縮されるだけで、僕の得にはならないので安心してください。
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