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1. 土地を購入する

まえがき

前回の記事では、家を買う決断に至るまでの背景を書き綴りました。
祖母の持つ築50年の一戸建てを解体して、同じ土地に新築を建てる計画を進めています。その土地は借地で、地主から底地の買上げの話があったことも前回の記事で触れています。

今回の記事では土地を購入した際の経験を書き綴ろうと思います。
前回の記事を読んでいない方は、是非ご一読頂くことをおすすめいたします。


土地を買ってほしいと相談される

一般的に家を買うときは、どこに住みたいか考えて、その地域で家を建てるのにぴったりな土地を探すことから始まると思います。

私の場合は地主から買ってほしいと言われている土地を買う前提で話が始まっているので、土地探しの工程はありませんでした。

今回購入する土地は、駅まで歩いて10分の距離にある70坪弱の土地です。この後の話の参考に土地の図を用意しました。

私も6年住んだ場所なので、ここでの生活は想像がしやすいです。線路が近くにあり、電車の音や揺れは多少ありますが、築50年の建物で住めた経験から、新築の遮音性と制震性なら問題ないと思っています。

土地に対する心配事は、値段とここに家を建てられるかということでした。もし馴染みの無い土地を検討することになっていたら、ご近所付き合いや普段の生活で使う施設なども心配事になりそうです。

家を建てる決断をしたので、地主と会って金額を聞きました。祖母からは地主が1000万円で譲ってくれると聞いていて信じてはいませんでしたが、改めて地主の口から1000万円でどうかと打診されました。
土地の値段など全く分からない私でも、その土地の立地を考えると間違いなく破格だと直感で思いました。

とはいえ、金額は大きいので即決する訳にもいかないため、購入を前向きに検討するとだけ伝えてその日は帰りました。

土地について調査する

いくら破格に感じられるといっても、実際のこの土地の相場を調べないことには返事はできません。

まずはネットで調べて見ますが、土地についてはいろいろな基準の値段があるらしく(公示価格、路線価や固定資産税評価額など)、これは不動産会社で査定を行わないと分からないなと思いました。

ただ、この土地は住宅街の奥にあって、工事用車両が入るのか不安があったので不動産会社ではなく、住宅展示場でハウスメーカに新築相談の流れで相談することにしました。

その時お世話になったのが住友林業です。
私が相談に行ったときは、住友林業は5万円で土地の敷地調査をするサービスがあって、もし契約になった場合はその金額が割引されるというものでした。

作成された資料には以下の情報がまとまっていました。

・近隣の土地売買情報
・対象の土地の相場
・対象の土地とその土地につながっている道路の登記情報
・祖父が建てた現在の家の建築申請の記録
・地積測量図
・建築制限の情報(崖条例や北側斜線制限など)
・用途地域、防火地域等情報
・建築基準法上の道路について
・地盤調査結果

急に情報がいっぱい出てきて精査するのに時間がかかりました。
土地の相場は3400万円で、木造なら建てることができるようでした。鉄骨だと土地の前面道路が狭いため、荷運びの車が入らなくて無理だろうということでした。
地盤改良工事が必要な土地だということも分かりました。

建築基準法上の道路かどうかで、そもそも家を建てられる土地かどうかという決まりがあるらしく、前面の狭い道路でも条件を満たしているようでした。
ちなみに上の図の非道路と書いた道路は、建築基準法上の道路と認められないため、そういう道路にしか面していない土地の場合は、建築許可が降りないそうです。上図で言うと、対象不動産の右隣にある土地は、非道路にだけ面しているのでリフォームは出来ても建て替えができません。

また、建てる際にセットバック(自分の土地を道路として数平米明け渡すこと)が必要かどうかということも気にしていましたが、この土地は道路の突き当りにあるということで、それは不要だということでした。
上図の私道(幅員2.3m)に左右から面している土地は、今後建て替え時にセットバックが必要になるようです。

家が建てられない土地を買う意味がないですからね。いろいろなハウスメーカに土地と道路の状況を写真などで伝えて話をしましたが、どこも真摯に対応してくれました。ハウスメーカと一緒に土地を精査するのは後から考えても、合理的で良かったと思いました。

土地の価格が跳ね上がる

土地の値段と、木造なら工事もできて建てられることが分かったので、また地主と話しをしました。

今回は私が家を買って住宅ローンを組むので、そのローンから土地の代金を支払おうと思っていることを説明しました。そのため、私と地主で売買契約を結んでほしいということを伝えるのが今回の目的でした。

ところが、その日の地主の言い分は前回会ったときと変わっていました。

「あの土地は相場が3400万円です。おばあさまが購入されるなら1700万円でお譲りしますが、お孫さんが購入されるなら3400万円で購入していただきたい。」

祖母に対しては借地権割合を踏まえて5:5で譲る、私が買うなら借地権は関係ないので相場通りという話をされました。
さすがにその値段で土地を買って、大家族が住む家を建てるというのにかかる金額は住宅ローンに収まらないと思ったので、間髪入れずにこの話は無しでと伝えました。

これが2020年の夏頃の話です。

土地の価格交渉開始

その後2021年1月頃、地主の方からコンタクトがありました。
改めて私と土地の売買について交渉をしたいということだったので、話を伺ったところ、少し安くても土地を手放したい様子でした。

土地の購入の話を無しにしたあとは、いろいろなハウスメーカーを見つつ、土地探しをしていたのですが、この土地と同じ利便性と広さで、魅力的な値段の土地を探すのは無理がありました。
そのため喜んでこの売買の話に乗り、価格交渉をスタートさせました。
コロナだったこともあり、その後直接会わずに電話で何回かやり取りをしました。

何度か電話でやり取りをするうちに、満足の行く価格での売買に話が落ち着きました。その地域に他にも土地を持っている地主にとって不利益になるため、最終的な金額は伏せます。

住友林業に作成してもらっていた資料に情報がたくさんあったので、それらを交渉の材料にして、

「この土地を買った場合は水害がー、そういうリスクに備えるのにもお金がかかりますね」
「地盤改良費だけでこれだけかかるからこれくらい下げていただけないでしょうか」
「今計画している家がこの値段で、銀行の融資がこれくらい出ています。この値段ならすぐに計画進めて支払いができます」

など、いろいろ伝え納得する金額になりました。

仲介業者を入れて価格以外の条件を調整

価格交渉が落ち着いた段階で、地主から契約後に面倒事に直面するリスク回避のために、仲介業者を入れて売買しましょうという話がありました。(そもそも個人で不動産の直接売買ってできるんだろうか?)

私もそれには賛成だったので快諾しました。ただし、私の仲介は私のほうで探すので、お互いに仲介業者を探しましょうという提案をしました。すでにハウスメーカーから紹介されていた仲介業者があり、そちらと仲介手数料の金額の交渉も済んでいたのでこの方が私に好都合でした。

仲介業者を交えて以下のような話を整理していただきました。

・前面道路の1/10を持ち分として売買に含むこと
・非道路に埋設されている水道管の工事が発生した場合に、非道路の掘削を許可すること

前面道路の1/10の持ち分は銀行からの融資を受けるための条件になっていましたので、私もそれは口頭で地主に伝えてありました。
ただ、水道管が非道路側に埋設されているのは知らなかったので、掘削許可がなければ工事の時に大変な目にあっていたかもしれません。やはりプロに任せるのって大事ですね。

土地購入の契約締結

仲介業者を入れたからは話がとんとんと進み、契約手付金を払って、その後残金を銀行の融資で支払って、晴れて2021年7月に不動産売買契約を結ぶことができました。
売買契約時には土地の残金と一緒に以下の支払いもしました。

・2021年度分の固定資産税の日割り分
・不動産仲介手数料
・所有者移転登記料

それから不動産売買契約書や重要事項説明書、仲介報酬の支払い約定書などの諸々の重要な書類が入った分厚いファイルをもらって土地の売買契約は終わりました。

あとがき

最後まで読んでいただきありがとうございます。

祖父母や両親の持ち家が借地にあって、その土地を購入して新築を計画することがあれば、ぜひ事前にいろいろ調べて交渉してみることをお勧めします。
ものすごく不便な土地で無ければ、馴染みがある分他の土地より自分に合ったものになると考えています。

ただ、ものすごく疲れます。土地の値段交渉と並行して、ハウスメーカーと間取り・金額のやり取りはとても大変で、誰もが簡単にできることではないことをやったと思っています。心身ともに疲れることの連続でした。

もし私の記事を読んで、もっと私に聞いてみたいことがありましたら、コメントで教えていただければ、私の経験から話せることがあれば記事の更新や、別記事で書いてみたいと思います。

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