見出し画像

今回のワクチンが私達にもたらすもの

ワクチンうった

そういうわけで新型コロナのワクチンを打った。アメリカの大学で働いているので、優先接種グループにはいっており、近場の競技場でドライブスルー形式で受けた。車でそのまま会場で乗り付け、車の窓から注射をしてもらい、待機場で車に乗ったままエンジンを切って待機。15分の経過観察をし、アナフィラキシー症状がでたり、体調に異変があった場合はクラクションを鳴らして知らせる。実際、自分が待っている間にクラクションが遠くで鳴っていた。

ロジスティクス

圧倒的なスピードでワクチンの開発を進め、mRNAワクチンの研究開発に十分な研究開発費を出したわけではないが、それでもそのような有能な研究者がハンガリーから移民として移り、ベンチャー企業がそれを支援していたということにアメリカという国の底力と裾野広さを感じた。

そして、地域によってグラデーションがあるとはいえ、アメリカ全土でワクチンを配布・摂取させるロジスティクス、そして余ったワクチンはだれでもいいので打ってしまう合理性がこの国にはある。この兵站に裏打ちされたともいえると壮絶なオペレーションを見ると、もう一度戦えば確実に(当時でもそう予測されてたように)負けるだろうとの確信をドライブスルーの列に並びながら思った。

そのころ本邦では

そして、本邦ではワクチンの摂取はスムーズに進んでるとはいえない。たしかに、COVID-19の感染率や死亡者数は圧倒的に少ないが、現在対象となっている人がいつまでに摂取できるのか、摂取対象を広げたときにどのようなロジスティクスで摂取を進めるのかといった基本的なことも不明である。また、今週から始まった高齢者への摂取では、まだワクチンを摂取していない医療従事者が高齢者に摂取を行うという、常人には理解できないようなことが起こっている。このような、異常な状態が普通に黙認されているのをみれば、接種会場の混雑の解消や予約システムの効率化といった議論が高級に思えてしまう。

ワクチンには副反応や(あえて書くが)副作用に関する懸念がつきまとう。特に、日本ではB型肝炎訴訟といった、ワクチンに関する深刻な事件が過去に発生しており、患者さんの懸念や不安に対して向き合っている医療従事者の方には本当に頭が下がる思いである。患者さんだけではなく、その患者さんの治療にあたる医療従事者や関係者を守るという意味でも一人一人への啓蒙や説明は重要になる。このような背景があることを考えれば、医療従事者のワクチン接種が進まないのは、ワクチンを摂取できず感染の危険にさられながら医療行為をしている、という意味以上に医療従事者の方々に負担を強いていることがわかるだろう。

市は12日から診療所で高齢者の個別接種を始めるとしていたが、発熱などの副反応を心配する声も根強い。平田会長は「まずは自分たちが打ってみなければ、高齢者にも打ちにくい」https://www.nishinippon.co.jp/item/n/722389/

私の体験

自分のワクチン摂取に関しても、副反応が出たが、それを公の場に書いてしまうと不用意(ちなみに私は医療従事者ではない)に情報を発信してしまうのではないかと最初はおおっぴらに感想を書くことを控えていた。しかし、日本にいる医療従事者やその家族、一般の人にワクチンに関して雑談していく中で、私のような普通の若い人も打っていて、こういう副反応が出たけど大丈夫だったという情報を発信することがそれなりにポジティブな面があることを知りnoteに書くことにした。

つまり、私のケースはすごく軽いというほどでもなかったのだ。具体的にいうと、1回目の摂取後1週間位はインフルエンザの熱がある程度下がった時のような倦怠感・発熱・頭痛・気分がシンプルに悪いというようなことが起こった。また、2回目の摂取でも発熱・頭痛・倦怠感が3日程度続いた。そのあとは特になく、通常の健康状態に戻った。幸い、アナフィラキシーや体温低下に伴うジバリングなどは出なかった。よくみられる副反応についてはたとえばミシガン大学の発表(日本語)LA郡のもの(日本語)の発表資料にまとまっている。また、以下のイギリスの看護師の方によるビデオ(1, 2)やテレビ局の記者のビデオも参考になるかもしれない。

このワクチンは他のインフルエンザワクチンに比して、副反応のが出やすいようだ。たとえば、最近の日本のニュースでは2回摂取後では35%の人が発熱を経験したと報告されている。

一方、先行接種した人の観察日誌の中間報告によると、2回目の接種後に発熱した人は35.6%と、1回目の3.3%の10倍ほど高い割合になった。                (ニュースの動画概要欄から)

副反応はワクチンへの態度を変えるのか

うまくワクチンの摂取が進んでいくと、医療知識のある医療従事者や、副反応が出にくい高齢者以外も摂取対象になり摂取をすることになるだろう。

高齢者ほど副反応の頻度が少ないことも報告された (https://www.asahi.com/articles/ASP4B2SQ7P49ULBJ00X.html)

新型コロナに感染するリスクやその後の後遺症リスクを考えると、多くの人がワクチンを摂取を希望するだろう。そして、それらの摂取した3割以上が副反応の発熱を経験し、そして数日で回復することになる。そして、今回のmRNAワクチンの効果の高さ(イスラエルのデータでは94%)を考えれば、多くの人がその効果の恩恵に預かるはずである。

多くの人がワクチンを受けることになれば、その中にはワクチンに対して様々な態度に人がいるはずである。不安もあるが仕方がないので受ける人、特になにも考えていないひと、ワクチンに積極的な人、などである。そして、(一部のパターンをのぞけば)このようなワクチンに対する態度と独立に35%の確率で発熱といった副反応が摂取者におこる。

この意図せざる実験的状況は私達に何をもたらすのだろうか。たとえば、副反応を体験した人はそれ以降ワクチンを避けるのだろうか。それとも、ちゃんと回復したし効果があったし、ワクチンは安全で有益であると思うのだろうか。もしくは、とくに態度は変わらないのだろうか。

ワクチンの摂取の前後で、ワクチンに関する態度を比較すれば、私達はどうワクチン摂取を啓蒙していければよいかのヒントが得られるかもしれない。副反応を体験しながらそんなことを考えた。


いいなと思ったら応援しよう!