死生観がちょっこし変わった話。
ウォルトディズニーは若い頃受けた占いで
「あなたは35才で死ぬ」と言われた。
彼はそれを信じ、自らの人生を猛烈に生きた。
という話をどこかで耳にしたことがある。
今なら私はミッキーマウスを産み出した、世界的に有名で偉大な、彼の心中を少しだけ理解することができる。
その日朝から少し違和感があった。
最寄り駅まで父親に迎えに来てもらおうと連絡すると「10:00頃は迎えに行けない、病院があるから」と言われた。
(ちょうど迎えに来て欲しい時間帯じゃないか、ちょっとダルいな)
その時はそれくらいに特になんとも思わなかった。
幸い父親は病院から少し抜け出してくれて、迎えに来てもらえた。
私はその車内でなんとなく、よくある世間話の一つとして聞いてみた。
「どこか調子悪いの?」
彼はマラソンを趣味としているのできっと足でも捻挫したんだろう、と軽い返事を期待した。
すると父は
「結果がわかったら話す」
と、少々もったいぶるような返事をした。
なんかおかしい、というか怪しい。と違和感を覚えたのはその時からだった。
その日はクリスマスイブ。
久しぶりに高校の友達に会い、まあ通常通り豪快に遊んだ。
その日私は半年ぶりの運転でめちゃくちゃ危なっかしく、友達2人を乗せて移動したのだが。
そのスリリングさを3人で味わいながらギャーギャー騒いで
それはもう楽しかった。
”高校の友達” はバカであればあるほど楽しいという確信がある。
その2人をバカにしているわけでも母校をバカにしているわけでもないので、そこんとこはご了承願います。
次の日
私には残念ながら xます を過ごす具体的なヒトがいないので
お父さんと弟と仲良くケーキをつつくこととなった。
リハビリのため、私が2人を乗せ車を運転してケーキを取りに行った。
その車中でも私は、ふと思い出し父に病院に行った理由を尋ねた。
「ケーキを食べたあとで言う」
めちゃもったいぶるやないか、とその時は思わずツッコんだと思う。
とにもかくにも私たちは家に帰り、仲良くケーキを平らげた。
ホールケーキを3人で分けたので、全員それなりにきつめの満腹感に襲われ
まったりとテレビを見ていた。
その時だった。
突然父はテレビを消して、少し改まった。
弟も私も
(キタ!)
て顔をしていたと思う。
そして
お父さんは私たちに「ガンになった」と告げた。
病状はなかなかに進んでいて、決して楽観視できる物ではないと言う。
弟はあっけにとられた顔をしていて
私はショックで泣いてしまった。
それを見て、お父さんはバツが悪そうに笑って
普段通りに過ごすよう言って
ケーキ会はお開きになった。
そのあと私は、部屋で鬱々と考え事をしていた。
私のすごくザックリした家系図である。
私の家族は今までガンになった、もしくはガンをきっかけに亡くなった人がいる。
そして今回お父さんがガンとなった。
まだ父は60過ぎたばかりだ。母方の祖父も60数才で亡くなっている。
奇しくもこの日はクリスマスだ。
素敵なディナーを奢ってくれるヒトもいなかったし、枕元にプレゼントはなかったけど
ある、確信を得た。
「私も60才になったらガンになって死ぬ。」
漫画、ドラマの見過ぎと言われたら困るけれど笑
この、事実(と私が勝手に思い込んでいる)がどのような影響を及ぼすのか。
今19才として、
60ー19=41
私はあと41年間生きられる。
計画性というものにことごとく欠けていた私に
”限り” を設けることで、逆算思考が強制的に身につき
行き当たりばったりな行動が減るのではないかと思う。
その日の夕方
私は近所の本屋さんに行った。
二階はレンタルショップとなっていて、一階の本屋と合わせて
私の欲求はほぼこの店で満たされる。素晴らしい店だとつくづく思う。
帰り際ちょうど夕日が綺麗で、空を見上げてふと
本を読みたい!あれもこれも読みたい!と思ったとき、「あと41年で何冊読めるだろう」と考える19歳はこの世でわたし1人だけだと思った。
今後、より私はこの思考を繰り返すことになるはずだ。
最近異様に1年が過ぎ去るのが早い。なおさら「あと41年しかない」と考えるだろう。
ウォルトディズニーは若い頃受けた占いで
「あなたは35才で死ぬ」と言われた。
彼はそれを信じ、自らの人生を猛烈に生きた。
しかし結局彼は普通に長生きした。(笑)
というのがこの話のオチだ。
今なら私はミッキーマウスを産み出した彼の心中を
少しだけ理解することができる。
重要なのは
彼が「本気で占いを信じた」ことだと思う。
全員に平等に訪れる ”死” をどれくらいの人が本気で信じているんだろう?
ぼんやりしたものではなくはっきりと明確に、自分の手に握らされてると思うくらいリアルに。
私は「41年後ガンになって死ぬ」という事実を信じる。
これを頼りに生きたいと思う。
おわり
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