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川崎市の産後ケアは高い!?不便?〜議会傍聴レポートvol.1〜

2024年9月12日、有給を取得して川崎市議会の傍聴に行きました。
その日行われていたのは、所属会派の代表が市長や各局長に質問する「代表質問」。公明党、共産党、川崎・維新の3会派による質問とその答弁を傍聴しました。

今回は傍聴して特に関心をもった、川崎市の”産後ケア事業”について投稿します。当事業については共産党から質問がありました。

質問を聞くまで、事業について全く知らなかったのですが、川崎市の産後ケア事業は、近隣自治体と比較して大変高額なんですって!
主に「宿泊型」「日帰り型」「訪問型」の3種類があり、加えて今年度から日帰りロング型という、母子が実施施設に6時間滞在できる「日帰りロング型」が新設されます。(従来の「日帰り型」の滞在可能時間は1回あたり90分)
この「日帰りロング型」の1回あたりの利用料は、5回目までで5,000円(6回目以降は7,500円)です。(※1)一方、町田市では、5時間滞在+昼食付きで、1回あたり500円。(※2)半日滞在プランだと、川崎市の利用料は町田市の10倍です。神奈川県内の政令市を比べても、川崎市はすべての種類で最も高い料金設定になっています。

また、利用料が高いだけではありません。ケアを受けられる期間も、他自治体と比べて短いのです。
産後ケア事業を市町村の努力義務としている母体保護法では、産後ケアの対象を「産後一年を経過しない女子及び乳児」としています。にもかかわらず、川崎市は産後ケアの対象を「生後4か月未満」と短縮しているのです。先に例にあげた、日帰り型だと61.5%の自治体が、4ヶ月以上1歳未満の乳児を受け入れているというのに…!(※3)

川崎市は、「今年度からすべての種別において減免しているところ」「訪問型は今年度から対象年齢を1歳未満まで拡大する予定」「まずは本事業を着実に運用する」と答弁。料金も期間も、見直すつもりはないようです。

さらに、事業者への委託料が少ないという指摘も。
現行宿泊型の委託料は、1泊2日で6,000円と設定されています。ところが、母子1組を1泊2日受け入れるにあたり、必要な経費は12万8,500円。半額以上が事業者負担になっています。

川崎市は「限られた予算の中で持続可能な事業となるよう、利用状況の把握とともに、国や他都市の動向を注視する」と答弁。事業者委託料についても、見直す予定はないようです。

傍聴後に色々と調べているうちにわかったのですが、横浜市では今年2月、産後ケア事業の委託先で乳児が死亡する事故が起きていました。(※4)委託先で母子の安全を確保するには、十分な人員配置、それに伴う人件費が必要です。利用者の安全確保はもちろんのこと、事業者が安心してサービスを提供できるよう、川崎市は委託料を見直してほしいです。

私は結婚を期に川崎市に移住しました。今後市内で出産・育児をする可能性が大いにある身として、他自治体より不便な現行制度のままでは不安です。産後ケア事業が、すべての利用希望者にとって利用しやすく、母親の孤立や産後ストレス、子どもの虐待を防ぐ等の役割を果たすことを強く望みます。今後も当事業の動向をチェックするようにします。

※1 川崎市「産後ケアのご案内」<https://www.city.kawasaki.jp/450/page/0000061707.html> (2024年9月16日)

※2 町田市 まちだ子育てサイト「産後ケアのご案内」<https://kosodate-machida.tokyo.jp/soshiki/3/1/8/4182.html> (2024年9月16日)

※3 こども家庭庁株式会社・野村総合研究所「令和4年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業 産後ケア事業及び産婦健康診査事業等の 実施に関する調査研究事業」 <https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/cd892ed4-1ec9-4b60-aa2c-ec45d3967729/aced3cec/20231023_policies_kosodateshien_chousa_suishinchosa_r04-01_h32-1.pdf> (2024年9月16日)

※4 東京新聞 「横浜市の「産後ケア」事業で2カ月児が死亡 母親をサポートするはずが…子の安全は現場任せの実態」<https://www.tokyo-np.co.jp/article/311537> (2024年9月16日)

※記事で取り上げた質問について、2024年9月16日時点で録画や議事録は公開されていませんでした。公開次第追記いたします。



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