赤いベンガラ色で染まっている街
顔が凍えるような寒さと共に目が覚めた。
カーテンを開くとそこには、焼ける空をバックに、白銀の世界が目に映っていた。
ここ数年見ない景色に、眠気が吹っ飛んでいった。
吹雪と道と私
どこに行くか決めず、外出する支度を淡々とこなし、車へ向かった。
乗り込むと、Googleマップを開いた。「自宅よりもっと雪深いところに行ってみう。」と思い、検索しているとある場所が引っかかった。
2時間かかる道のりだったけど、そんなのはお構いなし。雪道を走行するワクワクと山麓にある村というまるで、ファンタジーな世界に好奇心が昂っていた。
車を走らせてると、道路が徐々に雪深くなっていく。
1時間ほど走っていると、校庭に一本の銀杏が目に入った。
こんなに雪が降っている中、力強く佇んでいる銀杏の木。
車から降り、近くまで行くと膝が埋もれるくらい雪が積もっている。
なのに、寒さを忘れるくらいずっと見入ってた。
紅葉の季節もまた違う景色になるのかなと思うと、楽しみ。
山道を走っていると、まさかの除雪が入ってない道路。しかし、道はそこしかないので、愛車を信じ突き進んでいくのだが、あまりの深さに地面に積もっている雪が何回もフロントガラスに巻き上がってくる。
しばらくその状態が続いたけど、ふと気がつくと空がだんだんと晴れて行き、ふわっふわの雪が光に照らされてキラキラ輝いていた。
輝く赤銅色と雪景色
目的地に着く頃には、道中の吹雪が嘘のように晴天になった。
でも、山麓だからか更に気温が下がっていて、息を吸うたびに鼻がツンッとする。
空を見上げると澄んでいるからか、コントラストがはっきりしていてきれいだ。
吹屋ふるさと村は、赤銅色の石州瓦とベンガラ色の外観で統一された赤い町並みが印象的な村。
村を少し登ったところに、今は使われていない校舎があるらしいので、古い建造物好きな私は行かざる終えないでしょう。
保存修理は、なるべく使える木材はそのまま使用しているらしく、年季が経っている木材を見ていると歴史を感じる。。。
歩くと所々軋む音がなんとも気持ちがいい。
版画カレンダーの制作が、学校と地域を上げての恒例行事になっていたそう。
毎年、年末が近づくと一年分の「版画カレンダー」を全校の生徒と保護者で制作に取り組んでいたらしく、そこには吹屋の伝統行事や祭りなどが描かれている。
2階に上がると、当時の教室を再現している場所がある。
この机やランドセルなどを見ていると、小学生の無邪気な気持ちが蘇ってくる。
一度、解体されたとは思えない。建物や学校の歴史に触れることで、より一層日本の良さが滲み出ているような気がする。
村に戻ろうとすると校舎内の受付人と会話していると、
「村にあるスープカレーのお店はおすすめなのでいってみてください!」と勧めてくれたのでいってみることにした。
スープカレーのお店つくし
普段は行列になる程人気らしいけど、今日は雪があるから観光客も少なくて、すんなりと店内へ入れた。
寒い中スープカレーは正解だ。
口に頬張るたびに、冷え切った体が温まってくる。
辛さも丁度良く、美味しかった。
店内では常連客と店長が和気藹々と話している。
みているとなんだかほっこりする。
この時期は寒すぎてどこへも行かず、家でぬくぬくすることが多いのだけど、
久しぶりの雪と好奇心が重なったおかげで、良い旅ができた。
しばらくは暖かいお部屋でみかんを食べながらごろごろしようかな。