「愛機」
ある時、近所に住んでいる80代のおじいちゃんからフィルムカメラを譲って頂いた。おじいちゃんが20代の時に買ったらしい。けれどレンズには全くと言っていいほどカビが生えておらず、カメラ本体は目立った傷もない。
ずっと大切にされてきた事が一目で分かった。
このカメラは、僕よりずっと年上で僕の知らないおじいちゃんを知っている。
ひとりの人生に寄り添い、形に残してきたカメラには受け取る時、心なしか温もりを感じた。
あれから3年経った今、妻と出かけるときや仕事で移動しているときでも「あっ。」と思えばすぐ出せるように、肌身離さず常に鞄の中に潜めている。
まだまだたくさんあるけれど
それはまた今度。