★デーリー東北「ふみづくえ」執筆④|いきつけの道端
以前雑草殲滅草刈りウォーズのことを書きました。畑に組み入れられなかった端の方の雑草はドン君(ヤギ/オス/推定4才)がせっせと食べております。
作物を育てる場所に作物以外のものが生えているのは許しがたいですが、作物が生えていなさそうな場所に生えている食べられる野生の何かは大変魅力的です。
それに気が付いたのは、近所を散歩しているときでした。散歩ルートは雑木林沿いで、初夏ともなれば緑が色濃く、ところどころ赤色やオレンジ色が差し色になって、それはそれは美しい色彩を放っております。赤やオレンジ?はてこれはなんでしょうかとおもむろに取り出したるはスマートフォンの植物検索アプリ。今AI検索が話題ですが、ばっちり恩恵を受けております。ものの数秒で候補が上がってきました。
これはかのいちご煮の語源となったキイチゴ、モミジイチゴでした。キイチゴの中でもおいしさは指折りと書いているサイトもありました。オレンジ色が鮮やかで、潮汁に浮かんだウニをこの美しいモミジイチゴに見立てたことが語源といわれているそうで。季節感も出ているし、情緒豊かでこのネーミングセンスたるや天才かと思いました。ウニもちょうどこのキイチゴシーズンと同じなんですよね。赤色の実はヘビイチゴのようで、こちらも食べられはするものの無味だとか。同じキイチゴなのにえらい違いです。
このことを発端に、道端の草木を気にしてみるようになりました。
雪解け時期に、まだ何も生えていない黒々とした山土に点々と見える明るい黄緑色。それまで雪と枯れ木のモノトーンの風景だったことを思うと、黄緑色がとても懐かしく感じます。フキノトウです。今年は自宅敷地内に群生している場所を発見してウキウキしています。
地面ばかりではありません。上を見上げればタラの芽も見分けがつくようになりました。民家の境目に人工的に植えているものから、山の境目や道路と林の境界線、はたまたおそらく野生のものなど、どういった経緯で生えているのか大体分かるようになったのも面白いです。ほぼほぼ真っ直ぐ伸びるので、境界目印として植えておくのもありますが、勝手に採っていく人がいるためにあえて奥まったところに植えているものもあります。タラの芽ウォーズここにあり。
食べられるものではありませんが、先日識者に教えていただいたのはクロモジの木。高級つまようじに使われる木です。これも一度特徴を覚えてしまうと、なんてことない林の中に生えているのを見つけることができるようになりました。この木にパン生地を巻いた棒パンを食べたのですが、それはもう高級なレストランで出てくるような薫り高い素晴らしいパンができました。まだ見分けがついていませんが、うちの山にはたぶん山菜なんかも生えているのでしょう。
移住前は東京と埼玉の県境に住んでおり、道端にこんなに豊かな食材はありませんでした。あったとしても、人工的に植えた果樹、歩道の割れ目から生えるつくし、河川敷の菜の花ぐらいしか思い出せません。
田舎は何もないとよく言われますが、こうした比較対象がなければ、あることに気が付かないんだなあ、としみじみ感じています。
元埼玉県民としてはいきつけの道端でそこら辺の草が食べられること、これ至極幸いなのでございます。
後記
先日友人に教えてもらった食べられる草「スベリヒユ」をみっけたのであとで茹でて食べてみますね!編集部員さんにはタッパーで持っていけばいいんですかね?畑にもっさもさ生えてますけど。どれぐらいがいいですか?