好きに気づいたとき
コロナ渦で対面授業ができない代わりに、毎週1万字近くの講義資料を、面白おかしな表現で配信してくださるような先生から非常にうれしいお褒めの言葉をいただきました。
「文章がうまいです。これを活かせる職に就けば大成しそうですね。」
と。
これまでは、自分が文章を書くことがスキという気持ちだけを原動力に、ただ思いつくままに書いてきました。
側から見れば自分に酔いしれているだけの駄文書きなのではないか、ただの自己満足なのではないかと疑問に思うこともありました。
だからこそ、文章を書く力のある人からこうして肯定されたことが言葉にならないほどうれしかったです。
わたしが「文章書くの好きだなぁ」と気づいたのは中3のときです。
それまで経験した卒業文集や夏休みの課題作文はたぶん多くの皆さんと同様、苦しみながら書いていました。
中3のとき、近畿地方に修学旅行に行きました。
そのうち1日は京都市内を自由に観光する日程で、1班に1台のタクシーが貸し切りで割り当てられていました。
わたしの班の運転手さんがラッキーだったのか、それとも関西のタクシー運転手さんは皆そうなのか
運転手さんがとてもとても話すのが上手で陽気で、話がスルスルと頭に入ってきました。興味のないはずの歴史の話にすごく興奮しました。
修学旅行から帰った後、イベント後あるあるで1人1枚の壁新聞を作りました。
周りのみんなが、貰ってきた資料と睨めっこしながらありきたりな情報を書き写している横で、わたしは京都を案内してくれた運転手のおじさんから聞いた話だけを頼りに、忘れないうちに、とものすごい勢いで書きました。
みんながスペースを埋めるためにどでかい字で書いている横で、細々と最小限の字で書き紙面を黒々と埋めていました。
みんなが文字を埋めるのに苦しんでいる横で、たぶん1番くらいに書き上げました。
クオリティについては今となっては計り知れませんが、ただただ書いている間、すごくわくわくしてすごく楽しかったのだけは覚えています。
そのときに
「あ、わたしは文章を書くのが好きなんだ。」
と、
胸を張って「好きだ」と言えるものに気がつきました。
好きに気づいたきっかけ。