特定原付の押さえておきたい交通ルール
特定原付の交通ルールは様々ありますが、この記事では実際に乗っている中で特に気をつけたいルールについて書きます。
速度
特定原付は最高速度が20km/hに制限されていますが、実際の走行速度については誤った記述も多くあり、誤解をしている人も多いように思います。
下り坂でも30km/hを超えてはいけない
これは原付のルールに準じます。下り坂でアクセルを使わずにスピードが出るのは特定原付や原付だけでなく全ての車で同じですが、だからといってどれだけスピードを出しても良いわけではありません。車であれば60km/hを超えないようにブレーキをかける必要がありますし、原付であれば30km/hを超えないようにブレーキをかける必要があります。特定原付も原付と同様に30km/hを超えないようにブレーキをかけながら進む必要があります。ちなみに自転車にはこの制限はありません。
なお全ての車両は最高速度標識に従う必要がありますので、20km/h制限の道路では20km/hを超えないようにしましょう。
6km/hモードについては、車道を走っている場合は上記と同じルールですが、歩道の場合はルールが異なりますのでこちらの記事を参照してください。
20km/hは車体の条件
最高速度が20km/hというのは特定原付に適合するための条件で「道路運送車両の保安基準」によって定められています。速度が20km/hを超えたときにはそれ以上加速できてはいけません。これは「加速装置の操作」による加速と定められているので、下り坂による加速で20km/hを超えてしまうこと自体には問題はありません。
信号
特定原付の信号のルールは自転車と同じなのですが、そもそも自転車の信号のルールがあまり認知されていないように思います。
基本的には車用の信号に従う
ほとんどの交差点はこのケースで、車道の左側を他の原付や車の流れに従って進むことになります。歩行者用の信号が赤でも、車用の信号が青なら進行できます。
ただしひとつだけ例外があり、それは歩行者自転車専用信号があるケースです。
歩行者自転車専用の信号がある場合
特に気をつけないといけないのが、歩行者用の信号に「歩行者 自転車 専用」と書かれている場合です。この場合は車用の信号ではなく、この歩行者自転車専用信号に従わなければいけません。これがとてもやっかいで、歩行者自転車専用信号は横断歩道上に設置されているため、交差点ではまず歩行者用の信号を確認し、それが歩行者自転車専用信号の場合はそれに従い、歩行者自転車専用信号でない場合は車用の信号に従うという判断をしないといけなくなります。
さらに危険なのは、歩行者自転車専用信号が点滅をはじめたとき、または歩行者自転車専用信号が既に赤で車用の信号は青のときです。このとき特定原付は停止線で止まらなければなりませんが、原付や車は車用の信号に従うため止まることはありません。
この状況になったときにはいったん乗り物から降りて、歩道か路側帯に退避することをおすすめします。そのあと信号が青になってから、他の車の状況に注意しながら車道に復帰するのがよいでしょう。
いずれの信号もない場合
特定原付には自転車専用信号や歩行者用の信号に従う義務はありません。したがって車用の信号も歩行者自転車専用信号もない場合、特定原付が従う信号がないことになるため周りの状況に注意して進めば良いのですが、もし自転車専用信号や歩行者用の信号がある場合はそれのいずれかに従って進むのが安全です。
ただし乗り物から降りて押し歩きする場合と6km/hモードの場合は歩行者用の信号に従う義務があるので注意しましょう。
右折
こちらも自転車と同じなのですが、信号と同様に自転車の右折ルールはあまり認知されていないように思います。
すべての交差点で二段階右折
交差点に信号があるかないかに関わらず、全ての交差点で二段階右折をしなければなりません。原付で二段階右折が禁止されている交差点においても、特定原付と自転車は二段階右折が必要です。
信号のある交差点
信号のある交差点はわかりやすいです。信号に従って車道の左側を直進し、交差点の先で停止、右方向に向きを変えて、進行方向の信号が青になったら進みます。
最初の信号が左折のみ可を示している場合は直進できませんので、直進可能となるまで停止線の手前で待機することになります。左折車両が側方を通過するため、歩道がある場合はいったん乗り物から降りて歩道に退避し、直進が可能になってから車道に復帰するのが安全です。
ちなみに直進方向の信号が既に赤で、かつ右折した先の車道まで横断歩道で行ける場合、乗り物から降りて横断歩道を押し歩き、右折した先まで行ってから車道に復帰するほうが早くて安全です。
信号のない交差点
信号のない交差点でも二段階右折です。車道の左端に寄り、他の車両を通過させてから、安全を確認して右折します。
左折レーンのあるY字路
個人的にもっとも難しいと思っているのはこのパターンでの右折です。選択肢は2つです。
1つめは、交差点までは左折レーンで進み、交差点に入ったら直進レーンに移動する。つまり左折方向のみに道路のある丁字路で信号がない場合に近い動きです。前述のとおり、信号が左折のみ可を示している場合は停止線を超えて進行できないので、自車の側方を左折車両が通過していくことになり、危険です。
2つめは、左折レーンをそのまま進み、反対側の車線まで渡れるところまで行ったのち、反対側の車線に渡ってY字路まで戻ってくる。1つめの方法に比べて安全ではありますが、手間がかかります。また戻ってきた車線から左折禁止の場合この方法は利用できません。
私はこの2つの方法を状況に応じて使い分けるようにしています。1つめの方法が安全に行える場合はそれで、左折のみ可の状況であればいったん歩道に退避して待つか、2つめの方法をとっています。
ルールはルール
自転車だって多くはルールを守っていないじゃないかとか、二段階右折はかえって危険だとかいう意見もあるのですが、ルールはルールです。自分が危険を感じたり、相手を危険にさらす恐れがある時は、原付と同じように押して歩きましょう。
特定原付と原付の違いについては、こちらもご覧ください。
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