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吐血

 自分の足を見た。この足は、こんなにも頼りなかっただろうか。胡座をかいた。すっぽりとどこかに収まれる気がした。熱の中の夢、私たちは自らの世界を失っても尚生き続ける哀れな生命体だ。
 これでもう、安心できるねとネロリが言ったから、私は疲れて、そうだねと頷いた。これだけは今でも私の中で、納得がいかないことだ。
 夜の中の明かりは青と白、と相場が決まっていると思っていたのに、案外何色でもなくともよいことに未だ慣れず驚いている。
 熱の中の夢、まさに、熱の中の夢。
 今日のいつかが、私から全てを奪ってくれますように。

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