ある冬の日
寒くなると、肌と空気の境目がはっきりする。〝自分〟の輪郭が際立つ。その時、「あ、わたし今ここにいるんだな」って、実感できるんだ。
冬がくる度に、この言葉を思い出す。
特に、ここ最近のように急激に寒くなった時に。
ただ、どうしても誰の言葉なのかが思い出せない。
高校時代の友人が言ったのか、何かの小説で読んだのか、もしくはツイッターで見たのかもしれない。
言葉だけ覚えてるなんて変なの、って毎年思ってる。
⁑
今日、久しぶりに大学に行った。
11月で卒論以外の単位を取り切った今、大学に行くのはゼミが開講される日だけだ。
月にたったの2、3回ほど。
大学の友人と会う機会は、4回生になってから随分と減った。
ひとりで授業を受けたり、食堂で黙々とご飯を食べたりするのはもはや当たり前。
「あー、わたし4回生なのかぁ」って今更ながら実感する。
教室の机に教科書やカバンを不自然に広げて友達の分の席取りをしている子や、「ゼミどこに応募する!?」と掲示板の前で騒いでいる子、冬季インターンについて情報交換をする子……。
その子たちと、昔の自分の姿が重なる。
いつかの私たちがいるな、と思う。
そして、あの頃私たちの後ろにはキーボードをカタカタと鳴らして卒論を書く4回生がいた。
それを見て
「卒論って何するんやろな?」
「分からん〜。それよりも、まず授業の単位がやばい!」
なんて言って、はしゃいでいた。
今、そのよく分からない卒論を書く4回生になっているし、一ヶ月半後には提出し終えて、何度か旅行をすれば、もう社会人だ。
⁑
そんなことを考えながら、電車に揺られて神戸から京都へ帰ります。車内はあったかくて、眠たくなりますね。突然の日記でした。
終わり。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?