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ほんとのわたし

「あなたは強いね」

「あなたはかっこいいね」

「本当にきれいだね」


これらの言葉は、わたしが実際に友人や昔の恋人から受け取った言葉だ。それらの言葉をもらった時、私は嬉しくて、元気が出た。たとえ、精神的に少し疲れていた時期だったとしても。

失恋直後のわたしは情緒不安定で、まあそれは当然のことだと思うが、とにかく誰かを責める厳しい言葉より、優しい言葉を欲しがった。とにかく慰めてほしくて、友達に会ったり、話を聞いてもらった。

そこで「強いね」と言われて、その時は嬉しくて、それで結局、無理をして、数日後体調を崩した。

友達に会えば、無理にでも元気が出る。頑張ってしまう。どれだけ疲れていたとしても。「強いね」と言われたら、言葉をまるまる素直に受け取ってしまうわたしは、「そうなんだ、わたしって強いんだ」と思い、思い込み、そのまま無理をしていたことに、体調を崩してしまうまで気づかなかったのだ。

思い返せば、恋人だった人にも、友達にも、家族にも。わたしはわたし自身が「ちゃんとできる人」でいなければならないと思っていて、その理想像めがけて、ひた走っていて、「だめなところは誰にも見せちゃダメだ」と思い込んでいたのだと、その時初めて思い知った。

わたしが心から求めているのは、私がどれだけ愚図で馬鹿で鈍間でも、「それでもいいよ」と笑ってくれる人だと、初めて気が付いた。


もしも次に恋人ができるとしたら、わたしが情けない人間でも、笑ってくれる人がいい。寂しい、つらいって素直に言える人がいい。そしてわたしも、そういう人でありたい。それを忘れずにいたいなあと思う。

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