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根暗日記

小さい頃から何をするのも遅かった。食べるのが遅くて、泣き止むのも遅くて、何かが上達するのも遅かった。考えるのも遅かった。気持ちの整理にはいつだって時間がかかるから、僕はいつだって、ルパン三世に出てくる石川五右エ門が斬った雑魚キャラみたいに、あまりの切れ味に斬られたことに気づかないまま真っ二つになって何回も死んでいった。斬られてばらばらになった俺の心は戻しようがない。そこに面白いか面白くないか、血が噴き出すか噴き出さないかの違いがあるだけで、本質的には何も変わっていない。僕はいつも過去のことを思い出しては、その度に死を疑似体験する。


朝、学校の最寄り駅を彷徨っていたらしいホームレスが駅員さんに追い出されたかなんかで学校の近くまで来て、昼くらいにちょうど教室から見下ろせる位置の歩道に寝転んでいた。気が付くと教室の窓の方に皆集まってて、寝返りを打つたびに控えめにどよめく皆は、本当に気持ちが悪かった。あんなの見てなにが面白いんだよ、全員クソだな、お前ら人よりちょっと優れてるからって殿様気取りかよ。クラスにいる苦手な奴は教室の窓から一番遠いところに居て、大体僕が思ってたことと同じことを言ってたから、こいつにもそういう部分があるのか、と思った、別に。だからどうこうって話でもないけど。



分かんない。人が考えてることが分からないって結構不便。あなたは今、なにを考えてるんですか。悲しいですか。僕は、皆がなに考えてるのか分かんなくて、怖いです。分かってると思うけど、正しくないかもしれないので、どっちみち怖いです、なんで、ですか?


こういう、勉強したくないけど夜起きてて、過去のことについてしばらく考えて感傷的になってる感じのときに耳に入れると良いものを教えてください。何も流していないと暖房の音が気になってうざいし、音楽を聴いてもあまり好きになれないし、ラジオとか動画とか見ても脳がごちゃごちゃになるだけです。


つらい 何がとかじゃなくて全部が 好きなこと以外全部嫌い


過去を振り返って、死を疑似体験するときに見るのは夢じゃなくて走馬灯だった。自分が無意識に選択してきた分岐点のことを考える。何かがちょっとずつ違えばこんなことにはなっていなかった、と言ってる人がいたけど、そんなの当たり前だから、俺はもっと強力に、革命的に何かを変えたかもしれないたった一つについて考える。僕はいつも何かを喋っているけど、本当は何も喋っていない。僕は文章なんか書くべきじゃなかった




黒について考えるといつも邪悪な気分になる。黒は僕の心の中にいつも急に現れる。黒は黒としか言いようがない。あなたの黒はどんな色なの、とか優しそうな大人に聞かれるけど、カラーコードでも言えないし夜空とか瞳孔とかの色でもない。同じではあるけど、順番が違う。身の周りの黒は、全部人間の黒を反映したものだからだ。何かをすると黒が大きくなるし、何もしなくても黒は大きくなる。心拍数が速くなる。黒の動きも速いから、嫌な予感がする。嫌な予感は大体当たる。都合のいい想像はどこまでも続いていくから、必ずどこかで破綻する。これから破綻していく今のことを思って僕は黒を加速させる。どこかで見た表現をパクってきて、どこかに書いて、黒を書きました!みたいな顔をする。結局なにが黒でどうしたら黒になるのか分からないのに、黒の絵の具を使ってモノクロの絵を描き続ける。ネガポジ反転させると面白い。みんなから黒がなくなって欲しいと思う。ふざけんなふざけんなふざけんなって言っても黒はどんどん溢れてくるし、適当な色をぐっちゃぐちゃに混ぜ合わせたらとりあえず黒になるから、僕が好きな皆はずっと悲しいままだ。悲しい。悲しい。悲しい。眠い、眠い、眠い、うるさい、流した涙が黒に濁ってたら嬉しいと思うけど、拭った手のひらを見てみるとそれは完全に透き通っていて、もう少し生きてみようかな、みたいな気分になってしまう、大好き、大好き、大好き、大嫌い、大嫌い、大嫌い、嘘、ぜんぶが



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