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シンガーソングライターのファン歴とウエダアオイさんについて語りたい

バンドとシンガーソングライターは大きく違う存在と思っています。そして歌手・シンガーソングライターも、歌詞や曲の提供を受けて色々プロデュースされながら歌に専念するタイプの歌手の方も居れば、提供受けての歌手から作詞作曲始めてシンガーソングライターになっていく方も居ますし、最初から作詞作曲でスタートする方も居ます。バンドを組むメンバーが居ない環境だったのか、自分のやりたい事が自己完結でバンドメンバーと共有する感じじゃないのか解りませんが、長く活躍されているシンガーソングライターさんはなんだかんだで芯が強いというか、我が強い印象があります。
バンドはPSY・S、Spitz、zabadak、ポルノグラフィティ、ASIAN KUNG-FU GENERATION、BUMP OF CHICKEN、最近はtoybeeと、それなりに?聴いてきましたけど、シンガーソングライターの方が聴いてる比重が高い気がします。
昔はサブスクも無いししっかり聴こうと思ったらCDを買うかレンタルするか、お金が無いと広く聴けない環境だったせいも有るかも知れませんが、僕自身の性質としてそこまで何でもかんでも音楽が好きじゃないストライクゾーンの狭い嗜好性だと思います。好きな曲ばっかりヘビーローテーションで聴く傾向がありますし、読書の幅も狭くて同じ作家さんのばっかり読んだり、同じ本を何回も読んだりしてます。上に挙げたバンドや下に記した人達意外はほとんど聴いてないのです。例えば最近の言葉でいう「推しの推しは推し」なんて事は全然無くて、好きな歌手が紹介しているアーティストのファンになる事も殆どありませんでした。音楽に限った話ではなく、小説では池波正太郎は好きだけど司馬遼太郎は読めないとか、漫画でも水木しげるは好きだけど手塚治虫は読めないとか、好みの範囲が狭いような気がします。
そんな偏狭な僕が聴いてきたシンガーソングライターと、ファンになったきっかけについて振り返ってみます。

永井真理子さん
小学校6年生頃から大学入る頃まで聴いてました。きっかけはNHK-FMの番組「ミュージックスクエア」を毎週聴いていてファンになっていきました。他の曜日は谷村有美さんや中島みゆきさんも居て、それなりに聴いていたけど何故永井真理子さんのファンになったのか…何かの好みなんだと思います。弟は谷村有美ファンになってました。彼女も最初は歌手で、シンガーソングライターになっていったんじゃなかったでしょうか。曲の方向性も大きく変わって、結婚から海外移住なので追っていけなくなって聴かなくなりました。有名な曲は「ミラクル・ガール」とか、「ZUTTO」とかでしたけど、好きな曲は「市場へ行こう」とか「泣きたい日もある」とか明るい曲からバラードに掛けてのポップスでした。ラジオで紹介していた曲がガンズ・アンド・ローゼズとかだったので個人の志向はけっこう違っていたのかも。
Spotifyで見ると古いほうは開放されていませんが、2000年前後のアルバム3枚が聴けて、やっぱり歌声は好きですし曲も良い感じです。もっとサブスク開放されて欲しいと思っています。明るい歌声が良かったですね。

河島英五さん
中学2年ぐらいから亡くなるまでの10年程聴いてました。きっかけは、当時読んでいた灰谷健次郎さんの本に登場して興味を持って、聴いてみたら歌とギターと歌詞に惹かれ、フォークソングという事もわからないままアコギ中心のスタイルも魅力的で、特に歌詞が良かったです。世の中の矛盾を歌う「てんびんばかり」、人生観なんて達観出来ない「何かいいことないかな」、輪廻を歌う「月の花まつり」、旅情と酒の「旅的途上」、高校生の頃から英五さんが亡くなるまで色々よく聴いていました。人生観がアジア圏や南部も含め広い世界を見ていたり、人類を超えて地球規模で見てたり、広さや自由さを感じる世界観も良かったです。力強い歌声、ギターも実際に弦を切りまくる勢いで弾いたりと、奔放なスタイルも良かったです。著書で「メロディーはバッハの頃から有限、技術は後から上手くなる、オリジナリティーの根本は歌詞」と語られていた程なので、歌詞の味わい深さも太平洋のようです。早くに亡くなって悲し過ぎて、全曲集も買いましたけど泣けてしまってあまり聴けませんでしたね…。最近はいくらか聴けますけど、入り込みすぎるとまだボロボロ泣けてしまいます。

山崎まさよしさん
聴き始めたきっかけはよく覚えてませんが、同じ瀬戸内地域発(山口県育ち)とか周りに信者級のファンが複数いたとかで知ったのかも知れません。学生時代は色々紹介されるけど殆ど弾いてた中で、受け入れられたという事だと思います。
そして山崎まさよしさんは、近年のギター弾き語りの潮流を確立した存在なのでは?それまではフォークソングの流れで当時は時代遅れというか流行らない過去のスタイルになっていたアコギの弾き語りで大ヒットしましたね。斉藤和義さんとかギター弾き語りデュオのゆずさんとかに先駆けて、ギターのスタイルやテクニックの流れを変えたと思います。ライブアルバム「ONE KNIGHT STANDS」は特によく聴きました。最近はそんなに聴いてませんが…。でもギターの弾き方も声の出し方も独特の物があって、歌詞も寂寥感や世の中を裏から見るような所が有って好きでした。「月明かりに照らされて」「名前のない鳥」「僕と不良と校庭で」とか好きな曲は多いです。
まさよしさんがサボりまくりの高校生活を送った山口県防府市は近いので、サボり先だった同級生の楽器店「タマシゲ楽器」は行った事あります。

遊佐未森さん
まさに血肉のような、空気や水のような、僕にとって宗教のような存在と言える存在です。一番の特徴は声質と歌唱法で、似た感じの歌手は殆ど居ません。唯一無二の楽器とも言えます。シンガーソングライターとしての世界観はマイブームによってハワイアン、ケルト、昭和歌謡、プログレ等様々な曲の世界と、歌詞は自然と日常の暮らしや、少女漫画のような淡い恋愛観の歌など様々です。初期の提供を受けていた頃はファンタジーと「僕」の世界でした。
遊佐さんのデビューは僕が中1の頃、1988年4月ですが僕が高1の頃の4枚目のアルバム「MOSAIC」から聴き始めています。音大時代にデモテープ送りまくってヴァーゴミュージック所属となりEPIC・ソニーから2年の準備期間を得て24歳でメジャーデビューして、初年に2枚のアルバムを出されています。MOSAIC以前は主に歌手としての活動で「思春期の僕」と言えるような世界観で、それ以降変化が大きくなり「遊佐さん本人の世界」になっていきます。作詞作曲とプロデュースが増えてシンガーソングライターになっていったと思います。僕自身はちょうど過渡期に聴き始めたので、最初に初期の世界を聴き込んで中期以降を取り込んでいって全編が好きになれて良かったです。初期の世界原理主義者の存在とかあるので…。「昔聴いてたけど」「初期の頃は良かった」はよく聞いた台詞です(ハァ?)。
聴き始めたきっかけは兄の持ってた漫画の枠外に書いて有って興味を持って、兄が買っていたCDを借りて、自分で買い揃えて…でした。最初に聴いてた「MOSAIC」の「シリウス」に引き込まれて一気に深くファンになりました。大学でギター弾き語りを趣味で始めたのは、好きな曲が友人達と行くカラオケに入って無くて「世の流行歌に劣るわけがない、自分で歌うしか無い」という衝動からでした。好きな曲は多過ぎて書ききれません。今の気分では「ONE」「潮騒」「暮れてゆく空は」でしょうか。
ライブでは立ち上がりの発声が不安定な事もよく有りますが、後半になってもいくらでも歌い続けられそうな伸びが有り、野球で例えると先発完投型の投手みたいなのも好きな所。立ち上がりが悪いのでTVとか不向きなんですけどね…。上品で綺麗なスタイルかと思いきや、男勝りで勝ち気なおねえさんっぽさも魅力です。世の流行り廃りに流されない芯の強さがあります。

鈴木祥子さん
きっかけは遊佐さんのEPIC・ソニー仲間で友達だという情報から聴き始めたんですが、音楽的にはもっと別離の刹那とか、男女の生々しさが入り込んでくる世界観です。音楽的には確かドラマーから出発されてたような記憶があります。小泉今日子さんに提供した「優しい雨」が一番有名な曲だと思いますが、僕が好きな曲は別れた人の幻影を追うような「sweet sing」、故郷が無い都会人の心情とも取れる「GOIN' HOME」、ストレートに重い「完全な愛」、別れからの殺人いや心中の歌「舟」、衝動の肯定「依存と支配」など、激重感情を歌った曲が多くて好きですね。御本人の人生も結婚離婚とドロドロ気味なのも重い愛に生きるリアリティーが…。

空白期
二十代の頃から聴いてた歌手の方々もお休みされたりメジャーレーベルからインディーズに移ったり、バンドもアジカンのやバンプも熱心に追わなくなり、アナム&マキも解散引退と、三十代に入ってから僕自身、遊佐さん以外あまり新しく曲を入れて聴かない時期が長く続いていました。長く続くというより、遊佐さんぐらいだけ新譜を追って、あとは過去に聴いていたのをリピートするだけで死ぬまで音楽の楽しみは持つと思っていました。ところが昨年2023年48歳になってからの意外な展開、You Tubeきっかけでtoybeeというロックバンドを追うようになりました。追うといっても小遣い激少家庭持ちの地方民、本当に聴くだけの気持ちだけ応援してて、ライブに行ったりグッズを買ったり有料ファンクラブに入ったりも出来ていませんが…。葛藤から鬱になりそうでしたが、凄く好きな歌い方と声とギターの弾き方なのに売れていないシンガーソングライター、ウエダアオイさんを発見しました。2023年の秋のことです。

ウエダアオイさん
最初に知ったのはYou Tubeで、バキバキDTチャンネル企画の曲「ひだまりの神様」のカバー動画でした。弾き語りレベルの高さとビジュアルも音楽の演奏スタイルも個性の強さで記憶に残っていましたが、記憶の片隅のまま秋まで保留になっていました。toybeeきっかけで色々なバンドや歌手も知り、遊佐さんもラジオ特番で推し歌手の紹介もされていましたが、ファンになって熱心に聴く程にならなかったんですが(※アニメきっかけで、結束バンドとMyGO!!!!! だけは聴いてます)。ブラック企業での社畜生活と、体調悪くて家事があまり出来ない手の掛かる奥様との暮らしで、自分の時間が無いというのも理由の一つかも知れませんが、そうじゃなくて実家暮らしでも一人暮らしでも、性格と頭のキャパシティ的に、元々同時期に聴くのは一人二人ぐらいだったんだと思います。そして今はウエダアオイさんが一推しになっています(遊佐さんは殿堂入りなので除外されています)。
You Tubeでの「空」のライブ映像が、漠然と思っていた理想的な架空のカッコイイ弾き語りシンガーソングライターそのものだったから、一気にハマッていったように思います。
知り始めた時の過去動画に比べて最近のギターはテクニック向上著しいので、既に僕の理解を超えた弾き方だったりします。このまま技術の向上と品質音質の向上を願うばかりです。素人の趣味のアコギ経験からしても、ピックの力強いストロークと指弾きの細やかな弦の弾き分けは相反する存在だと思っていました。それがネイルでの指弾きで自由自在に両立するなんて、フラメンコギターじゃあるまいしアコギ弾き語りでは他にまだ見かけないスタイルなんじゃないでしょうか。
オリジナリティーの根源である歌詞についても、単純にハッピーな曲は作らないと語られていた詞の世界が、上辺の綺麗さでも見せ掛けのダークさではなく、息苦しさや怠惰、鬱屈、色々な本物が見えていて素晴らしいです。
歌声も、通り一遍の綺麗さでも可愛さでもない、カッコイイ女性ボーカルと力強さや優しさで、これが何の指導教育も無い独学で歌っている結果だなんて、天然物の天才です。ひょっとしたら広い層にウケるタイプじゃないかも知れませんが、凄く好きです。
サブスクで聴ける「空」「ココアシガレット」はnoteで語りましたが、音源化されていない「おーべいべ」、最近は「何者」も繰り返し毎日聴きたい曲です。
なんとか売れて、出来れば遊佐さんのように還暦でも元気に現役のシンガーソングライターとして活動出来る姿を僕が寿命で死ぬ頃まで見続けたいと願っています。

シンガーソングライターという存在
なんかライブでも、バンドはバンドで対バン組んでいたり、シンガーソングライター同士で組んでイベント有ったり、演奏側も棲み分けされていますが、ファンの嗜好性も傾向が分かれているように感じます。昨年からtoybeeのファン友が増えて感じたのが、僕のバンドの知識のスカスカっぷりと、僕の辿ってきたファン歴に近い人が居ない…という事で、聞き手も大雑把に分かれている傾向は有るかも知れないですね。もっと広く浅くのライト層に売れるには無関係な話かも知れませんが。
バンドはメンバーが固定されていて、演奏内容も好みや指向性も決まっていて、曲の方向性がはっきりしているように感じます。内容も皆に伝わるように…ファンの皆に!って感じでしょうか。
シンガーソングライターは、本当に個人の思いを好きなように「はい、これどうぞ」って出している感じで、個対個の個人戦のように感じています。
結局は好みで、スポーツでも団体競技が好きな人も居れば、個人競技じゃないとって人も居ますし、さらにどっちでも良いやんって人も居ますし、気にしてる人はあまり居ないのかも知れません。

ウエダアオイさんに歌って欲しい曲(野望)
今まで聴いてきた曲の中で、ウエダアオイさんにいつかリクエストしたい曲があります。こういうのはタイミングが合わなければ全然リクエスト通らないので本当に運だと思います。配信のリクエスト募集で春の曲というお題で、ヨルシカさんの「晴る」が通ったのは運ですね。葬送のフリーレンの2つ目のOP曲でしたが、観てない知らない曲を短時間で弾き語られて、ヨルシカさん本人より僕の好みにハマッていて、やっぱり好きな天才的歌手だと嬉しくなりました。
閑話休題でいつか歌って欲しいけどほぼ無理な曲が、アナム&マキ「9の位置」です。アナム&マキは解散したギターデュオで、河島アナムさんが河島英五さんの娘だったりしますが結婚引退で解散、本夛マキさんはまだ現役のシンガーソングライターですが、活動が地下っぽくて追えていません。かなり推していたユニットでしたが、解散で夢を追えなかった残念さを引きずっていましたが、ウエダアオイさんという上位互換の発見によって上書きされていて今後の人生の楽しみに据えたいところです。「9の位置」はサブスクやYou Tubeに無くて、僕も引っ越しの荷物に埋もれてCDが発掘出来ていないので聴けませんが、歌詞が目茶苦茶尖ってます。
歌詞の掲載と部分視聴だけ有りますが、いつ消えるかわかりません。

「アイツの二番煎じは美味しいかい?」という売れ線を追う歌手批判から、「そんなに死にたいなら死ねばいいさ」のストレートさ。今まで僕が聴いてきた曲の中でも上位ランキング入りの名曲だと思って居ます。ウエダアオイさんに似合いそう。ただ、幸運にもリクエストする機会が有ったとしても、音源が無いと無理なものは無理なんですよね。
次の曲が鈴木祥子さん「依存と支配」。
こっちはサブスクにも有って聴けますが、オリジナル発表が1998年、リマスターが2018年って、そんなに昔の曲になってしまっているとは?!

こちらの曲も開放的な演奏や廃退感のある歌い方もですが、歌詞の剥き出し感がたまらないです。ラストサビの爆発感が癖になります。こんなどマイナーな曲をリクエストする機会は無いでしょうけど、この歌詞はウエダアオイさんに似合うと思っています。
無茶な野望を言いましたが、去年作られたウエダアオイさんの曲の歌詞は、既にこの2曲に並ぶ名曲、極上の深く刺さる歌詞なので、今更リクエストは不要かも知れません。


次はウエダアオイさんの「何者」について語りたいところです。

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